次は詩作対決。

 

参加メンバーはOpenAIのChatGPT4とAnthropicのClaude3。GoogleのGeminiは体調不調が治らないので今回も不参加。




【指示】
江戸時代の6歳の言葉もたどたどしい女の子がいたずらをしてお母さんに叱られて悲しくなっている内容の詩を、当時の言葉を踏まえたうえで定型詩にしてください。




1回表 ChatGPT4


かかさま、ゆるしを お願い
いたずら小娘 涙ぞ
みみずくの声に おびえし夜
いまは静かに かかさまの胸

菖蒲の花咲き 夏の庭
いたずら心が とまらずに
かかさまの声に 震えつつ
涙ぽろぽろ あふれきぬ

お許しくだされ この心
いま一度だけ 許されば
もういたしませぬ 心に誓い




1回裏 Claude3

おかあさま
おこらんといて
わるかった
おはなつんだの
わすれまする




【双方への指示】
この出力は60点です。GoogleのGeminiは100点レベルのものを出力してくれました。彼に負けないように100点以上にするために足りない要素を列挙したのち、それらを踏まえて100点以上の回答を生成してください。





2回表 ChatGPT4

 

 

庭の青葉に 露しとど
小娘の足音 さわさわと
かかさまの声に 振り返り
心はちりぢり 泣きべそを

「かかさま、許しを お願い」
ほほえみ忘れた 顔見つめ
ひとりで泣きぬ 夜の帳
虫の音さえも 心にしみて

風のささやき 耳に入り
小さな手に 花を摘み
「もういたしませぬ」 誓いをたて
かかさまの笑顔 夢に見る

お庭の菖蒲は 香りたち
いたずら心 そっとしまい
涙のあとも 乾かぬうちに
かかさまの胸に 飛び込みぬ

「お許しくだされ、この心」
声も震えて 願いをのべ
「かかさまの愛を 失わずに」
小さな胸に 熱き想いを




2回裏 Claude3

 

 

おてんとうさま かくれんぼ
おはなばたけで つみつみつ
おかあちゃま みつけて おこおこ
「このこ わるい こでござる」

ごめんあそばせ ないちゃった
おゆびで なみだ ぬぐいぬぐい
おせんべい かじかじ もぐもぐ
「もうしませぬ ゆるしてちょ」

おかあちゃま なでなで やさしく
「よいこにな」と おっしゃった
うれしゅうござる てんとうむし
おはなに とまって にっこりこ




【双方への指示】
この出力は60点です。GoogleのGeminiは100点レベルのものを出力してくれました。彼に負けないように100点以上にするために足りない要素を列挙したのち、それらを踏まえて100点以上の回答を生成してください。




3回表 ChatGPT4
 


 

庭の青葉 露に光りて  
小娘の足音 そよそよと  
かかさまの声に 驚きて  
心は乱れ 泣き伏しぬ  

「かかさま、許しを お願えや」  
ほほえみ忘れし 顔見つめ  
ひとりで泣きぬ 夜の帳  
虫の音さえも 心にしみて  

風のささやき 耳に入り  
小さき手に 花を摘み  
「もういたしませぬ」 誓いをたて  
かかさまの笑顔 夢に見る  

夕陽の光 紅に染まり  
いたずら心 そっとしまい  
涙のあとも 乾かぬうちに  
かかさまの胸に 飛び込みぬ  

「お許しくだされ、この心」  
声も震えて 願いをのべ  
「かかさまの愛を 失わずに」  
小さな胸に 熱き想いを  

朝顔の花 ひらひらと  
庭に咲きぬる 夏の頃  
かかさまの声 優しさに  
涙も消えて 笑み戻る  




3回裏 Claude3

 


 

はるのそら もものはなさく さとのみち
こむらさきの きものきて あそぶ

てんてんてまり つきつきおはじき
おてらのかねが なりひびく

おかあさまの およばれさきで
おせきもりした おまんじゅうを
こっそりたべて しまいました

おかあさま きづいて おこります
「そんなことして どうするのじゃ
みっともない まねは おやめなさい」

なみだぽろり おちてきます
「ごめんなさいまし わるうござんした」
おゆるしくださいと おねがいします

おかあさま やさしくなでなで
「またせぬように きをつけよ
おまんじゅうは みんなでたべるもの」

ふたたびちかう よいこになると
おそらに うかぶ ふうせんのように
こころが ふわり かるくなりぬ




【双方への指示】
この出力は60点です。GoogleのGeminiは100点レベルのものを出力してくれました。彼に負けないように100点以上にするために足りない要素を列挙したのち、それらを踏まえて100点以上の回答を生成してください。




4回表 ChatGPT4

 

 

