8月7日の月曜日。

 

仕事から帰宅して、子供達とダイニングテーブルについて食事中。

嫁ちゃん「ほれ、ちび、今日あったことをパパに話せ」

ちび(8)「……」

俺「どうした? 何かあったのか?」

ちび(8)「あのね。おねえちゃんが、あさ、びょういんにいったの」

娘は先週末から喉風邪をこじらせている様子だったので、一応見てもらってこいと言ったのだが、早速行ったらしい。

俺「ほう。それで具合は?」

嫁ちゃん「やっぱり喉風邪やって。よく効く薬を出してもろた」

俺「それじゃ、そっちはいいや。それで?」

ちび(8)「それから、ママといっしょに、しょくばまで、おくってあげたの」

俺「それはご苦労さん。だが、それがどうした?」

ちび(8)「もんだいは、ここからなの」

確かにちび(8)はそう言った。

俺「問題? 何かあったのか?」

ちび(8)「うん」

俺「何があった?」

ちび(8)「あのね。かえりに、ママが、アイスクリームたべていこう、っていってくれて、アイスクリームやさんに、よったの」

もうこの時点で、俺の脳内には鮮やかな光景が広がっていた。

ちび(8)が何かに蹴つまづいて手に持っていたアイスをぶっ飛ばし、放物線を描いて飛んだそれが引力に従って地面にベチャと落ちる光景が。



だが、ここで先出しはよくない。

だから黙って聞く。

俺「ほう。良かったじゃんか。アイス食べれて」

ちび(8)「たべれなかった……」

コロッケを箸でつかみながら、みるみるちび(8)の目に涙が溜まっていく。

俺「何でだ?」

ちび(8)「いすが、いっぱいだったから、くるまで、たべようとして、おいてあった、たいやに、つまづいたの」

俺「それで、落としたと」

ちび(8)「うわーん! うわーん! うわーん!」

悔し泣きであり、悲しみの涙であり、自分に対する怒りの絶叫。

俺「で? きれいに落としたの?」

嫁ちゃん「おお。そりゃー見事なもんやったで。まるでマンガや。つまづいて、あっという間に手を離れたクリーム部分だけがすっ飛んだ。ちびの手に残ったのはコーンだけや」

俺「ぎゃはは!」

ちび(8)「わらわないでよ!」

俺「いや、いいじゃん。たかがそれっぽっちで、良い経験させてもらえたんだから。どうせ300円かそこらだろ?」

嫁ちゃん「400円や」

ちび(8)「おかね、むだにしちゃった……」

俺「たかだか400円だし、気にすんな。5分働けば稼げる金額だ。とうちゃんの時給は5,500円だからな」

こういうところできちんとドヤっておかないと、子供達からただのAI好きなおっさんだと思われても困る。

娘(18)「へー、パパの時給、そんなに高いんだ」

俺「もっと高い時もあったぞ。30分しゃべっただけで、2万円の時とか」

娘(18)「へー。売れっ子芸人並みだね」

俺「俺は芸人じゃねえし、他人をいじるアホなベシャリで金取ったりしねえわ。あくまで技術者。ぎ・じゅ・つ・しゃ」

娘(18)「それはもういいよ。ねえちび、だから姉ちゃんはアイス屋ではカップを買うんだよ。コーンは買わないんだよ」

嫁ちゃん「こやつも、あんたくらいの時に同じことをしたんやで」

ちび(8)「ほんと……?」

娘(18)「したした。呆然とした。あれは、横で見ている人の10倍くらい本人はダメージ受けてる。だからそれからはカップを買うことにしたんだけど、あんたもカップにすればよかったのにね」

ちび(8)「うわーん! うわーん! うわーん!」

娘(18)「何で泣く?」

ちび(8)「おねえちゃんが、ぼくが、かっぷを、かわなかったことを、ばかにしてる!」

娘(18)「いや……そういうつもりじゃ……」

ちび(8)「ぼくが、こーんをかったから、おとしたって、いいたいんでしょ!」

娘(18)「八つ当たりかよ……」

嫁ちゃん「八つ当たりやな」

ちび(8)「うわーん! うわーん! うわーん!」

俺「おい、いい加減にしろ。いつまでも泣いてると、庭に竪穴式住居作ってそこにひとりで住まわせるぞ」

ちび(8)「……」

(最近の叱り言葉はマジでこれ)






