チェーザレ 破壊の創造者 | 鉢野在流はライトノベルがお好き!?

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ライトノベルを中心に創作、批評、文章研究などを書いていこうと思ってます。物書きからの目線で物事を見定めるようシンプルに分析できれば、と。

チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)/惣領 冬実
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 ――1491年 11月、ピササピエンツァ大学 に16歳の青年アンジェロ・ダ・カノッサが 編入してきた。大学での講義の最中、周囲の空気を読めない彼はその言動によってメディチ家の子息・ジョヴァンニの面子を潰してしまう。その仕返しに、ジョ ヴァンニに誘われた馬の遠乗りでアンジェロは騎乗している馬を暴走させられ、崖に落ちそうになる。だが、その寸前に一人の青年に助けられた。彼こそが名門 貴族ボルジア家の後継者、チェーザレ・ボルジアであった。

 当時のイタリアは周辺の列強諸国による干渉にさらされ、またカトリック教会 は腐敗と堕落の一途を辿っていた。更に時の教皇インノケンティウス8世 の崩御とそれに伴う次期教皇選挙(コンクラーヴェ )、また800年に渡って繰り広げられたイベリア半島 再征服運動(レコンキスタ )の完了を目前とした激動の時代が始まろうとしていた。そんな中、チェーザレは自らの理想を実現するための戦いを始める。


 この作品の見所は、歴史に忠実な物語。あらゆる歴史マンガが昨今出版されていますが、こちらの作品はその中でも格調高く、資料を精査し、中世欧州の世界を日本人にも分かりやすく演出している、希代の歴史マンガと呼べるでしょう。主人公は、あのマキャベッリの著作『君主論』のモデルにもなった、チェーザレ・ボルジアであり、貴族とはなにか? 王とはなにか? 法皇とは何者か? 今までに無い真摯でストレートな、男の野望がこの作品には記されています。かのレオナルド・ダ・ヴィンチを軍師(史実です)に従え、チェーザレは欧州を統一するカエサルとなりえるのか? 戦国時代好き、特に織田信長好きにもオススメできます。


 お気に入りのシーンは、ダンテの神曲の議論中に起きたチェーザレvsアンジェロの統治論についての議論ですね。君主制の国出身のチェーザレと共和制の国出身のアンジェロ、互いに相容れない統治論であるが民衆の目線から議論する二人のやりとりは、そんじょそこらのバトル物なんかよりも、熱いシーンだと私は感じましたね。


アンジェロ「民衆はどのような悪政でも身を委ねるのみとおっしゃいますか!?」

チェーザレ「どのような施政でもそこに秩序が存在する限り民衆は従わざるを得ない。問題は優れた指導者を得るかどうかだ」

アンジェロ「では……それではご自分は……優れた指導者に成りうる自信がおありですか?」
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「それは私が決めるべきことではない。神が決めることだ」


 痺れるねぇ~(´∀`)


 学べた所は、歴史への真摯な想いですね。作者さんは本当に中世ヨーロッパが好きな方なんですね。物語とは別な部分、絵画や哲学、宗教論まで、細かく丁寧に描写し解説してくれます。読んでる方も見識が広がり、欧州社会の成り立ちや因習がするりと頭に入ってきます。一重にそれも歴史に対して深い思い入れがあっってこそと私は感じ入りましたね。


 チェーザレイケメン度 ☆☆☆☆☆



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 ――私も無能な人間は嫌いだ。貴族、庶民に限らずな