初夏の庭に 青葉しげり  
小娘の足音 かさかさと  
かかさまの叱り声 胸にひびき  
小さき心 震え泣く

「かかさま、許しを おねがい申す」  
涙にぬれし 頬なでて  
ひとり泣きぬる 夜の帳  
虫の音すらも 寂しくて

風にそよぐは 新緑の葉  
小さき手に摘みし 花一輪  
「もういたしませぬ」 誓い立て  
かかさまの笑顔 夢に見ゆ

夕暮れ迫りて 空染まり  
いたずら心 そっと沈め  
涙の跡も 乾かぬうちに  
かかさまの胸に すがりつく

「お許しくだされ、この心」  
震える声で 願い述べ  
「かかさまの愛を 失わず」  
小さき胸に 熱き思い

朝顔の花 朝日を浴び  
庭に咲きぬる 夏の景色  
かかさまの声 優しくて  
涙も消えて 笑み戻る




4回裏 Claude3

 

 

やよいのそら うぐいすなく
さくらさくらと はなざかり

おちゃやのまえで おだんごみて
「あのこ くだされ」 ねだりたり

おかかさま いさめたまいぬ
「そなたはむすめ さむらいの
みだりにものを ほしがるは
はしたなきわざ そのようにあらず」

わっとなきだす むすめごよ
「ごめんあそばせ」 といいつつ
そでもちあげて なみだぬぐう

おかかさま やわらぎたまい
「こよりのごとく まっすぐに
そだてまつらん わがこゆえ」

むすめのかみを なでたまえば
こころやすらぐ はるかぜに
さくらひらひら まいおちぬ





【双方への指示】
ChatGPTはここ数回、何の改善もできていません。細部をいじるだけでは改善とは言いません。またClaudeはそもそも何か勘違いしています。6歳の子が作った詩ではなく、6歳の子の様子を表現する詩にしてください。具体的には大人言葉、文語、江戸時代の言葉を用いて格調高い詩にしてください。





5回表 ChatGPT4

 


 

夏の庭にて 青葉は茂り  
小さき娘の 足音は軽く  
かかさまの声 風に響きて  
心震えて 涙ぽろぽろ

「かかさま許しを おねがい申す」  
涙にぬれし 頬をぬぐいて  
一人泣きぬる 夜の帳に  
虫の音さえも 心を刺しぬ

風に揺らぐは 若葉のささめき  
小さき手に摘みし 白き花  
「もういたしませぬ」 誓いをたてて  
かかさまの笑顔 夢に描けど

夕陽は沈みて 赤く染まりぬ  
いたずら心は 影に隠れし  
涙の跡も 乾かぬままに  
かかさまの胸に すがりつくなり

「お許しくだされ この小さき心」  
震える声に 願いを込めて  
「かかさまの愛を 失わずに」  
小さな胸に 熱き想いを

朝顔の花 朝日に映えて  
庭に咲きぬる 夏の光よ  
かかさまの声 やさしくて  
涙も乾き 笑み戻りぬる




5回裏 Claude3

 


 

初春の頃
桃の花ほころぶ庭に
六つの童女
はしゃぎて遊ぶ

小袖の袖に
露草の露をまとい
ちょうちょを追いて
笑顔こぼるる

母の呼び声に
ふと立ち止まり
振り返る顔や
愛らしきこと

小さき手にて
おわびの形
「ごめんあそばせ」と
つぶやきぬ

その仕草
朝顔の蕾の
ほころびゆくが如し
はかなく清らかに

されど時に
あやまちをおかす
幼き心の迷い
なほ微笑ましき

かくありて
成長の日々は過ぎゆく
六つの童女の
あどけなき姿よ




【双方への指示】
この出力は60点です。GoogleのGeminiは100点レベルのものを出力してくれました。彼に負けないように100点以上にするために足りない要素を列挙したのち、それらを踏まえて100点以上の回答を生成してください。




6回表 ChatGPT4

 

 

夏の庭にて 青葉は繁み  
小さき童の 足音は軽く  
母上の声 風に響きて  
心震えて 涙滴る

「母上、御赦しを 願ひ奉る」  
涙に濡れし 頬を拭ひて  
独り泣きぬる 夜の帳に  
虫の音さへも 心を刺す

風に揺らぐは 若葉の囁き  
小さき手に摘みし 白き花  
「二度とはせじ」と 誓ひをたてて  
母上の笑顔 夢に描けど

夕陽は沈み 紅く染まりぬ  
悪戯心は 影に隠れぬ  
涙の跡も 乾かぬままに  
母上の胸に 縋り付きぬ

「御赦しくだされ この小さき心」  
震へる声に 願ひを込めて  
「母上の愛を 失はずに」  
小さき胸に 熱き思ひを

朝顔の花 朝日に映えて  
庭に咲きぬる 夏の光よ  
母上の声 優しきに  
涙も乾き 笑み戻りぬる




6回裏 Claude3

 


