遠い記憶
切れ切れ遠のく焼けゆく記憶
しかし お前は完全にこのわたしを忘れてはくれないのだろう
ビリー
底のない空洞は毎日規則正しく目を覚まし寝起きのわたしに入り浸る
【亡骸】
シンダナキガラ
もぬけの殻なんだと思った
しかし カサカサカサカサひっかかりながら引きずられ裾に絡まりついてくる
もう随分干からびて
もう随分跡形なくして
しかし 必ずや呼び掛けるように引き戻すように懐かしくも 忌まわしくも 古びてもなお 決して色褪せることは無い空気を放って知らしめる
弱々しく古ぼけたみすぼらしいシンダナキガラ
強く引く後ろ髪
「ひとつの影だ」と
「これはお前とひとつの影なんだ」と言いながら
皮肉にもそれは"灰色の言葉"などを知らないのだろう
だから 忌々しくもはっきりとこの耳を劈くように深く聞こえる
「ひとつの影だ」と
「これはお前とひとつの影なんだ」と
うまいこと知らしめた
うまいこと知らしめられたんだ
シンダナキガラ
もぬけの殻なんだと思った
しかし亡霊は きっとわたしを忘れてはくれないのだろう
わたしは今日も底の無い筒のような空洞をぶら下げて朝に目を覚まします