中国では遠くは【三国志】の時代の昔から、60年単位で巡ってくる干支(えと)の庚子(かのえね)の年には、治乱興亡や天変地異の動乱、【庚子大乱】が起きる。それを契機に歴史の流れが変わると恐れられているという。 


 近世では1840年の庚子の年にはアヘン戦争が勃発。中国が西洋列強に屈する【屈辱の百年】が始まった。

1960年の庚子の年には、毛沢東が1958年から取り組んだ急速な集団化や工業化の【大躍進政策】が失敗。数千万人が餓死する事態を招き、毛沢東は国家主席を退きます。そして、鄧小平の改革開放路線へと流れが変わっていきました。 


 我が国でも天下分け目の【関ヶ原の合戦】。それは、1600年庚子の年の出来事でした。

そして、2020年庚子の年、新型コロナパンデミックの【庚子大乱】が起きたのです。コロナ以降、ロシアとウクライナ・NATOとの戦争。混沌とした中東情勢。見逃せないのがコロナ発生源の中国です。庚子大乱の地殻変動を感じます。今回は独裁者習近平の命運を占っていきます。


米国のトランプ前大統領政権の国務長官、ポンペオ氏は言う。1970年代の米中国交正常化は、当時冷戦下のソ連への対抗策として中ソ関係に楔を打ち込むことが目的だった。

それだけではなく、中国を共産主義の独裁国家から自由で開放的な国家に変貌させる狙いもありました。 


 そこで、米国をはじめ、西側諸国は中国との経済関係を深めていったのです。だが、西側諸国の意に反し、その期待は裏切られます。戦略家・鄧小平の格言、【力を隠し、時を待つ】に従い、軍事力や経済力を静かに蓄え、軍拡と独裁体制の強化に務め、米中対立の構図をつくっていたのです。 


 経済成長を促し、国民に豊かさを享受させる。そのことで、共産党一党支配の国民の不満を抑えるという、鄧小平の国家運営策に従い中国は経済成長に務めてきました。

しかし、経済よりイデオロギー優先の習近平の政治により、今や中国経済は深刻な状況に陥っている。 


 中国の人口14億人の二倍以上の30億人が住むのに十分な空き家があるという。恒大集団や碧桂園などの不動産大手は、天文学的な巨額の負債を抱えている。

それだけではない。土地使用権の売却収入が歳入の約4割という地方政府など、多くの地方政府が財政難に追い込まれている。中国の地方公務員が半年間給料未払いという、異常なニュースに驚かれた方も多いかと思います。 


 不動産バブルがはじけても、中国経済を牽引すると期待されていたEV車も世界的にブームに陰りが見え、供給、在庫過剰の状態です。中国EV車メーカーの倒産も相次いでいるという。


 反スパイ法により、海外投資家の中国離れも加速している。デフレの進行も深刻だ。失業率46.5%の若者の失業問題。習近平の肝いりで始まった【一帯一路】もスリランカに見られる【債務のワナ】や、貸し付け金の焦げ付き、イタリアなど、離脱する国もでたりと、中国経済は八方塞がりの状態です。




占学・算命学では【性格が運をつくる】と考えます。崩壊に向かっている中国経済は、習近平の性格が創っているとも言える。性格は持って生まれた性質(宿命)を基に、育つ過程の環境により形成されます。


 習近平の性格で際立つのが【強欲な権力欲】です。宿命に帝王の星と言われるパワフルな【天将星】があります。引力本能が強く自己顕示の強さと、踏まれても起き上がる生来の図太さがある野心家です。表現本能も強く直感力や洞察力に優れ、目的意識が非常に強い人です。 


 他に性格の特徴として【猜疑心の強さ】も挙げられる。今はアメリカに逃亡している元側近の政治学者によれば、習近平は誰も信用しない。誰の意見にも耳を貸さない。猜疑心が強く、小さな意見の相違や、反対意見を述べると警戒し、疑われるという。 


 習近平の猜疑心の強さは、表現本能が強く鋭い観察力という生来のものもありますが、育った環境によるものが大きいかと判断します。習近平の青少年期の環境を調べてみました。


