どうだ!


見たか!!


これが俺らの底力じゃい!!


前までのワンピとは違うんじゃい!!


「・・・・・・・」




<序章>


「くっそ暑っっっちいーーーな~」ショック!


ゆりかもめ「芝浦ふ頭駅」を降り、新橋方面へ歩く。


海沿いに、ひと際目立つビルが見えてくる。

今日はここで、子供たちを交えたイベントが行われる。


トレイントレイン代表筆頭にワンピを含め、3チーム合同。

ゲストとして、あのフウガ東京が参加した。



FCワンピース物語


子供たち、そして親御さんたちにフットサルの楽しさを伝えるこのイベントは順調にすすんだ。

皆、フウガ東京選手のテクニックに驚きつつも、笑顔を見せてボールを追いかけていた。


昼になり、ワンピは一足お先に弁当をいただく。

周りをみると人数が少ない感じがしたが、とくに気にせずにいた。

コートに戻るとPK合戦の最中。

ゴールを守っているのがユキオだった。




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フウガ東京選手のシュートを受けているユキオに対して

我がチーム代表マツは「いいな~うらやましい~受けた~いドキドキ」とMっ気発言。


そんなこんなで最後は横断幕を作成、それを掲げて全員で記念撮影をして終了となった。

イベント終了後には、すれ違う子供たち、そして親御さんに「ありがとうございました」と声をかけられた。


自分たちもフットサルの楽しさを改めて実感できた気がした。



FCワンピース物語


〈後半「激闘編」へ続く〉

午前の部のイベントも無事に終わった。

暑さは少しも和らぐことはなく、容赦なく気温を上げていく。


午後はフウガ東京主催のフットサル大会。

合計5チーム参加の総当たりで行われる。

我がワンピも、もちろんエントリーした。


開会式を行い、試合スケジュールを確認。

すると、やっぱり初戦だワンピース。


アイちゃん総監督兼マネージャー以下、メンバーは準備した。

スタメンはホンユーユキオヒサナカネリオとなった。


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そして第1戦「トレイントレイン」戦が開始。

マネージャーのナミちゃんが、このあとお付き合いすることとなるリオを

撮影しようとカメラを操作していると、突然歓声が沸いた。


「ナイッシュ~!リオ~


スタメンが盛り上がっている。


「は?何があった・・?」と思うと、開始数秒で1点を取っていた。


しかし、驚きはそれだけではなかった。

ナカネの「ネガティブショット」が2発、途中交代ユージ鬼殺し」2発。


極めつけはホンユー

まさかのハットトリック達成!!


