★室町幕府の奉公衆名簿の近江黒田氏
『江源武鑑』と黒田家』                        
~k-holyの史跡巡りメモ~
沙沙貴神社と近江源氏佐々木一族と黒田家 より引用
http://amago.hatenablog.com/entry/2014/02/07/122650           
沙沙貴神社の『佐々貴一家流々名字之分系』に影響を与えたと見られるのが、その系図において六角家の嫡流とされている「六角氏郷」が記したという日記形式の歴史書『江源武鑑』なのですが、実はこの書物、江戸時代に多くの系図を偽作したと言われている沢田源内の手による偽書とされていて、現在では史料として信頼できないと評価されています。
『江源武鑑』が後世に与えた影響は大きく、佐々木源氏の末裔と称する筑前黒田家の正史という位置付けの『黒田家譜』においても、著者の貝原益軒は官兵衛の父・職隆と祖父・重隆の事跡にこれを多く引用しているため、『黒田家譜』を史料として利用するには他の一次史料との突き合わせが欠かせないと言われています。
佐々木源氏の黒田氏については、室町時代の奉公衆名簿『永享以来御番帳』に御相伴衆として「佐々木黒田備前守高光」が記されているほか、他にも複数の史料に確認されていて、確かに実在していたようですが、『黒田家譜』や『寛政重修諸家譜』が系図に掲げる「黒田宗清」以下の人物については史料には確認できず、佐々木黒田氏と筑前黒田家の関係は不明です。
一方で、播磨多可郡黒田庄を本拠地とする播磨黒田氏も実在したようで、こちらを筑前福岡藩の黒田家に繋げる『荘厳寺本 黒田家略系図』も注目されていますが、この系図も近世に書かれたもので、官位の虚飾や史料との齟齬が指摘されており、真相はまだ明らかではありません。              
画/伝・黒田長政所用白餅紋(日章)陣羽織
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