飲酒運転の処分基準緩和 | 福岡若手弁護士のblog

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福岡県弁護士会HP委員会所属の弁護士4名によるBLOG
(ただしうち1名が圧倒的に多いですが、だんだん若手じゃなくなってるし)

休日の酒気帯び運転を理由に懲戒免職にしたのは過酷として、公務員の男性(58)への処分を取り消した最高裁の判断を受け、加西市は飲酒運転を原則的に懲戒免職とする処分の指針を緩和し「停職以上」と改めたようである。


http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111001000421.html


この事件のことはよく知らぬが、他にも数件懲戒免職処分の取消を求めておる訴訟が係属しておるようである。


飲酒から10時間以上も経過して本人にも酒気帯びの認識があったかどうか不明なケースもあるようである。飲酒運転だけはしたことがないが、自分が深酒した次の日に自分ではもう酒が抜けたと思っていても、飲酒検知されたら基準を超えるということはあるかも知れぬな、とは思う。通勤を自動車でやっておらぬので、経験はないが。


自治体の方は飲酒運転撲滅のために原則一律免職処分は正当だとの主張を各訴訟において行っておるようだ。


ここら辺は各自治体によって取り扱いが異なるようであるが、どうも、例えば飲酒後8時間以上経過している場合など、個別ケースによっては処分を行わない自治体もあるようで、確かに事情如何に関わらず一律に免職とすると過酷に過ぎるケースもあるかな、という気はする。


ケースによって判断するってのは当たり前のことであろうが、おそらく各自治体として抵抗しているのは、例えば処分基準で、悪質なケースには免職といったような基準を立ててしまうと、各自治体が各事案において、悪質なケースかそうじゃないのか、といった判断をせねばならぬうえ、場合によると悪質であるという立証責任を自治体が負ってしまうことにもなりかねないからであろう。


飲酒運転撲滅という流れ自体に疑問を呈する余地はないが、どういった取締をやっていくべきか、という点についてはあまり冷静に今まで議論されてこなかったような気がしておる。ここら辺は、単純にスローガンを掲げるだけではなく、そろそろ一般市民の方々もいろいろ考えていく必要があるのではないだろうか。


勘違いされないように念のため言っておくが、飲酒運転はいかんぞ。これは本当に。私は学生の時に免許を取って以降、飲酒運転だけはせぬようにしておる。これは私が酒癖が悪い(周りから言われるだけで本人にはほとんど記憶はないのだが)ので、酒を飲んだ後に運転などできるはずがないという認識があったからであるが、そりゃまともな運転などできぬであろう。で、大体そういうときに、普段では考えられないようなことが起きたりするのが人生の常である。


今まで飲酒運転をしてきて何の問題も起きておらぬのでくせになってしまっておる人に比べたら、ナンボか幸せだなと素直に思える。自分の酒癖の悪さは、実に私の人生の中で悪影響を及ぼしておるのであるが、この点だけは感謝しておる。自分の体質に。実際、このご時世で飲酒運転で引っかかったり、最悪事故なんて起こすと、ある意味人として扱われないくらいの世の中であることはよい子のみんなはよーく肝に銘じておくように。


M弁護士