茫洋たる卜占の海 | 星詠みの庭

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東洋占術を中心にしたブログです

三年前に太玄社より復刻された藤田善三郎氏による

「五行易師弟問答」。

 

ずっと断続的に占例から勉強を続けているのですが、

いつも自分の読みの甘さと断易の奥深さを

痛感しています。

三年経ってやっと243問目。

 

 

第243 「売家の占」

買ったばかりの家を損しないで売れるかどうか。

 

 

私は最初、お金の利益などの妻財を見ていました。

四爻自分を示す世爻に伏神として出ていて

この酉金は月と日の両方の火から剋を受けて弱い。

また、その財を剋する忌神はとても強い状態です。

 

また、初爻の寅木が動き、自分を示す世爻を

剋しています。

寅木には父母が付いて、これが自分を剋するので、

その売り家の事で心配事、苦労させられるのでしょう。

 

世爻自身は妻財を生じる原神であり、これが

伏している妻財を生じるので

メンテナンスなどで家を維持しようとする様子。

 

以上の事から、売れないので損失は免れない、

と読みました。

 

 

しかし、この占例の解説では、

 

・応爻に用神の父母爻付いて、まずは買い手が現われる。

・この応爻は動いているし、動いた先の巳火が

 月建に臨み、日辰に旺じるので、今月の巳月中に

 すぐ買い手が現われる。

 

・しかしこの応爻寅木父母は休囚し、

 売り家としては時期が過ぎている。

 (父母→家の意味)

 (築年数がけっこう経っているのだろうか)

 動いて「損失」の「兄弟」に化して、動くことによって

 自分自身の世爻を寅木→戌土で剋す。

 これは所有していれば所有するほど

 自分が苦労(父母の意味)する象である。

 (化爻→これから先、未来の事)

 

・だから、利益は考えずに、今月中に買い手が現われたら

 すぐさま売ってしまうのが良い。

 

 

・・・うーん、この初爻の独発に、このように

買い手がすぐ現われる事と、

持ち続けると損が広がる事、

その二つの流れが秘められているとは思いませんでした。

 

自分自身の世爻に伏しているが休囚している

財爻を、一生懸命その世爻が生じているので

維持が大変そうな予感はありましたが、

買い手がすぐ付くから、

儲けはなくてもすぐ手放すべき、という占断になるとは・・・。

 

結果、大した損は出ずに、家を手放せたようです。

 

 

私は、「利益が出ない」から「家は売れない」

と判断していましたが、

 

「家は売れる」けれども「利益は出ない」

 

と、そんな流れは予想しませんでした。

 

 

以前も書きましたが

「独発爻は神機を宿す」と言われますが、

二つのストーリーを内包するとは・・・。

 

・・・難しい、そして奥深い。

 

ポンコツの私の眼前には茫洋とした断易の海が

どこまでも広がっています。