わたしの語彙は少ない、と自分をけなすことには反対ですが、

語彙を増やしたいという気持ちは応援します。

近道ではなく王道でいきましょう。

なぜなら語彙を増やすのは一生仕事だからです。

と同時に、王道をいけば、短期間にも確実に手応えがあるからです。

 

 

まず、いまの語彙で文章を書くこと。

読書すること。

本を読んでいるとき以外にも言葉に敏感になること。

そして辞書を引くこと、ただし、紙の辞書に限る。

 

 

いまの語彙で文章を書いていて、これはなんていったらいいのかなあ、と言葉を探すと、見つかります。

なんていったらいいのかなあ、と考えはじめたときには忘れていた言葉を思い出すのです。

つまり、その語彙をあなたは持っていました。

語彙数は自分で思っている数の少なくとも3倍はあるのではないでしょうか。

書けば書くほど、自分のなかの言葉が目覚めてきます。

 

 

読書は前に挙げた志賀直哉や池波正太郎をお薦めしたいのですが、

ご自分の好きな作家を再読されるのもいいでしょう。

わたし自身昭和の人間なので(わたしが育った頃でいったら明治の人みたいな旧さ)

自分が生まれる前の作家を読むことが多かったと思います。

同時代の作家で好きなのは宮本輝です。

 

 

本を読むとき以外、というのはつまり、起きている間じゅう、ということになります。

わたしの場合そうなのですが、それはもうどうしようもなく言葉に埋もれているからで、

みなさんにはそこまではお勧めしません。

普段の生活で言葉をいまよりもう少しだけ気にかけてみてください。

街なかの居酒屋さんの黒板の上でも、言葉はあなたを待っています。

 

 

そして出ました、紙の辞書を引くこと。

これも昭和でしょうか。

紙の辞書がいいのは、引いた前後の言葉もつい読んでしまうところです。

類義語や用法についての説明も詳しく、一つの言葉を引いただけで知識が立体的になります。

そんな紙の辞書のなかでわたしが愛用しているのが『岩波国語辞典』。

昨年11月に新しい版が出ました。

 

岩波国語辞典第八版

 

編者のお一人、水谷静夫先生は、東京女子大時代の恩師です。

国語学の授業を受け持たれていて、わたしは「待遇表現」を学ばせていただきました。

 

岩波国語辞典といえば、井上ひさしさんが愛用されていたことでも有名です。

ひさしさんは、引くのではなく、頭から何度も読まれていたとか。

読んでも面白い辞書として推薦されていました。

 

遣いたい言葉の意味があいまいに感じるとき、読んだ言葉がいまひとつ腑に落ちなかったとき、

辞書をさっと開いてみてください。

語彙を増やす最高のタイミングです。

 

 

 

 

羽生さくるの文章教室個人授業。

随時受けつけております。

対面で1回につき2時間の講義と推敲指導をいたします。

受講料は7,000円+消費税10%になります。

 

基本4回のプログラムをご用意していますが、単発でもお受けします。

4回続けていただくと、自己紹介文から800文字のエッセイ、あの人への手紙まで完成。

最終回には「羽生さくるのミニライティングセッション」として今後の文章についてのインタビューをし、

テキスト化してお送りします。

会場は都内のカフェなどですが、Skypeでの受講も可能です。

 

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