ボールを使用したフィジカルトレーニングの重要性 | "えいろう" 走り抜ける道!

ボールを使用したフィジカルトレーニングの重要性



指導者向JFA発行マガジンに報告されていた記事です。

「日本人のフィジカル的特徴とは何か?」
~ボールを使用したフィジカルトレーニングの重要性~



2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会の公表データから、日本選手の1試合あたりの移動距離は、出場32カ国中10位であり、上位に位置しています。
この結果は、日本人のフィジカル的特徴として、「持久的パフォーマンス」がストロングポイントであることを示すものです。


しかし、FIFAのデータには、もう一つ重要な数値が公表されていました。
それは、自チームがボールを保持している際の移動距離のデータです。


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総移動距離の結果では、日本は優勝したスペインよりも走っていたことになりますが、自チームがボールを保持した状態での移動距離はスペインが最も多く、日本は31位でした。

このことは、世界大会で良い結果を残すためには、自分たちがイニシアチブをとって、ボールを保持している際に相手チームよりもより多く動くことが必要であること、そして、日本人のフィジカル的特徴である「持久的パフォーマンス」を生かすには、普段のフィジカルトレーニングにおいても、ボールを使って行うことが重要であることを強く示しています。


一般的に、ボールを使用したフィジカルトレーニングは、以下の理由から強く推奨されています。

① サッカーにおいて使われる特有の筋肉群、酸素運搬系が鍛えられる。

② 試合中と同等の身体負荷条件下で、技術的・戦術的スキルをトレーニングできる。

③ ボールを使用しない条件よりも、選手が高いモチベーションを保つことが出来る。


1つめの理由は、生理学的側面からの利点です。
ボールを使用するトレーニングと使用しないトレーニングの違いの一つが、サッカー特有に使われる筋群への刺激です。
特に、大腿四頭筋への刺激は、ボールの有無により大きく左右されます。
さらに、それらの筋への刺激は、酸素運搬系への刺激にも影響します。
ターン、ジャンプ、キック動作、そして連続するスプリント運動では、無酸素的なエネルギーを利用した反動として、その後、多くの酸素摂取が必要になります。
実際に、ボールを使用したトレーニングは、ボールを使用しないトレーニングよりも、心拍数が最大心拍数の95%以上になる割合が高いことが報告されています。
このことは、ボールを利用したトレーニングのほうが、サッカーの動きで必要な筋への酸素運搬能力の適応に優れていることを示しています。


2つめの理由は、技術的・戦術的側面からの利点です。
実際の試合では、高い心拍数や、酸素摂取量、血中酸素濃度などの生理的数値が示すように、強い身体的負荷にさらされています。
そうした状況下でも、正確なボールスキルや戦術的な正しい判断が選手には求められます。
ボールを使用したフィジカルトレーニングでは、特に4対4などのSSG(スモールサイドゲーム)では、こうした技術的・戦術的要素を伴ったフィジカルトレーニングを行うことが可能になります。


3つめの理由は、精神的な特面からの利点です。
ボールを使用しないランニングトレーニングよりも、ボールを使用したトレーニングの方が、取り組む際の意識に差が出てくることが想像できます。
もちろん、ボールを使用しない過酷なランニングトレーニングによって、「俺たちはこれだけ走ったんだから、走り負けるはずがない!」という、精神的自身が得られるという可能性も否定できません。


ここまでは、ボールを利用したトレーニングのメリットを解説してきましたが、このトレーニングには考慮すべき点もあります。
ボールを使用しないランニングトレーニングでは、選手一人一人に十分な運動強度を課すことができるのに対して、ボールを使用したゲーム形式のトレーニングでは、選手間の動きに差があり、十分な運動強度を得られない可能性があります。
特に、ゲーム中にハードワークしない傾向のある選手に対しては、注意すべきポイントになります。
しかし、ボールを使用したトレーニングにおける、

・ ボール(数、サイズ、形、重さ)
・ 選手(味方や相手の人数)
・ ルール(禁止事項、強制事項)
・ ゴール(数、大きさ)
・ フィールド(大きさ、形)
・ 時間(設定)
・ ストレス(緊張、プレッシャー)

をコントロールすることで、十分な運動強度を得ることが可能になります。


以上のことから、
スペインのようにチームでボールを保持した中で、いかに有効で十分な運動量を発揮できるかが重要であることが理解できます。




「JFA Technical news」vol.42より