なぜか弁護士になりました(52)~コンテンツビジネスの原型? | 転落した元弁護士がライターで再起に懸ける軌跡

転落した元弁護士がライターで再起に懸ける軌跡

2016年3月、弁護士を辞職しました。
さらに素晴らしい道を目指して精進中です。

平成10年の9月終わりころ、初めての論文試験の合格発表がありました。

結果は、落ちていました。
このときは自分でも、まあ落ちていると思っていたので、さほどのショックでもありませんでした。

その日は、たしか大学時代からの友人のU村君を呼んで普通に飲んだと思います。

10月からは、また前年と同様、Wセミナーの論文答練に通い出しました。

そのころから、手書きの論証ブロックを手作りで少しずつ作っていきました。

論証ブロックというのは、法律上の論点についての論述のシナリオのようなものです。

司法試験の論文試験では、問題文を読んで、どういう論点の問題であるのかを把握します。
どういう論点がなぜこの問題に絡むのかを論じます。
このステップを業界では「問題提起」といいます。


問題提起ができたら、次にその論点についてどう考えるべきであるのかを論じます。
このステップを業界では「規範定立」といいます。

そして、その考え方を当該問題にあてはめるとどういう結論に至るかを論じます。
このステップを業界では「あてはめ」といいます。

事例問題なら、これで一丁上がりになります。

以上の3ステップのうち、一番目の「問題提起」と三番目の「あてはめ」は、当然、試験会場で問題に対面するまで分からないことです。

それに対して二番目の「規範定立」は、予め準備できることです。

合格するためには、この「規範定立」のために試験本番中に頭を使っているようではダメです。

試験本番では、まず、鋭い問題提起をするために頭をひねります。

それがうまくできたら、準備してある「規範定立」をサラサラっと論じます。
ここは本番では頭を使うべきではなく、手が覚えているとおりにアウトプットの作業をすべき部分なのです。

この事務作業ができたら、最後に「あてはめ」を慎重にやって終わりです。

私は初めての論文試験を受けてみて、「規範定立」の準備が全然足りていなかったことを痛感しました。

その場でいちいち考えて書いていましたので、時間と労力をやたら消耗します。
しかも、そのときどきでブレます。

当然、「あなたは頑張ってますが、まだまだ準備不足です。来年もう一度来なさい。」という結果になったというわけです。

で、この「規範定立」を予め暗記するためのツールが論証ブロックなのです。
もっとも、司法試験予備校の講座を受けている人たちは皆、予備校が作った論証ブロックを持っていました。

私は本試験や答練の会場で論証ブロックをパラパラ見ている人を見て、すごく羨ましく思っていました。

でも羨ましがっていても仕方ないので、自分で少しずつ作っていくことにしました。

実はそれ以前にもそれを試みたことは何度かあったのですが、ロクなものを作れずに終わっていました。
でもこのころには、司法試験の論文の何たるかをだいぶ分かっていたので、かなり適切なものを作ることができました。

文房具屋さんでB5版の白無地の紙を大量に買って、それを半分に切って(それを何サイズというのかは知りませんが)、一論点につき一枚ずつ、答練で出てきた論点から作っていきました。


このようにして勉強を再開しました。

自分としては特段に一念発起したようなつもりは全くなかったのですが、勉強再開後、Y川さんからは「顔つきが変わったど」と言われました。

最低週一回の「とことんコース」はここから本格化していきます。

不合格のショックは自分では感じていなかったのですが、また私は一騒動、起こしてしまいます。