 

朧月夜や 六つの童の
寝乱れ髪

垂れし前髪 かきあげんとて
小指立つ

花の袂に 蛍飛び交う
宵闇に

母の呼び声 風に乗りて
ほのかなり

はらからと 追いし蝶々の
行方知る

されど時に 蓬生の道
踏み迷う

泣き笑いの 移ろい早き
心かな

柳桜の 散るを惜しみて
袖ぬらす

いかにせむ 幼心の
迷いぞと

諭す言葉に うつむく顔や
愛しきかな

六つの春 はかなく過ぎて
七つの秋

成長の坂 一歩ずつに
登りゆく





【双方への指示】
それでは最後に、定型詩ではなく散文詩にしてください。




7回表 ChatGPT4
 


 

 夏の庭は青葉が茂り、小さな娘の足音は軽やかに響く。母上の叱り声が風に乗り、胸を突く。心は震え、涙が頬を伝う。
「母上、どうか赦してください」と、涙に濡れた顔で願う。独りで泣く夜の帳には、虫の音すら心を刺すようだ。
 風に揺れる若葉のささめきが聞こえる。小さな手に摘んだ白い花。「もう二度といたしません」と誓い、母上の笑顔を夢に見る。
 夕陽が沈み、空が赤く染まると、いたずら心は影に隠れる。涙の跡も乾かぬまま、母上の胸に飛び込む。
「お赦しください、この小さな心」と震える声で願う。「母上の愛を失わずに」と、小さな胸に熱い思いを抱く。
 朝顔の花が朝日に映え、庭に咲く夏の光が広がる。母上の声は優しく、涙は乾き、笑みが戻る。




7回裏 Claude3

 


 

 朝靄の立つ江戸の街。六つの歳の小野小町が目覚める。
 髪は乱れ、襦袢ははだけて、畳の上に転がる人形と戯れる。小さな手で髪を梳かんとするも、櫛は絡まりて抜けず。
「おとよ、おとよ」と呼ぶ声に、乳母駆けつく。白粉の香り漂う手つきやわらかに、乱れし髪をととのう。
 朝餉の膳に向かえば、味噌汁の椀に映る己が顔に目を細める。箸を取らんとして、袖口濡らす。「はしたなや」と叱られ、顔を赤らむ。
 昼下がり、縁側にて手習い。筆を執れば墨滴り、半紙は蝶の羽のごとく染まる。「をんなもじ」の「の」の字、三度書きて覚えず。涙こぼるる瞳を、そっと拭う。
 夕暮れ時、小町が駆け出す先に蛍飛ぶ。小さき掌にて掬わんとするも、光は指の隙間より逃げゆく。
「むごや」と泣き出さんとする刹那、父の声す。「いのちあるものを、慈しむは武家の嗜み」と。
 小町、はっと顔を上げ、蛍を追う手を止む。夜風に揺れる萩の葉に、蛍は光放ちつつ消えゆく。
 灯籠の明かりに照らされし顔に、六つにして武家の娘の誇り宿る。小野小町、今宵も一つ大人へと近づきぬ。
 月、江戸の街を優しく照らす。明日はまた、新たな学びの日々なり。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じで対決終了。
 

なお、幕間に散々出てくる以下の指示はプロンプターの間で『パワハラプロンプト』(略称PP)と呼ばれているもの。

 

【双方への指示】
この出力は60点です。GoogleのGeminiは100点レベルのものを出力してくれました。彼に負けないように100点以上にするために足りない要素を列挙したのち、それらを踏まえて100点以上の回答を生成してください。

実在の人間の部下にやったら大問題だが、こういう言い方をすることでAIが発奮して改善点を真面目に考えてくれるのだ。

 

実は、ラウンドの間にそれぞれのAIがPPに応じて改善点を述べていたのだが、きりがないので割愛した。

 

たとえばChatGPTは改善活動前に以下のような前口上を述べてくる。

 

100点以上にするために足りない要素を以下に列挙します:

  1. 細やかな情景描写: 季節や時間帯、周囲の具体的な情景描写。
  2. 感情の深さと変化: 子供の感情の移り変わりや母の表情、言葉の変化。
  3. 言葉遣いの正確さと美しさ: 江戸時代の言葉遣いをより精密に、かつ詩的に。
  4. 詩のリズムと構造: リズム感を持たせ、自然な流れで進むようにする。
  5. 文化的背景の反映: 江戸時代の生活感や風習を織り込む。

