いわゆる「プロフィール」の文章のように客観的に書かずに、自分について、主観的に書いてみる。
初めて会った人同士のグループで自己紹介をするときのように、自分について、話すつもりで書いてみる。
それを400文字でまとめる。
そんな「自己紹介文」を「羽生さくる文章教室」基本コースの1回めの宿題としてお出ししています。
といっても、緊張しなくて大丈夫ですよ。
1回めのなかで、わたしからミニインタビューをして項目を出したり、文体や言葉遣いについても相談しますので。
あなたがいましていることやこれからしたいと思っていることを書くのもいいと思いますし、好きなことやことによったら嫌いなことを書いてもいいかも知れません。
打ち込んでいる趣味、じつはこんなことができる、好きなスター、好きな音楽、好きなスポーツなども。
書く上で大切なのは、それがなにか、ということよりも、それがどんなふうに好きなのか、あなたとそのことやその人はどんな関係にあるのか、ということです。
そう考えていくと、あなたにとって「自分」とはどんな存在なのか、が次第に浮き彫りになっていきます。
つまり、「わたし」というこの「わたし」は何者なのか、ということです。
「何者」なんていうと、ちょっと構えてしまうでしょうか。
でも、人に話すつもりで書いているのに、いつか自分と対話しているような気持ちになっていくのは確かだと思います。
そうしてできあがった400文字の文章を2回めのお教室で、推敲していきます。
わたしの姿勢は、先生というより、編集者です。
つまり、丸つけの気持ちでは臨んでいません。
あなたという作者が書かれた文章をよりよく磨くために、編集者としてそこにいるのです。
あなた自身が、ここをもっとわかりやすく書きたかった、という箇所があれば、いっしょに言葉を探します。
わたしのほうからも、この文脈ならこういう書きかたにすると伝わりやすいと思います、というふうに提案をします。
その書きかたはまちがっているから、こう直しましょう、の「添削」ではなくて、こう書いたらよりよくなるのでは、という「推敲」です。
わたしの文章と言葉の技術をあなたに使ってもらったらこうなるかも知れません、という意味の提案をしていることもあります。
あくまでも、文章の作者はあなた、文章のなかの主役はあなた、なのです。
そうやって一文ずつ、一語ずつ検討しながら、400文字の文章を完成させていきます。
その過程で、自分を肯定することができた、ととても喜んでくださった生徒さんがいらっしゃいました。
わたしに肯定してもらった、とも感じてくださったそうです。
とてもありがたい感想をいただいたわけですが、心から正直にいうと、わたしは自分がしていることが「肯定」だったとはそのときまで気がついていませんでした。
「推敲」のプロセスに入ると、それが自分の書いた文章であっても、生徒さんの書かれた文章であっても、ただ目の前にあるこの文章を磨く、ということに集中しています。
このアイデアを表すのにぴしっと決まる言葉があるはず、あるはず、と思って頭を空にしているだけ、といっても過言ではありません。
(わたしにとって言葉は「空間」にぽっと現れるものなので、考えないで、頭を空にして待っています)
この過程を、生徒さんの側から見ると、自分についての文章と自分とを「アジャスト」した、ということになるのかも知れない。
それが「肯定」ということだったのかも。
感想をいただいてからしばらく考えて、そんな結論に達しました。
自分についての文章を書いてもらって、いっしょに推敲することには、たんに文章を完成させるだけではない意味があるのかも。
そう思うようにもなりました。
(この項つづく)
羽生さくるの文章教室」個人授業を開催しています。
4回でプログラムを構成しました。
各回120分の対面スクーリングです。
場所は都内のカフェなど、オンライン受講も可能です。
第1回 ライティングの基本とワーク
自己紹介文の準備
第2回 自己紹介文の添削・講評
800字エッセイの準備
第3回 800字エッセイの添削・講評
手紙の準備
第4回 手紙の講評
ライティングセッション
後日、ライティングセッションのフィードバックをお送りします。
受講料は1回の授業につき¥7,700円(税込)になります。
また1回ずつの単発の講座もお受けいたします。
受講料は同じく¥7,700円(税込)です。
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文章の完成後に教室外で発表される際にはご自身の責任において読者の方々への十分なご配慮をお願いします。
教室外で万が一トラブルが生じましても、羽生さくるは責任を負いかねますことをご了承ください。
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