 習近平の父親は毛沢東の側近でした。しかし、父親が関わった出版物が毛沢東の怒りを買い16年間監禁、拘束されました。姉は餓死。中学生の習近平も文革時、人々から吊しあげされます。肉体的な虐待も受けたのです。 


 都会の青年を農村に送り、労働させる【文革の下放運動】により、20代前半まで寒村の崖の岩肌に掘った洞穴に住み、農業をしながら過ごしていました。


 後年、ノミやシラミに悩まされ、食事にも困るほど貧しく、不便な暮らしだったと振り返っている。過酷な体験が人間性や社会を見る目を養ったとも話しているという。習近平の人格形成には文革時の異常な体験が大きく影響しています。 


 それは用心深さと、冷酷さの二面性をつくりました。習近平が党総書記に就任する以前を知る人は、異口同音に【穏やかな性格】【敵をつくらない人】だと言う。それは理不尽な権力から自分を守るために用心深く生きていたのです。 


 しかし、トップに君臨するや否や、腐敗追及を断行し、激しい権力闘争で政敵を倒していきまました。民主化や自由化を求める社会の声も、力で抑え込んでいく強面の顔を見せます。文革時の狂気の人間模様が【強い人間不信、猜疑心、そして、人権無視の冷酷さ】を生んだと推察できます。 


 私には習近平に対してある疑問があります。それは、鄧小平の経済成長路線継承ではなく、何故、毛沢東崇拝のイデオロギー優先の政治をしているのか、という疑問です。 


 そのことに関して、【毛沢東=中国共産党という父親】から虐待されたアダルトチルドレンだからだと、例える人がいます。そう考えると、納得いくものがあります。 


 アダルトチルドレンの人は、自分が受けたトラウマ行為を、無意識のうちに自分も他者へ再現したりするのです。習近平は自分の父親が【毛沢東=共産党】から投獄されました。自らも文化大革命により粛清の対象となり、心身共に虐待されたトラウマがあります。その再現は彼のサクセスストーリーにも表れています。


 共産主義の中国では土地は国の財産です。その土地や建物を、不正利用する地方政府の幹部役人達を、若い頃の習近平は厳しく糾弾し、摘発していました。 


 こうした活動は党の機関紙で取り上げられ、習近平の名前は北京の中央政界でも次第に知られるようになります。 


 そして、保守的な政治姿勢を強め、庶民や知識人には【言論の自由はダメ】。党の役人には【腐敗はダメ】というように、厳格な言論・思想統制と、反腐敗や綱紀粛正など、習近平の統治、政治スタイルの基本を確立していきました。 


それは父親の投獄や、文革時に受けた自らのトラウマ体験を彷彿させる手法でもありました。それが、【父なる毛沢東=共産党】という、虐待された父なる毛沢東と同じこと、いや、毛沢東以上に、毛沢東的な政治を目指そうとする運命のメカニズムなのです。 


 では、コロナパンデミックの【庚子大乱】を契機に、今、中国では何が起きようとしているのだろうか。中国の人々は共産党の独裁体制下、政治権力に反抗しない限り、ある程度の自由もあり、大きな不満もなかった。 


 だが、習政権の理不尽で乱暴なゼロコロナ政策により、自由や、仕事をする権利も病院へ行く権利も奪われました。 


 人々は共産党の政治権力、独裁政権の怖さを骨の髄まで知らされました。そこで、政治権力に抵抗はできないが、政治権力から逃げることはできると、経済的に余裕がある中産階級を中心に、多くの人が国外へ逃亡しています。 


 若者達は中国版就職氷河期に直面し、いつ終わるかわからない長期停滞の社会に不安を抱えている。若者たちの習近平への怒りは爆発寸前だという。


 では、若者を中心とした市民パワーが革命へと向かうのだろうか。かってルーマニアなど、東欧諸国が雪崩を打つような勢いで、市民パワーにより短期間で劇的に民主化に向かったようなことは、私は中国ではおきないと思います。それは、国土面積がとてつもなく広く、人口14億人の多民族、多言語のメガ人口国家だからです。もう一つは国民性です。 