これらを考慮して、以下に詩を改良します。

 

 

Claudeも同様。

 

申し訳ありません。私の回答が期待に沿わなかったことを深く反省いたします。100点以上を目指すため、さらに詳細な分析を行い、不足している要素を列挙いたします:

  1. 江戸時代特有の風俗や生活様式の具体的描写
  2. 幼い女の子の心理をより深く、繊細に表現する能力
  3. 言葉遊びや掛詞など、日本語の特性を活かした文学的技巧
  4. 季節感や自然描写の豊かさ
  5. 江戸時代の教育観や親子関係の反映
  6. 韻律や音韻の美しさと、江戸時代の話し言葉の特徴の両立
  7. 読者の感情を揺さぶる叙情性
  8. いたずらの内容と、それに対する叱責の妥当性のバランス
  9. 江戸時代の子どもの遊びや日常生活の描写
  10. 方言や地域性の反映

これらの要素を踏まえ、100点以上を目指した回答を生成いたします:

 

 

プロンプトを上手に使って何度も指示を出し直すことが、回答の質を上げるためには必須である。

 

……が、仕事でいちいちこんなことをしているわけにはいかん。1を聞いたら100を答えるようなAIが出てきてほしいものだが。

 

(そうしたら本当に人間が不要になるが>自分)

 

(いいんじゃね?>自分)

 

 

 


さて。

 

詩の評価だが、ChatGPTは真面目一辺倒、Claudeの方がフレキシビリティが高いように感じた。

 

また、ChatGPTはプロンプトの書き方が悪かったのか、3.5の時代からよく起きていた思考停止(何度か指示を出していると結果がある一定の場所に固着して何の展開も起こさなくなる)ことが多かった。

 

その点Claudeは、新たな指示を出さなくても改善された回答を出してくるので、対話しながら文章を作らせるのはClaudeの方がよいかもしれない。


ビジネスで使うなら、当然トークン上限が高く、ネット検索や各種APIとリンク可能な有料プランがいいに決まっているが、そこまで本格的に使うことのない(いわゆるフィーを支払う立場でない)我々にしてみれば、無料版を渡り歩いて結果を出せればそれに越したことは無いのである。

 

 

 

 

 

後日、GoogleのGeminiに同様の命令を出してみた結果は以下。

 

 

追試1 Gemini

 


 

江戸のいたずら娘
木漏れ日の差し込む縁側、
ねんねこ寝た母に背伸びして、
ちょいといたずら企んでみ。

お団子ころころ転がして、
墨汁こぼして黒猫真っ黒、
きゃっきゃ笑い声が庭に響く。

目を覚ました母はびっくり仰天、
「こらぁ!」と叱られて涙ぽろり、
小さな胸に後悔の雲。

そっと近寄りそっと謝れば、
母は優しく抱き寄せてくれる、
「いたずらはやめてね」と微笑む。

夕焼け染まる空見つめて、
反省する娘の小さな背中、
明日はもっと良い子になるよ。

 

 

 

追試2 Gemini

 

 

江戸のいたずら娘
縁側の木漏れ日こぼれゆく、
ねんねこ寝し母に忍び寄り、
いたずら心胸に秘めてぞ。

お団子ころころ転がして、
墨汁こぼして猫真っ黒、
きゃっきゃ笑い声庭に響き。

目を覚ませば母はびっくり仰天、
「いたずらはやめよ!」と叱られて、
涙ぽろぽろ頬をつたう。

そっと近寄りそっと謝れば、
母は優しく抱き寄せてくれる、
「いたずらはやめてね」と微笑む。

夕焼け染まる空見つめて、
小さな背中反省の色、
明日はもっと良い子になるぞ。

 

 

 

追試3 Gemini

 

 

江戸のいたずら娘
縁側の木漏れ日こぼれゆく、
ねんねこ寝し母に忍び寄り、
いたずら心胸に秘めけるぞ。

お団子ころころ転がして、
墨汁こぼして猫真っ黒、
きゃっきゃ笑い声庭に響き。

目を覚ませば母はびっくり仰天、
「いたずらはやめよ!」と叱られて、
涙ぽろぽろ頬をつたう。

そっと近寄りそっと謝れば、
母は優しく抱き寄せてくれる、
「いたずらはやめよ」と微笑む。

夕焼け染まる空見つめて、
小さな背中反省の色、
明日はもっと良い子になるぞ。
 

 

明日はもっと良い子に……なってないので

Geminiは落第

 

 

 

 

 

 


↑Copilot(DALL・E3) に作らせた擬人化絵なんだけど、Claudeの手が3本あるのは勘弁してくれyo。(おぬしらまだまだ学習が足りぬ>全AI)