「ん~~、、何か、こえーなぁ」

アルタに向かっている途中に弘がボソッと言った。


(いえいえ!!!そんな事言われた私のほうがむっちゃ怖いですけど!!)


「でも弘くんがそんなに本気で聞く耳持つなんて、、、真奈、結構びっくりなんだけど、、

   だって占いとか信じないって言ってたじゃん?」


お先真っ暗呼ばわりされてあまり気分が良くなかったせいもあるのか、繋いでいた手はいつの間にか

弘の腕にしっかりと絡み付いていた。


「いや、実はさぁ、、、あのおばさんの噂聞いた事あんだよね、友達から、、。

 テレビの出演依頼とかも来てるくらい当たる人だって。

でもそうゆうの全部断ってる人らしい、、、

そんな人にいきなり金はいらないから見てやるなんて言われたら、正直ちょっと聞いてみようかって気になんだろ?」



へぇぇぇぇぇぇぇ。そんな凄いおばさんだったんだ、、、。

確かに貫禄は凄かったな、、、。

と思う反面、、、更に言われた事が胸に引っかかる。



「ま、気にすんなよ。生きてる間、ずっと良い事ばっかあるあけじゃねえだろ?

凄く辛い、悪い時期だってあって当然じゃん。 


、、、、、、その時は俺がちゃんと真奈の側にいるよ」



そんな言葉を普段絶対、口にしない弘だったから、自分で言って照れた事を隠すかのように、

私の首に腕を絡めながら子供みたいにじゃれて来た。


でれでれになる私。きっと私、今嬉しすぎて変な顔してる。



弘は時々、大人っぽい言葉をさらっと言う。彼の存在がすっと私の中に入って来れたのもそんな部分があったからなんだと、、、多分そう思う。


しかもうわべだけの言葉ではない。それは雰囲気で出会った当初から感じていた。



出会った時は「自分の家が商売やってて、それを手伝ってる」とだけ言っていた。

あまりその時は深く聞かなかったんだけど、付き合った後、お父さんが飲食店をそれなりの規模でチェーン展開していて、


その中の店長をしていて、ゆくゆくはお父さんの後を継いで社長になるかもしれない、、、という事だった。


ただ、お父さんの兄弟も経営に関わっていて、お金の事や、時期社長の件などで、正直、親戚内では見えない激しい争いがある、、、、、らしい。


その中で弘は頑張っていた。お父さんの後を継ぎたくて。見えない所で経営の勉強など、しっかり自分でしていた。


それと、お母さんを小さい頃に心不全で亡くしていた。寂しかったり、辛かったはずなのに、


弱音を吐かない弘は、「しょうがない事だしな」とそんな風にさらっと言う。

強がりではなく、心が強いんだろうな、とそれを聞いた時に思った。



まだ25なのに、時々はっとするくらい、大人の面を見せる彼だった。でも遊ぶ時はそんな面は全く見せない。

ただのやんちゃ坊主だ。うん。





それに引き換え、私はかなり甘やかされて育って来た。


なかなか子供が出来なかったらしく、私が生まれて、おじいちゃんもおばあちゃんも父親も母親も私のわがままを

全て聞いてしまう。どこにでもいる普通の一般家庭だと思うけど、わがままし放題で自分が言った事が通らなかった事はない。


でも父がそれなりに厳しい人でやらかし過ぎると、数年に一度は平手が飛んできた。


あ、普通の家庭と一つ違うとすれば、父は純日本人じゃない事。韓国人。

小学校の時、たまーにどこからそんな話が入るのか


「真奈ちゃんちのお父さんて外国人らしいよ~」

と言われて度々、からかいのネタにされた。そんなに強くない私は出来るだけ

その話題が早く過ぎるように素通りするようにしていた。それが精一杯だった。


からかわれた所で過度な反応をしてしまうと、いじめの対象になってしまう。

出来るだけ無反応を装い、その子達が早くそのゲームに飽きる事を静かに待つ。それしか私には方法がなかった


そのせいかな?元の性格もあるだろうけど、人見知りなほうだと思う。



でも出会った時の飲み会で、弘が席替えの時に私の隣に来た時に、


「お前、自分が歩み寄らないと何も始まらないよ?」


と突然小声で言って来たのだ。



ビックリした。


8人で男4人女4人の飲み会だったが、私は頑張って会話して楽しんでるふりをしつつも、

内心ちょっとどうしていいかわからないでいた。


弘には、それが見えていたのかも知れない。


暗いわけでもないが、明るいわけでもなく、余り言いたい事、したい事をはっきり言えない自分。


そこを、見透かされた気分になった。


でも、とても何故か嬉しくて、私は彼が気になった。