タイミングを逸して書こうと思っていたテーマがどんどん後回しになっているので今回から更新頻度を上げてペースを取り戻していきたいと思います。
まずはスペインのサッカー界について。
スペインでも日本同様、指導理論というのは人によって千差万別です。ただその根底に流れている認識にはある程度、共通する部分があります。
クラブチームでサッカーが行われ8才から大人までレベル別に毎週リーグ戦がある環境では、一人の人間の確証が得られていない指導方法は実践的でなければ淘汰される環境があります。日本の一部の指導者が行っている、
「ボールを持ったらとにかくドリブルをしなさい。パスは禁止」
といったものはスペインでは存在し得ません。それは同レベルのチームが対峙した時にその方法論では通用しない現実が試合ですぐに明らかになるからです。
スペインのサッカーはプロクラブレベルでレアル・マドリードが国際舞台で活躍していた以外は80年代までイングランド、イタリア、ドイツといったヨーロッパの他の強豪国に遅れをとっていました。
その後、ヨハン・クライフがFCバルセロナにトータル・フットボールを持ち込み黄金期を築きますが、その時点ではスペイン・サッカー界全体はまだ旧態然としたもので、94年のW杯でイタリアにスペイン代表が破れるなど結果は残せていませんでした。
私はスペインに来て7年になりますがこちらのコーチングスクールや指導現場でスペイン人コーチを見ていると、他の強豪国に遅れを取ったが故の思考の柔軟さを感じます。
「スペインになかった考えでも良いものはどんどん取り入れる」
というフロンティア精神とでもいいましょうか、そういった環境が少なくてもここバルセロナにはあります。
自分達が元から持っていた要素に、他国の優れた攻撃と守備の考えを還元させた結果がここ15-20年のスペインサッカーの変化ではないでしょうか。またその際にFCバルセロナなどのトップクラブのプレーぶりがスペイン・サッカー界全体の目指す方向に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。
ここからはスペインで私が培っている戦術理論について話したいと思います。
まずは攻守の切り替えの概念について。
これは日本でも既に多くの指導者の方が持っている考えだと思いますが、攻撃と守備を連続したものと捉える考え方です。
相手の攻撃を押さえるためにはその攻撃への対処法を向上させることはもちろん重要ですが、攻撃と守備が交互に起きているという考えにのっとって考えるとボールを失う回数を減らせば相手の攻撃回数が減るので相手の攻撃に晒されるピンチを減らすことが出来、良い守備を行うのと同じかそれ以上の効果があります。
スペインでのチーム作りの根底にあるのは、この攻撃と守備の循環をいかにピッチ上で自分達がコントロール出来るかという点にあり、問題点の分析の仕方も前述の通り攻撃に対する守備の仕方だけでなく敵にどのような形でボールを渡してしまっているかという点から総合的に見ます。
次に攻守の切り替えの際の基本的な判断順位について。
攻撃でボールを失った際、最初に考えるべきはプレスをかけて身近にいる敵のボール保持者からボールを奪えるかどうかであり、それが出来ない場合に通常の守備や後退を行うことになります。
またボールを奪った際はゴールへの最短のプレー、すなわちカウンターアタックができるかどうかが一番最初に考えるべき選択肢で、その次に通常の攻撃という選択肢がきます。
チームのプレーが上手く機能しない時は往々にしてこの各要素に少しずつ完成度が足りない部分があるわけですが、その修正を施すのが次の試合に向けたトレーニングの目標となります。