今テレビを見てたらおったまげた | 福岡若手弁護士のblog

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福岡県弁護士会HP委員会所属の弁護士4名によるBLOG
(ただしうち1名が圧倒的に多いですが、だんだん若手じゃなくなってるし)

仲田容疑者の那覇署から千葉県警への移送の様子がニュースで流れておった。


いや、おったまげた。飛行機の中でマスコミが大挙して撮影し、キャビンアテンダンドさんが「他のお客様の迷惑になるのでお席に戻って頂けないでしょうか」と悲しく懇願しておった。心から同情する。ちなみに、キャビンアテンダンドさんや刑事さん、お巡りさん達が映像に映っておったが、あれはどう考えても同意なく撮影されておるよなぁ。肖像権侵害で訴えたいのであれば相談にのろうと思っておる(笑)。


警察署から出発した車を追いかけて、飛行機に乗れば飛行機の席に殺到し、報道合戦は加熱するばかりであるなぁ。


しかし、視聴者はこういった移動中の被疑者の映像を逐一みたいのだろうか?被疑者の人権云々は関係なく。マスコミが大挙して、交通にも影響を与え、空港(夏休み中で混雑しておるであろうになぁ)の利用者にも幾ばくかの影響を与え、飛行機の中では、映像では幸い被疑者周辺に一般客はおらんかったようであるが、乗務員、通路占拠により、同乗した乗客に幾ばくかの迷惑をかけ、そこまでして撮影した映像に、どこまで報道価値があるのであろうか。国民の知る権利を充足させるというのが彼らの使命であろうが、飛行機に乗って移動しておる姿を国民が知って、自己実現、自己統治になんらかの意味があるのであろうか。


極めて皮肉チックに言えば、私なんかは、マスコミの加熱報道をなんとかせよ、という方向で自己統治の方向に資しておるとも言えなくはないのだが・・・。


マスコミには、今一度何のための報道なのか、報道することに何の意味があるのかを考えて欲しいと切に願う。今撮影している映像に何の価値があるのかを今一度自分自身に問いかけて欲しい。布をかぶった被疑者の映像を見たいという視聴者がどれだけいるのか。周りに迷惑をかけてまで。被疑者の人権云々とかは関係なく。そこら辺のゴシップ誌がやっておるのであれば、何とも思わぬが、全国放送のキー局の報道部がこぞってこの加熱した報道合戦に参加しておることに暗澹たる気分となるのである。


マスコミは何を伝えたいのか本気で考えること自体が極めて無意味な行動なのかもしれぬと思っておるが、このように思われること自体がマスコミにとっては極めて侮辱的な事態であろうと勝手に考えておる。


念のために付言しておくが、仲田容疑者にかけられておる容疑が許しがたいものであるのかどうか、遺族や被害者がどのような苦しみの渦に放り込まれたのかどうかとは別次元の問題であるぞ。


M弁護士