続き・・・「恥ずかしながら、オレはその頃まだ「在日」の意味を知らなかったので、何だろう、日本人かな、という程度に思っていた。引き上げるタイミングを見はからっていると、男が酔った目をオレに向けた。「おまえ、このあいだ東京でやった試合、覚えてるやろ。雨の日の試合や」東京での北朝鮮戦のことらしい。

「あの点入れたの原やったろ?」「ええ」「あれ、マグレや。そやろ?」いくら酔っぱらい相手でも、ことサッカーのことになるとついマジになってしまう。
「いや、マグレじゃないですよ。あれは向こうのミスから・・・・」「マグレやろ? なあ?」男はオレの目をギロッと睨み、遮るように言った「そんなことないですよ。あれは・・・」「マグレやろ? なあ?」「・・・」

向こうはオレにケンカを売ろうという気配。マジに反応すれば思うツボだ。この場は逆らわないほうが得策と判断し、「マグレやろ?」としつこくからまれ仕方なく「ハイ」と返事をしてしまった。
それでようやく解放してもらったものの、オレは何かうしろめさを感じていた。そこで先輩に全部言って謝ってしまえば気が楽になると思い、ビールを持って部屋に戻ると木村和司さんに「マグレやろ?」としつこくからまれ仕方なく「ハイ」と返事をしてしまったことに詫びた。

すると木村さんは、一瞬オレをまじまじと見つめてから広島弁で「やめちょけよ。馬鹿たれが・・・危ねえぞ、おまえ。酔っぱらいとマジに張りあってどうするんだ。せっかく日本から応援に来たのに、勝って当然の試合が引き分けで荒れてたんじゃ。一歩間違えば、ボコボコにされんど」「はあ・・・」

とは言ったものの、オレは木村さんが呆れ顔で怒っている理由がよく分からなかった」

余談だが、実は私はこのピョンヤンでの日本対北朝鮮の試合をビデオで(家庭用)見た
一言、めちゃくちゃ激しかった、日本のシュートは前後半入れても一本、それに対して北朝鮮はシュートの雨。でも都並は負ける気はしなかったらしい。何故かと言うと 中国からピョンヤン行くの北朝鮮の飛行機のトイレの便器にウンコが二重三重に積み重なって、てんこ盛り状態になっていたのだ(笑)水洗ぼたんをいくら押しても水は一滴もでない。プロペラ機でピョンヤンまで2時間(笑)。ここで都並の凄さがわかる。

機内でみんなに「これでウンがついたぞ! 」「そうだ!ウン、ウン」これは決して作り話ではない、本当にあった話。