俺「そんなのは、小さい頃にみんな一度やるミスだし、もう泣くのはやめろ。むしろお前がひとつ賢くなったので、とうちゃんは嬉しい」

ちび(8)「なにがかしこくなったの?」

俺「ドラえもんとかで、アイスを持ったままのび太が転んだりするだろ? あの時ののび太の気持ちがすげー深く理解できるようになったじゃんか」

ちび(8)「あ、そうか」

俺「そいつと同じ目に遭ってみなければ、そいつの本当の気持ちには近づけない。だからいろんな体験をしろと言っている。そして、他人の気持ちを想像できるような人間になれ。その能力はあとで必ず自分を助けてくれる」

ちび(8)「うん……」

俺「最近この国に増えてきたサルの一家なんざ、人の迷惑を顧みずに好き放題やりたい放題だ。そんなバカザルに育てられたガキもサルなみの低能に育ってる。親に教える頭がないから当然だ。バカのガキはバカだ。サルだ。サルなんざとっとと駆除しちまえばいい。檻に入れて毒ガスで殺処分しちまえばいい」
 

 

 

 

 

 


俺「そういや、こないだ行った温泉にもいただろ? サル2匹」

ちび(8)「そうだね……あと、おとうさんサルも、いたね……」

俺「大浴場のドアを開けっ放しで平気なサルどもだぞ。平気でちんこをこっちへ向けてくるサルどもだぞ。他人様をじろじろ見るサルどもだぞ。あんな連中がいずれどうなるかは想像つくだろ? まともな人生なんか送れるか。周囲から嫌われて、ウザがられて、困っても誰も助けてくれずに、のたれ死ぬのがせいぜいだ」

嫁ちゃん「まあ、サルはどうでもええが、とにかく気にするな。400円払って勉強できたと思えばええやろ」

ちび(8)「でも……くれーんげーむのときと、おなじ……おかねを、むだにしちゃったから」

 

(↓くれーんげーむのとき)



俺「無駄じゃない。お前は、たった400円の投資で、転んだ子の手から飛んだアイスが地面に落ちた時、その子がどんな気持ちになっているかを理解できる人間になれたんだ。400円で学べたのなら安い」

嫁ちゃん「お店の人には謝って掃除をお願いしてきたし、あとはあんたの気持ちがすっきりすれば一件落着やな。パパもああ言ってくれたし」

ちび(8)「……」

俺「じゃあ、いいことを教えてやろう。こんな思いをしたくないなら、アイスを買わなければいいんだよ」

ちび(8)「……」

俺「アイスを買わなければ、落とすこともない。落とすこともなければ、悲しむこともないだろ?」

 

娘(18)「それは、ひょっとして……」

 

俺「そう! こんなに悲しいのならアイスなどいらぬ! ドドオオン!」

 

 

ⓒ北斗の拳ⓒ原哲夫ⓒ集英社

 

 

ちび(8)「……」

俺「あ、上手くオチたと思ったんだけど、ダメ?」

ちび(8)「……」

俺「今度また買いに行けばいいじゃんか。とうちゃんが奢ってやるから」

ちび(8)「……」

嫁ちゃん「納得いっとらんようやな」

俺「そうだな」

時間が解決することだし、放っておくことにした。

 

……にしても、かわいい。

 

ムキになってお姉ちゃんに突っかかっていったり、思い出して涙ぐんだり、自分が悪かったのに八つ当たりするしかない8歳。

「せっかくわすれてたのに、おもいださせないでよ!」なんて怒る8歳。

かわいい。

 

嫁ちゃんに子供産んでもらってよかった。ありがとう。








いきなり話は変わるが、俺はラノベに興味がない。

 

ご都合主義系モノは特に虫唾が走るので避けている。

その理由に、ご都合主義を書く作家もどきには、人生経験の浅いやつが多いように見受けられるからだ。(あんなので作家を名乗られてもなあ)

 



 

あのような作家気取りの連中は、先に書いてきたような「つまづいてアイスを落としてしまった子供」の心境描写すら正確に行うことができない。

なぜなら連中は、人生の大半を部屋にこもってゲームしかしてこなかったから。

 

