とうがたつ歳を重ね 熟したのか 熟しすぎて賞味期間を過ぎたのか お互い動きが鈍くなってきた 炬燵に入ったまま どちらが動くかは 最初に言った者勝ち になってしまった 「お茶しようよ」 「お茶菓子持ってこなきゃ」 立て続けに連れ合いが言う でも 腰をあげようとはしない じっと炬燵から出ようとはしないのだ 薹が立ってしまったのかと ボヤキの一つも出そうになりながら 私が立つと 連れ合いが一言 「(お)とうが立ってる」