- 旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)/萬屋 直人
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この作品の見所は、雰囲気。喪失症によって滅びゆく世界を淡々と物語っています。少年と少女に暗さがなく、単に旅をしているだけの高校生に見えますが、そこはかとなく空虚さが漂っていたりして、空気感がいい。希望でも絶望でもなく生きている人々の営み……もしかすればこれこそが人の理想郷だったりするかもしれません。
お気に入りのシーンは、人力飛行機を組み立てる『まで』のところですね。作者さんは、どうも機械工学がお好きそうな方らしく、淡々とした中に熱い航空力学の理論をぶちかましていたりして、ちょっと雰囲気台無しかもと思ったりもしますが、そこがいい。あえて情熱を溢れさせるシーン。映えてます。ただ、飛ばす以降は……ご自分でお確かめ下さい。
学べたところは、文章ですかね。雰囲気を壊さないように柔らかなタッチで書かれていて好感が持てました。私自身もこのような文体が書けたらなと考えていたりもしますが、まずは、私らしい文章を身につけることから始めないといけませんので、軸をブレずしっかりと精進していきたいですね。
旅に出たい度 ☆☆☆☆☆
――現状を維持したいなら走れ、それ以上を求めるならもっと速く走れ