約款の解釈基準 | 福岡若手弁護士のblog

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(ただしうち1名が圧倒的に多いですが、だんだん若手じゃなくなってるし)

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 自動車保険の約款を巡って何となく

感覚的にはそう感じてはいたものの、

旧い裁判例ですが、約款の解釈

基準を示したものが3件見つかり

ましたので、皆さんの参考までに

UPしてみました。

1、札幌高決昭和45年5月11日

 判時619号63頁

「およそ普通保険約款は、保険会社が

多数の者と同種の保険契約を締結

するにつき、いちいち契約内容を協議

決定することの煩瑣な手数を省くため、

契約内容を定型化して画一的な処理を

行なおうとするものであって、右約款

内容は多岐にわたり詳細周到を極め、

その条項は数多に及ぶのであるが、

商慣習上、保険契約は保険契約者の

約款内容に対する具体的な知不知を

問わず、特にこれによらない旨の意思

表示その他特別の事情のない限り、

約款に則って締結されるものと解すべきで

あり、右約款の制度的法規的性質からして、

その約款の解釈にあたっては、個々の

保険契約者の具体的意思やこれを制定

した保険会社の意図は決定的な資料と

すべきではなく、その適用が予定された

保険契約者一般の合理的な理解

可能性を標準とすべきである。」

2、札幌高決昭和45年4月20日下級裁判所

 民事裁判例集21巻3・4号603頁

疑わしい場合には、むろん一般契約者の

利益に解釈すべく

3、東京地裁昭和45年6月22日

 判時602号3頁

「一般に約款は企業者が集団的取引の

便宜のために作成するものであるが、

それは結局において経済的優位に立つ

企業者が譲歩しうる限度において自己に

有利なように定型的な規律を設けたものと
いうべきであつて、保険約款の場合にも、

監督官庁の認可を要するとはいえ、

その例外とはいえないものである。従って、

その免責条項も保険者に有利に類推

ないし拡張解釈をなすべきではない。」

 約款解釈を巡る法廷紛争においては、

ぜひ有効に上記3判例を活用してね!

 ろぼっと軽ジK