初戦が鬼門のワンピが8得点の快勝で好スタートをきった。



第2戦目、「フットサル同好会チーム」。

初対戦となる、このチームは苦戦となった。

得点されてもおかしくないシーンが続くがユキオヒサシミ兄を軸に守りきる。


逆にワンピは少ないチャンスの中、ナカネのシュートの跳ね返りをマツが押しこみ先制。

残り少ない時間も、先制点の安堵さから終了まで落ち着いて対処した。


ここまでは予定通りの連勝街道。

優勝するには最低でも、引き分け。負けは許されなかった。

なぜなら、同じく連勝のフウガ東京のスタッフチーム「スタッフウガ」の存在があった。


優勝候補筆頭の成績を気にしつつもワンピの第3戦「KOT」戦。

高い攻撃力を誇るチーム。


お互いガチンコのシーソーゲーム。

攻めては守るの繰り返し、最初のゴールが明暗を分ける試合展開。

決定的な仕事をやってのけたのは、またも意外性の男ホンユーだった。


長い脚を目いっぱい伸ばしキーパーよりも先にボールに触り押しこむと、ゆっくりゴールに流れていった。


こうなると勢いは完全にワンピ。

マツがディフェンスから、左サイドのリオへ、そのまま逆の右サイドを走るナカネへ、

そして再度センターを走るユージの左足へドンピシャのパス。

流れるような完璧なバルサ的ゴールだった。


無敗のワンピ。

攻撃好調はもちろん、守備面でも無失点で3戦を終えた。







「激闘編(決戦)」へ続く

ついに最終戦。

事実上の決勝戦。


スタッフウガももちろん全戦全勝。

ここまでは予想通りだったが、成績を確認すると愕然となった。

1、2戦とも得点力の高さを如何なく発揮していたが、驚愕なのは3戦目。

2点換算の女性がハットトリックで6点をたたき出し、結果は13対0。


ワンピは意気消沈。

「引き分けだと得失点差で・・・」

「いや、うちは無失点だが相手は何失点かしてるし・・・」と

慌しく計算を立てていると、アイ総監督が一喝。


「めんどうだから勝てばいいでしょ(-з-)」


・・・・・・」


「・・・そうだよな、俺たちも全勝だしな!」

「よっしゃ!いくべビックリマーク


決戦前に気合を取り戻すことができた。

その証拠に、入場は皆揃って「ホンユー!!ホンユー!!」コール。

意味はさっぱり分からないが一体となり、リラックスして臨めた。


そして試合開始。

前半戦、技術に上回る相手に防戦一方の展開。

だが走りこみでは負けておらず、一人抜かれてもすぐフォローに入る。


だが、一進一退の攻防戦が続くなか、相手は力を発揮しだした。


これまでゴール前まで運んでくる戦法のためなんとかギリギリで抑えていたが、

ふいに中距離からシュートを打たれた。

放たれたボールは、わずかな隙間を縫い、ユキオの手をかすめネットに突き刺さった。


「まだ大丈夫!」

得点を取りに攻撃を仕掛けにかかる。

前のめりになったところを一瞬の隙をつかれる。

ゴール前へのパスに走りこんだ女性が反応、ワンタッチでゴールへプッシュされた。


立て続けての失点。

この一戦を見守るこれまでの相手チームからはあきらめの声。

まだ試合は中盤にもかかわらず、ワンピメンバーに焦りが生じていた。

「早く取り返さないと・・」思いとプレーは連動しない。

効果的なシュートも打てないまま時間が過ぎていく。


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そんな中、ただ一人、プレッシャーを感じない男がワンピにはいた。

その小柄な男は、ボールを受けると中央突破を開始。

周りもつられて上がるが、どうみてもパスをする気配がない。

そのまま一人、二人とかわし、キーパーが出てきたところをあざ笑うかのような

冷静さでシュートを放つと、あっさりとゴール。

「こんなもんかな・・」とドヤ顔の小憎たらしい男は、リオだった。


続く数分後、またリオが中央から仕掛ける。

相手も同じ手は二度通じないかのようにリオにプレスをかける。

3人がボールを取ろうとするその刹那、今度はゴール前へラストパス。

いきなり来るとは思わず、ユージは「・・・わっわっ!!!」と慌てふためきながらも、押し込んだ。


「おおーーーーー!」観客の声も沸き立った。


ワンピメンバーは皆分かっていた。

「まだ点を取りに行かなければならない」と。

ひとつになったメンバーは、圧倒的な攻勢にでる。


ついに試合は終盤、残りあとわずか。。。

ワンピはコーナーキックに望みをかける。


キッカーのユージは、後方から走りこむヒサを発見。

パスを出したが、そこは素早いチェックでシュートコースを阻まれる。

ヒサはもう一度、コーナーポジションのユージへ。


「だめか・・・」そう思ったときに、一発に賭けてみた。

角度の無い位置からの左足、、「熊殺し」に。



「いっけーーーー!!おんどりゃーーーードンッ



ゴリ押しで放たれたシュートは、ゴール前の密集地帯を抜けた。

会場の視線はボールの行く末に向けられた。


そして、逆サイド上のネットを牙が喰いちぎった。


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁアップアップ

怒号が会場を呑み込む!!


ユージはすぐさまベンチに駆け寄り、倒れこんだ。

そこに折り重なるように集まるメンバー達!歓喜の渦は最高潮に達した!



どうだ!


見たか!!


これが俺らの底力じゃい!!


前までのワンピとは違うんじゃい!!


「おれたちは強い!!!」




おさまらない盛り上がり。

そんな中、「早く起き上がれって!」というマツ代表の声を耳にした。


「いいじゃんかよ!逆転だぜ!もうちょい喜ばせろよー!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・逆転?」


「・・・・・・・・・・・・・・あっ!


「スタッフウガの2点目はたしか女性・・・・・・・2点ゴールじゃん!!!!」


そう、得点数で見ると3対2だが、スコアで見るとこの時、3対3。


しまったーーーー叫び」と立ち上がり、すぐさま試合を再開したが

時すでに遅し、、、試合終了となった汗




何度も味わう準優勝という立ち位置。

だが、これまでとは違った感触、去年とは違う何かをワンピは感じていた。

他のチームから「すごい感動した試合でしたグッド!」との言葉をもらった。


「悔しさ」とともに、新たに芽生えた気持ちを次回の大会では心に想い、

さらに高みを求めなければいけない。


新しい気持ち、それは・・・「おれたちは強い


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「成長の証」終