シャイターンとは全ての属性を持つ者。
故に。生まれながらにして突出した属性を持たない。
全てが同じで、全てにおいて偏らず(かたよらず)。

何でも出来て…何にも出来ない。
何もかもを抱きしめているが故に。
何もかもに対して干渉出来ない。

でも。ふっと吹きかける吐息一つですら、危うい
バランスを崩すには十分すぎる。

古代の人間はそんな存在を【シャイターン】
(シャイターン=魔王の意)と呼んだ。


人間にも稀ではあるがシャイターンは居た。
大抵は先天性の変異によるもので、これは、
どこかに出る度に災いをもたらす者として
生まれてすぐに闇へと葬られて来た。

或いは。禁呪を用いて人為的に作り出した者。
こちらは対魔術師用の決戦兵器として戦に用いられた。
だが、先天的な場合はともかく。
人為的に作り出した者は…例外なく寿命は短かった。

急激にして急速なる力の増長と強化に耐えられない。
生まれながらにして力を継いだ者には
それなりに免疫という物が備わっている。

だが作られた者は。
…移植されただけの者には。
それが、ない。
最期には心も体もボロボロになって死んでいく。

これは、喩えて(たとえて)言うならば。

【錆びて脆くなっている(さびてもろくなっている)
金属の器に、強い酸を入れるようなもの】

…だ。

【力を受け切れるだけの強度を持たない。
 なのに強い力を使えば。体の強度はどんどん落ちて。
 寿命が縮む。どんどん体に残された時間は減っていく。】


昔から居るシャイターンは決して無駄な戦をしない。
バランスを崩すことの恐ろしさを誰より熟知しているからだ。
だから。魔王と言われるほどの力を持った魔神は
決して他種族と争うことはない。