20代の半ば頃、エッセイストの嵐山光三郎さんとご縁があり、当時書いていた原稿を読んでいただく機会がありました。
といってもじつは、仕事をしていた週刊誌のデスクと嵐山さんと三人で飲みにいったとき、隙を見て嵐山さんのバッグにこっそり原稿を入れたのです。
そんな失礼にも関わらず、嵐山さんはぜんぶ読んでくださいました。
よく書けてたよ、と褒めてくださった後で、アドバイスは一言。
「エッセイはね、書きたいことを残さずにぜんぶ書ききるといいよ」
当時のわたしはちょっと純文学指向で、行間や余韻に含みを持たせるような書きかたをしていたのかも知れません。
自分では意識していなかったのですが。
嵐山さんは長年編集者をされていた方ですから、すべてはお見通しだったのでしょう。
書ききらないと次の書きたいことは出てこない、という意味のことも嵐山さんはおっしゃっていました。
その後数年して、わたしは単行本デビューしましたが、その本はともだちにインタビューして構成したものでした。
自分が書きたいことを書ききる、というスタイルではなかったわけです。
続く単行本も、自分の考えを書くよりは、企画から自分で手掛けてインタビューや取材をするもの。
嵐山さんのおっしゃるようなエッセイを書く機会はなかなか巡ってきませんでした。
大和書房で書き下ろした恋愛エッセイは多少「書ききる」モードになりました。
それでも、構成からランディングまで考えて書くタイプなので、書くだけ書いて編集者に委ねることはありませんでした。
こうして考えてみると、わたしはまだ「書ききった」ことはないように思います。
スマートにいきたいな、という気持ちが強いんですね。
書きはじめと書きおわりでいうことが変わってしまうような、いわば流れに任せた文章は書けません。
人の心は一色ではないし、光があれば影もある。
書きたいことを書ききったら、プリズムを通したような七色に輝く文章になるのかも。
これからの課題ですね。
いま改めてそう思いました。
書きたいことを書ききる。
文章教室の生徒さんたちといっしょにトライしていきます。
羽生さくるの文章教室」個人授業を開催しています。
4回でプログラムを構成しました。
各回120分の対面スクーリングです。
場所は都内のカフェなど、オンライン受講も可能です。
第1回 ライティングの基本とワーク
自己紹介文の準備
第2回 自己紹介文の添削・講評
800字エッセイの準備
第3回 800字エッセイの添削・講評
手紙の準備
第4回 手紙の講評
ライティングセッション
後日、ライティングセッションのフィードバックをお送りします。
受講料は1回の授業につき¥7,700円(税込)になります。
また1回ずつの単発の講座もお受けいたします。
受講料は同じく¥7,700円(税込)です。
【受講生の方々へのお願いと免責事項】
文章の完成後に教室外で発表される際にはご自身の責任において読者の方々への十分なご配慮をお願いします。
教室外で万が一トラブルが生じましても、羽生さくるは責任を負いかねますことをご了承ください。
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