火曜日。

中2日明けの透析日だが、午前中は一所懸命に働いて帰宅し、午後から透析。

重度障害医療助成証と更生医療証、更に障害者手帳が手元に来たので、クリニックに提出。

エムラのクリームとシールが底をつきかけていたので、新しい分を看護師さんに持ってきてもらった。

さて、今日の穿刺は土方歳三さん。

土「具合はどうですか?」

俺「おかげさまで絶好調です。で、ドライから更に200引いてもらったら、ますます調子が良くなっちゃって」

土「ほう。それはそれは」

俺「で、今日も200余計に引いてもらえませんかね」

土「その前に、(俺)さんは前回レントゲンを撮ったでしょ」

俺「あ、はい」

土「その結果を確認してきますので、少々お待ちください」

どどどどと去っていき、どどどどと戻ってきた。

土「いいですね。心胸比50.6です」

俺「いいんですか?」

土「前回は56でしたから、だいぶ心臓が縮んできましたね」

心胸比は男性だと50前後が適正値らしいが、個人差もあるので一概に言えないとか。

土「まあ、この値なら余計に引いても大丈夫でしょう。でも、ご自宅での体調はどうなんです? それを聞いておかないと引くわけにはいきませんね」

俺「家での体調は絶好調です。低血圧もないし、不均衡もありません」

土「それじゃ300乗せてみますか」

200じゃなくて300になったが、これも成り行き。

どうでもいいけど、ここの技師さんはみんなアグレッシブに乗せてくるぞ。

土「今日は3000ですので、300乗せて3300になります」

俺「おお! そんなに増えてましたか!」

土「全然平気です。90kgの5%は4500ですから」

俺「だけど、一回で3000以上引いてもらうのは初めてだなー。除水速度も初の1000ml/hだし」

土「不調を感じたらすぐに言ってくださいね」

俺「早速ですが、脱血側がチクチクします」

土「そっちの話ですか。それじゃ針先を引いてみましょう」

俺「あ、痛くなくなりました」

土「ドライの話に戻りますけど、(俺)さんはまだまだ引くことができそうですね。まあ、今日はこれでやってみて、また結果を教えてください」

俺「了解。皆さんに余計なご迷惑をお掛けしないよう、いい患者でいます」

土「寂しくて仕方がなかったら、甘えてください」

俺「おえー」

土「それはひどい」

こうして5時間がスタート。

今日は珍しく自作の音楽を聴いて、編曲の修正ポイントのピックアップをして過ごしたが、自分の作った曲を聴いて気分よくなってりゃ、世話ない。


抜針は珍しく、稲妻いなっち。

俺「あ、いなっちさん。ご無沙汰です」

稲「そうですね。ぼく、夜間に入ることが多いので、月に一回くらいしかこの時間に来られないんですよ」

俺「へー、そうなんだ。レアキャラですね」

などと下らない話を終えてから、ドライウェイトの話。

俺「というわけで、もっと下げられるって土方さんには言われたんですけど」

稲「そうですね。見る限り、血圧も大安定していますし、終了時の降下もないですから、もう少し引いても平気だと思います」

俺「ということは、まだまだ水デブってことですか」

稲「そう言っちゃ身も蓋もないです」

俺「でもね。水を飲まないで便秘になるよりは、ちょっと飲み過ぎたくらいがいいのかなーって」

稲「そうです。便秘は絶対にだめです。もし便秘になったら必ずスタッフに言ってください」

俺「そうなの?」

稲「はい。便秘が解消する方向へ除水量をコントロールしますので」

俺「なるほど。引く量を減らすってことですか」

稲「そうです。ですが便秘になってもダメですけど、飲み過ぎはもちろんダメです。体重50kgくらいの人が4000とか増やしてくると、本当にこっちも困ります」

俺「でしょうね」

8%を一回で引き切れるとは思えない。

 

きっとお残しをするんだろう。

稲「初心に帰ってお話させてもらいますが、合併症を防ぐには、やはり水分コントロールが重要です。ところで(俺)さんの心胸比は……あ、よくなってますね」

俺「そうなんですよ。えへん」

稲「心臓は肥大すると元に戻らないことがありますので、できればシュッとした感じを目指してください。ドライも可能な限り下げていく方向で」

俺「わかりました。足がつることもないし、血圧が低下することもないので、まだまだいけると思います」

稲「ま、無理はせずに」


そんなことを言いながら止血。

俺「それにしても、透析が終わるとすごく気持ちが良くなるんです。これって気のせいですかね?」

稲「気分の問題もあるかと思いますが、他にもそうおっしゃる方もいますよ」

俺「あ、じゃあやっぱり気のせいじゃないのかも」

稲「ほとんどの人は、透析が終わると体調不良になりますからね。(俺)さんやその方は少数派です」

俺「人を珍獣みたいに」

稲「だって珍しいんですよ。本当に」

いなっちが去ったあと、今度はもっちーが来て止血確認とテープを交換してくれた。

体が軽くなり、頭もすっきりしたところで、嫁ちゃんのお迎えで帰宅。

透析を受けると本当に生まれ変わったような気になるのだが、いかに末期腎不全の状態がヤバかったということか。

透析さまさまだよ、ほんとに。