この週末に「羽生さくる文章教室」でエッセイの推敲をした生徒さん。
「自分の最高傑作が書けました」
と喜んでくださいました。
ご本人の文章のなかから、もっと具体的に書けるところをどんどん掘り起こしていくうちに、思い出もよみがえり、さらにはその思い出と思い出がつながって新しい意味をもたらしてくれたようです。
素晴らしい発見をされたこと、わたしもとてもうれしく思っています。
推敲の過程では、わたし自身が「もっと聞かせて欲しいな」と思うところを質問して、返してくださった答えをすぐに言葉にして文章に埋め込んでいきます。
この方だけではなく、生徒さんたちの傾向として、ある思い出を文章に起こすために、細かい感覚やエピソードを袋に入れてまとめてしまうんですね。
そして、そこにタグをつけるように一つの形容詞を与える。
形容詞が読者との共通言語だと感じているからかも知れません。
それで理解は得られることは得られるのですが、臨場感やその人ならではの体感が語られないことになってしまいます。
読者はそこにはいなかったのだけれども、詳細に描写されたり、感覚を教えてもらったりすることで、追体験ができるわけです。
形容詞一つではそれができません。
形容詞の袋のタグを外して、中身を取り出し、一つ一つ丁寧に書きましょう。
これは自分しか知らないことだから、こんなことを感じるのは自分だけだろうから、人にいってもわからないだろうから、と尻込みしないこと。
それらを読んだ読者は、追体験するだけでなく、自分にもこういうことがあった、あんなこともあった、と思い出すこともできます。
文章を介して、作者と読者の心の会話が生まれるのです。
文章の持つ力のうち、もっとも大きいものの一つが、この親和力。
共感だけに終わらず、読者自身の思い出を喚起して、親しく融和するに至ります。
読者と書き手とは、時空を超えて友人関係を結べるわけですね。
書き手はそんな読者との関係に支えられ、また次の文章を書く力が湧いてきます。
経験したこと、考えたこと、思ったこと、感じたことを、余すことなく書きつくす。
この書きかたを続ければ、書くたびに最高傑作の更新になります。
つまり、最高傑作とは、一つの作品を指すのではなく、その人の文章に対する姿勢につけられる称号なのではないでしょうか。
「羽生さくる文章教室」では、徹底したインタビューによって、生徒さんの内側に眠っている言葉をゆり起こします。
冒頭の生徒さんにも、この生き生きした言葉はぜんぶ、あなたのなかにあったものですよ、とお話ししました。
「最高傑作が書けた」という喜びは、目覚めて外の世界に飛び出すことができた言葉の喜びでもあるのです。
羽生さくるの文章教室」個人授業を開催しています。
4回でプログラムを構成しました。
各回120分の対面スクーリングです。
場所は都内のカフェなど、オンライン受講も可能です。
第1回 ライティングの基本とワーク
自己紹介文の準備
第2回 自己紹介文の添削・講評
800字エッセイの準備
第3回 800字エッセイの添削・講評
手紙の準備
第4回 手紙の講評
ライティングセッション
後日、ライティングセッションのフィードバックをお送りします。
受講料は1回の授業につき¥7,700円(税込)になります。
また1回ずつの単発の講座もお受けいたします。
受講料は同じく¥7,700円(税込)です。
【受講生の方々へのお願いと免責事項】
文章の完成後に教室外で発表される際にはご自身の責任において読者の方々への十分なご配慮をお願いします。
教室外で万が一トラブルが生じましても、羽生さくるは責任を負いかねますことをご了承ください。
【お申し込み、お問い合わせ】
madonnalily222@gmail.com
まで、お気軽にお寄せください。