この聞き覚えのない言葉…じつはフランス語だが
日本語に訳すと”尊き責務”ということになる。
”尊き責務”とは体を張ること。
むろん単に体を張る行為というのではない。
単に体を張るだけならば、そのへんのヤクザだってやってる。
他者を守るために体を張る…それゆえに”尊き責務”。
義務ではなくあくまで責務…
やらねばならない行為としての義務よりは
道義的に高いとされる責務なのである。
では具体的にはどういうことかというとで例示すれば、
中世のフランスやヨーロッパでは、貴族や支配者階級の者達が
自らを省みず武力をもって敵から見方を守るということであった。
それゆえヨーロッパでは、彼ら貴族や騎士階級が尊敬され、
彼らが支配階級を占めてきた。
もちろん現代の支配者たちが武器を手に現れることはないが
象徴的な意味として、彼の国には今でも厳として
この言葉が残っている。
エリートは、他の人々よりも優れた資質や金銭、また社会的立場を
占めているから尊敬されるのではなく、その資質や地位を活用して、
それらを持ってない人々を守るからこそ敬意を払われたのである。
かつてのヨーロッパの古い城塞都市では、まわりに城壁や
水をたたえた堀をめぐらせていた。
そして敵が攻めてくればいの一番に城壁に立ち
身を賭して戦うのがエリートの責務であったという。
しかし現代の日本では”尊き責務”はエリートだけが
成しえるものではなく、市井の人々にも
それをまっとうしようとする方々がたくさんおられる。
今回の震災で未曾有の大事となった福島原発。
ここで他者を救うため、助けるために身を投げ出して
安全・復旧作業に従事している人たちがいます。
この危急の有事に責務なくして
彼らにそんなことができるでしょうか?
人はややもすれば自分にとっての大事は損か得か…
これが自分にとっての主題であり
他者とはその次に位置しているものです。
ですが、もしも今の日本にノーブレス オブリージュなる言葉が
あるとすれば、それは支配者階級でもなく社会的地位が
高いわけでもない彼らにこそふさわしいでしょう。
無事の帰還を祈念しています。