2023年某日、X(旧ツイッター)上で、ご飯と海苔とタマゴと言った質素な食事を、給食のような質素な器で、畳の上という質素な部屋で食べているアカウントがバズった。「絶対仕事辞めるマン」さんだ。超就職氷河期に正社員として就職できたのは良いが、そこは超ブラック企業だった。転職するにも転職先がない。定年まで懲役40年、罪状は「超就職氷河期罪」、、、入社日の夜、ここから抜け出すにはお金を貯めて逃げ出すしかないと決意。月4.5万円(うち家賃2.8万円)で暮らし、残りの収入をすべて貯金する手法により1億円を貯めた、世にも珍しい「超節約型億り人」の本。平均的サラリーマン(私)が掲げる「自分」「会社」「資産」の3人4脚のうち、「自分」のみの力で億り人になった絶対仕事辞めるマンさんから学ぶこととは、、、

 

 

<絶対仕事辞めるマンさんのXから拝借>

2023/12/24 1億円達成1か月前のクリスマス

 

2024/1/7 畳の上、給食皿、質素な食事

 

2024/1/25 遂に1億円達成!おめでとうございます!

2024/1/26 1億円達成翌日も仕事には行きたくない

 

2024/1/31 気を抜くと節約してしまう、、、

 

2024/9/8 もはや節約が趣味(笑)

 

1.お金は精神安定剤である

1,000万円の貯蓄で「死にたい」と思わない。5,000万円で「本当に会社を辞められる」安心感。1億円で「もう、お金で悩まなくて済む」という解放感。ブラックな職場で精神が追い詰められてくると、ぶっちゃけ、死んで楽になりたいと感じるが、1,000万円あれば、ビルから飛び降りるくらいならこのお金を持って逃げよう。2~3年は無収入で暮らせる。3年後には何かが好転しているかもしれないし、数年間のニート生活はそれはそれで楽しそうと思える。数年ゆっくりしてからでも遅くないと思える。

 

2.1億円貯めるには、収入が増えても生活レベルを上げないこと

若かりし頃の絶対仕事辞めるマンさんの手取は月20万円、生活費は4.5万円。月15万円×12か月=180万円に加え、ボーナス35万円×2回=70万円で年間250万円を貯蓄。これだと1億円を貯めるには40年かかるが、①給料が上がっても生活費を上げずに貯蓄に回す、②複利で運用することにより、入社から20年10か月、2024年1月25日に1億円を達成。途中、FXで800万円溶かしたり、リーマンショックなどに見舞われたが、大きな損失を避け、給料や収益力が上がっても超節約生活を継続することで1億円を達成した。

 

3.結局のところ、蓄財には強い動機が必要である

ぼんやりと「お金ほしいなぁ~」「会社だりーなー」くらいの思いなら、そもそも修羅の道を進む必要はない。「それでも私は○歳までに○万円が絶対に必要だ!そのお金がなければxxxが達成できない!私は死んでしまうかもしれない!」という強い思いがあれば、具体的な蓄財計画を進めることができる。収入が上がっても、それに応じて生活レベルを上げてしまっては、いつまでたってもお金は貯まらない。節約こそ最強の蓄財ツール。お金を貯めたい人は、低みで満足できるようになりましょう。

 

4.お金を貯める極意は「見栄を捨て、合理性を取る」という姿勢である

500万円の車を買ったAさんは、500万円の車を購入できる財力(見栄)に満足し、5万円の車を買ったBさんは、5万円の車を探し出せる能力(合理性)に満足する。Aさんが5万円の車に乗ったら、こんな車は恥ずかしいと思うし、Bさんが500万円の車を買わされたら、あぁ、不合理な出費をしてしまったと乗るたびに心を削られる。Bさんは、Aさんよりもお金が貯まるが、どちらが幸せという話ではない。Aさんは確かに見栄っ張りだが、高価なものを買って人に賞賛を受け、投じたお金に応じて幸福感を得ると言う行為自体が、一つの合理的な幸福追求行為と言えなくもない。もし、貯蓄を優先するのであれば、支出の際「どのような効果や効能をもたらすのか」「代替品では機能しないのか」を意識し続けることが大切である。

 

5.もはや、高級品よりも、節約生活の方が心地良い

高級なステーキやお寿司を食べに行ったこともあるが、金額に見合った充実感を得ることは難しかった。ボロアパートで食べる納豆ご飯の方がうまい。うまい、というよりは、納豆ご飯のほうが「よい」という感覚。およそ、限界まで安く調達したものだから、遠慮なくパクパクいけるという感覚かもしれない。高価できれいな服を着ているときは、汚れないように気を付けるが、どこぞで買った安い服であれば、泥道を歩こうが、地べたに座ろうが、雨に濡れようが、さほど気にならない。納豆ご飯にも近い感覚があり、庶民的ゆえの解放感や自由があるのではないか。いまだに贅沢や散財はちょっと苦痛で、質素なほうが意外と心地よい。

 

6.究極の選択「FIREか結婚か」、1億円貯めても人生の正解は分からない

30代後半、資産4,000万円程度でウダウダしていたころ付き合っていた彼女。FIREのことを説明しても、とにかく無職の夫を持つのは絶対イヤ!仕事を辞めるなど言語道断!働き続けて欲しいの一点張り。諦めて結婚して一生社畜として働くのもありかな、ダメなら離婚すればいいかな、とも思ったが、頭にちらつくのは過酷なFIRE修行の修羅の日々、厳しい労働の日々。こっちも一歩も引くわけにはいかぬ。このボタンだけは気軽に押してはならぬ、、、かくしてこの重大な方向性の違いにより、我々は解散する運びとなった。果たしてどちらの選択が正しかったのかは分からない。あの時、私がしたことは、価値観の選択だったのだと思う。まっとうに働くこと自体を美徳とする従来の価値観か、FIREに代表されるような新しい労働様式を認める価値観か。私は後者に向かって突き進んだが、自分が絶対に正しいとは思いきれないところがある。

 


 

「誰でもできます!超節約生活!」なんて口が裂けても言えません。まともであることを捨てなければ、まともじゃない蓄財ができるはずがないのです、という世にも珍しい「超節約型億り人」である絶対仕事辞めるマンさんの全ては真似できないにしても、1億円貯める手法や、これで良かったのか分からないという人生の葛藤は、大いに学び、共感できる一冊。

 

p.s. ちなみに絶対仕事辞めるマンさん、1億円貯めたのに「私は社会の歯車なのですぐに会社を辞めることができない」となぜか往生際の悪いところを見せ、「会社都合の早期退職」が出るのを待っているという。案外、人生を楽しんでいるようだ(笑)