水曜日。
今日はフルタイム出勤で透析なし。
一所懸命に働いて帰宅すると、嫁ちゃんが。
嫁「保険会社から封書が来たで」
俺「お! ひょっとして年金のかな? あ……ま、まさか差し戻しとか!?」
嫁「いや、確かに年金の件やが、差し戻しちゃうで。書類が不足しとるんで、追加で送れとのことや」
俺「ああ、よかった。ほっとした」
嫁「うちにしてみりゃこれは想定内や。申請書には、手続きを進める上で必要な書類を追加で送ってもらうことがあるやもしれん、と書かれとったもんやから、多分こうなるとは思っとった」
俺「そうなのか」
嫁「不足しとる書類はやな……ほれほれ、ここ見いや。ここに〇がついとる書類を送れちゅーねん」
俺「ふーん。扶養者の人数を証明するための書類ばかりだ。お前の年金番号や、娘の保険の情報か」
嫁「せや。つまりこれは、初診日証明や申立書に不備があったわけやない。そっちの書類は問題なく審査を通過し、支払金額の確定に必要な情報をよこせちゅうとるんやろうな」
俺「おお……」
嫁「ちゅうことは、これで障害年金が受給できる可能性が増えたちゅうことや」
俺「ばんざーい! ばんざーい! ばんざーい!」
嫁「社労士に頼まんでも人工透析患者の事後重傷請求なら個人で何とかなる思うとったが、どうやら何とかなりそうやな」
俺「助かるなー。障害者手帳が発行されたと思ったら、年金もまた一歩進んだね」
嫁「うむ。他の手続きもすべて終わっとるし、あとは傷病手当金三か月分だけや」
俺「ああ。あのバカドクターの……」
嫁「ま、それはもうええ。保険会社が書類を突き返して来んちゅうことは、手続きが進んでるんやろと思うことにする。年明けくらいには貰えるやろ」
俺「そうだな。お前には苦労を掛ける」
嫁「ま、何とかやりくりしとるから心配すんな。ただし正月のかまぼこは無しじゃ」
俺「高いかまぼこは無理だが、せめて1本200円くらいの安物を紅白で揃えないか?」
嫁「あほ。そんな安物どこにある。今じゃ最低でも400円くらいはするで」
俺「そうか……なら、そこまでして食べるものでもないか……でも、正月気分が出なくなるんじゃないか?」
嫁「うちがおせちを作るから心配すんな」
俺「うん。それじゃそうする」
嫁ちゃんのおせちは絶品である。
お店で1万円くらいの出来合いのものを売っているが、羨ましいと思ったことがない。
バードカフェのおせち事件があった時も、「ありゃひでえ」「ひどすぎるわ」と言いながら嫁ちゃんのおせちを食べていた。
俺「ところでさ」
嫁「なんや」
俺「旅行に行かないか? 一泊で」
嫁「ほー、珍しいこと言うもんやな」
俺「障害者保養所の情報を見ていたんだけど、安く泊まれそうなところがいくつかあるんだよ。それで、ここ数年、まともな旅行にも行けてないだろ? 子供達もどんどん大きくなっちゃうし、そろそろ思い出を作っておきたいと思ってさ」
嫁「そりゃ構わんが、金がないで」
俺「そうか……」
嫁「うそや。一泊くらいなら何とかしたる。せやけど透析はどないするんや?」
俺「中2日を使って、日月で一泊」
嫁「そんなにうまく空いとるかな、宿が」
俺「さあ、それは調べてみないとわからないけど、どうだい?」
嫁「うん。ええよ。車もオイル替えて調子ええし、子供らにも少しは羽伸ばさせてやるとするか」
俺「それじゃ、計画立てるね」
というわけで、年金申請も上手く行っているようだし、今年の冬休みは一泊二日で温泉なんかに行けたらいいなーと思う今日この頃。
コロナ?
ああ……そんなのもあったっけ。
だが、誰にも俺は止められない。