 古代から中国には【中華思想】という思考があります。中国の王朝や皇帝を、この世で唯一の支配者だする。周辺の民族は野蛮人だから、中国の王朝や皇帝に従い、優れた中国の文明を学ばなければならないという考え方です。 


 それ故、中国には【国境】という概念も漢字もなかった。日清戦争後、日本に留学した人達が国境の概念を学び、国境の漢字も逆輸入したのです。尖閣諸島、南シナ海への軍事介入などをみていると、現代でも中国人の中に中華思想は生きていると思える。 


 中華思想下の中国では、共産党という王朝や国家主席という名の皇帝に、国民は従わなければなりません。不満を持つ一部の人の反政府運動は起きても、管理されることに抵抗感が少ない多くの国民が結集し、近年中に反政府運動が一気に国中に広がり、劇的に民主化へと変わるという可能性は極めて低いと考えます。 


 それに、1979~2014年に実施されていた【一人っ子政策】により、甘やかされて育った人達に革命を起こすパワーがあるのか❓それは疑問です。 


 共産主義国家が崩壊する要因は【逃亡、内ゲバ、裏切り】だと言われている。中国を捨て、アメリカへ脱出する多く人達のことが多く報道されている。日本にも多くの中国人が住みつき、各地でチャイナタウンをつくっている。優秀な人達の国外への脱出はボディーブローのように中国の国力を弱めていきます。 


 習近平の運勢を見ると、今(2024/2/4~2026/2/3)が【天中殺】なのです。天中殺の時には今までの無理が重なり、健康を損なうことも珍しくはありません。膵臓癌だという噂もある習近平。健康問題による失脚のリスクは大きい。それは本年より来年の方が高いとみます。


 内ゲバ、暗殺、裏切りによるクーデターの可能性はどうだろうか。毛沢東の【政権は銃口から生まれる】という言葉に従い、習近平は軍を手中に収めている。軍事クーデターの可能性は低いかと判断します。 


 私は【庚子大乱の変化のエネルギー】の作用により、【2027年の3期中までは、最高指導者の座にはいるが、力を失い習近平の命運は尽きる。4選はない】とみます。その崩壊ストーリーを描いていきます。


 国民の多くは、もはや共産主義を信じてはいない。しかし、権力を握る中国共産党の指導者達は、いまだにそれにしがみついている。李克強前首相も亡くなり、ライバルもいない。重要な役職には自分へのイエスマンの無能な者を置き、後進を育てようともしない。今の中国共産党内には権力闘争をするパワーが弱く、習近平の独裁体制は、もう少し続くと思います。


 実は、習近平が共産党総書記、国家主席に就任したのは、2012~2013年の天中殺の年のことでした。また、習近平は自分が生まれた年が、天中殺という【生年天中殺】の人です。 


 生年天中殺の人は、前回に起こしたことの矛盾が、次回天中殺時に激しく露見する傾向があります。経済よりイデオロギー。国民の不満は強権的に取り締まる習近平の政治手法への国民の反発が、激しく噴き出すと予測される。 


 自分の政策が裏目に出て、それに焦り、判断を誤り大局を見失い、失政を重ね、経済の停滞は更に深まるかと判断します。 


 不満を持った人々の反政府運動も、散発的に起きるようになる。習近平が自分や共産党を守ろうとすればするほど、それは裏目に出て次第に力を失い、失脚への道を歩むことになっていきます。 


 中国が変わるまで、世界の安全は得られない。そこで、対策として【中国経済を弱体化させることで中国共産党を変える】と、アメリカを中心とした西側諸国は外圧を加えていきます。 


 習近平体制の失政、矛盾が多ければ、多いほど、中国共産党は変革へと追い込まれます。習近平失脚後、共産党内権力闘争はおきますが、2030年、遅くとも2035年頃までには中国共産党の方向性が変わり、次第に民主化へと進むと占います。


 経済危機にもかかわらず、中国の軍事費は増大しています。心配なのは、八方塞がりの習近平が、国内の不満をそらそうと、衝動に走り反日キャンペーンや、台湾軍事介入などをおこさないことを祈るだけです。