朝日新聞の11月6日金曜日の夕刊にて・・・

               ゆかりを訪ねて

水平線が丸みを帯びて見える。太平洋を望む高知市・桂浜。袴にブーツ姿の坂本龍馬像が、すくっと立っている。龍馬は11月15日に誕生し、同じ日に世を去った。像の傍らに毎年、やぐらが組まれる。そこに上がった者は、像の目の高さ役13メートルからの眺望に心を洗われる。小説「竜馬がゆく」の著者、司馬遼太郎も桂浜を愛した。

21年前、龍馬像の「還暦」祝いにメッセージを寄せている。記念に集まった人に読み上げられることだけを望んだ私信。それだけに、少し感情を交えた文面だ。「世界じゅうで、あなたが立つ場所はここしかないのではないかと、私はここに来るたびに思うのです」

「龍馬のことを思うと、おれも頑張ろう、と元気が出てくる。自分の人生を信じたい人がリピーターになって訪れる」龍馬像近くに建つ坂本龍馬記念館の森健志郎館長(67)が語る。来年のNHK大河ドラマで取り上げられることもあり、今年の来館者は例年の3割は増える見込みだ。「郷士」と言われた下級武士の出身。裕福な育ちではあったが、「上士」との差別は明白だった。住む場所のほか、着物の素材、履物の種類にも制限があるそんな理不尽がまかり通った。「悲しみを知っているからこそ、龍馬は平等な世の中をめざして奔走した。私心がないから、門閥を越えて信頼された」

北海道から桂浜を訪れ、家族でくつろいでいた○○○さん(31)、もうすぐ5歳になる長男が貝殻をせっせとポリ袋に集めている。その子を「龍馬」と名付けたのは、ほかでもない父だった。桂浜には、明日をおもう人が集まってくる。 文・木元健二



             龍馬固せんべい・・・