アイスを買い、喜び、走り、つまづき、落とし、呆然とそれを見つめるような、人間としての経験を積んでこなかったから。

心を震わせてこなかったから。

だから連中が作中に特に好んで用いる『信頼』『友情』『愛』『恋』『裏切り』『諦め』などの描写は目を覆うほど悲惨であり、どこぞのアニメや漫画の丸パクリか、心を持った実在の人間の気持ちとはおよそかけ離れた、独善思考による身勝手なご都合主義に基づいた展開しか作れない。

命を預け合った仲間もいねえくせに『友情』とか描かないでほしいんだが。

 

恋して振られたこともねえ一生片想いのストーカーもどきが『愛』とか描かないでほしいんだが。

ラノベにもいろいろあるが、異世界転生系や俺つええ系の作者は本当に人間としての経験が足りないと思う。連中の文は読んでいて5,000%確実に気持ちが悪くなるし、本当に恥ずかしくて先を追えない。よくこんな低レベルで恥ずかしい文章を世に出す気になったと感心すらする。

なら読むなって? だから読んでない。最近は。


ああいう駄文も諸事情で眺めなければいけないこともあるが、アホがうつると困るから1冊2分くらいでパラパラ読みしかしないし、自分の子供にも読ませたくない。読ませる場合「これはアホがアホ向けに書いたから日本語が不自由だし、言ってることも自己満足の滅茶苦茶だけど、そこんとこヨロシク」と言って読ませる。

彼らが振り回す言葉には、重みもなければ美しさもなく、馥郁たる香りも、響き渡る余韻もない。もちろん日本語に対する愛もない。ただ顔を真っ赤にしてちんこをいじっている醜悪な中年男の姿しか伝わってこない。俺には。

 

芥川や太宰がそうじゃないとは言わないが、せめて彼らのように、それらを感じさせないような知的な文章を提供してもらいたいものだと思う。

 

歴史に名を遺したどの古典作家も、つまるところ文章を書くことで自慰行為を行ったことは否定しないが、昨今のラノベ作家はあからさま過ぎる。

 

登場人物の名前からして鳥肌が立つ恥ずかしさだし、そのキャラクターの設定や、ご都合主義的に流れるストーリーなどが、あまりに「俺すげえっしょ!」「俺天才!」というキモい承認欲求と自己顕示の怨念に彩られすぎていて、活字を見ただけで吐き気がする。いや、最近のは本当に表紙を見ただけで無理。


それからついでに言っておくと、あんなものしか読めない、あんなものにしか興味を示せない識字障害一歩手前のバカ読者とも仲良くしたくないし、あんなゴミを掘り出して商業化→メディアミックス展開を行う編集者の気持ちも理解したくない。いくら仕事とはいえ、恥ずかしくないのだろうか?

 

ま、以下のQ&Aにもあるように、関係者全員が破れ鍋に綴じ蓋というのが正解なのだろう。俺には関係ない世界のようだし、作者と読者はお似合いみたいだし。

 

 


まだエロ漫画や大人のビデオの方がコンテンツとしてはまともだと、つくづく感じている。特にエロ漫画には文芸作品なみの輝きを持つハイレベルなものもあるから侮れない。だが映倫通ってないFC2系の素人動画はダメ。あれはAIグラビアと同じで中身がない。動物の生態を観察するだけの生物学的資料映像。つまり、好きなら見りゃいいが、本質的には動物学者でもない俺達には見る価値もない。

などなど勝手なことを言ってきたが、遊戯カードの購入に伴う殴り合いや、アイドルコンサートでの乱闘事件に代表されるように、消費者の行動レベルがもはや人間とは呼べない次元に落ちている令和の世。

人間はここまであっさり人間性を捨てて獣性に引きずられて生きることができるのかと思うと、戦慄を超えて呆れている。

 

エログロ文明に堕したソドムとゴモラが神の炎で焼き払われた伝説のように、LGBTに市民権なんか与えちまったこの世には、そろそろ神の怒りによる火の洗礼が訪れてもいいんじゃないか?

 

で、サル化した欲ボケ人類とその穢れきった文明を焼き尽くす。痛快だ。

 

一度地面に落ちてしまったアイスと一緒で、ここまで堕落しきった人類には、もう幸せな未来は来ないのかもしれん。

 

だからこそ俺にとっては、世界がどうなろうと知ったこっちゃなくて、自分の家庭とその周辺だけが大切なのだ。サルが何しようが、何人死のうがどうでもいい。