クリスマスに、このゲームの彼女から、ウェブマネー1万円がおくられてきました。ゲームの彼女ってこんな事もするのか?俺は動揺を隠せませんでした。リアルの彼女ですら、万単位のものなんて貰った記憶があまりないというのに・・・。しかも俺はネカマキャラだと言うのに・・・。


貰うだけじゃ申し訳ないな・・・。俺は育成中の山秘境防具の中で最高品質の最強コアスペ付きの継承がほぼ終わってる物をお返しにプレゼントしました。普通に作ると1万円くらいかかる品物だと思ったからです。しかし、ウェブマネー1万円に見合うものかと言うと、正直微妙でしたが、彼女は喜んでくれました。


しかし、ネットの関係でプレゼント貰うのは何度目の事だろう…。過去をさかのぼると、映画サイトの女性と一緒に映画を見に行ったり、バレンタインデーに壺に入ったチョコを貰ったり、高級プリンセットをフレンドから貰ったりしましたが、今回のウェブマネーが一番の衝撃でした。今の時代って、ネットで付き合うのってリアルで付き合うのと大差ないのかな?と悩んでしまいました。


そして、デートと言うことで、プレゼントした山用防具をつけて、一緒に山秘境を探索しました。自分の中でも最高傑作防具だったので、思いのほか、2人でも楽に冒険できました。退屈な毎日に刺激がほしくて始めたネットゲームですが、ちょっと自分には刺激がつよすぎたかもです。


ネットとリアルの境界線を越える出来事にはドキッとしちゃいますね。映画サイトで知り合ってのリアルデートは2年くらいの付き合いでしたし、高級プリンセットのプレゼントに関しては、10年来のフレンドです。わずか半年のゲームの付き合いで、ウェブマネー1万円・・・。もちろん嬉しかったのですが、少しネットへの恐怖も感じてしまいました。

とりあえず、俺を彼氏と言う人に関しては、それなりの付き合いをしておきました。別段、害はなかったからです。アバターで俺が座ったら、「膝枕~」とか言って寝っ転がってきたりしましたが、笑ってごまかしておきました。ですが、中性的な会話は貫き通してました。


「2人仲いいね~」と言われた時、「私の彼氏だから~」とか言われても「ww」とごまかしてました。しかし、俺は基本ソロプレイなので、みんなとのレベル差がみるみる開いていきました。このゲームはレベルより、武器の性能が物を言うゲームで、ファイターをやる場合でも、他の職業の装備が反映されると言う鬼畜仕様だったのです。


俺は、山秘境に行く場合は、全ての職業に風属性装備を持たせ、森秘境に行く際は、全ての職業に土属性装備を持たせてました。このゲームは、こんな感じで、行く場所によって装備を変える必要があるんです。俺は3秘境だけしか行かない予定でしたが、それでもすべての装備をそろえるのにかなりのお金がかかりました。


5種類ある職業のすべてに、この状態でしたので、流石に他のメンバーには課金を勧める気にはなりませんでした。更に、このゲームのキモとも言うべきシステムが、継承システムです。武器一本手に入れたら、その武器に属性攻撃やら、カウンターなどを継承させる必要があるのです。防具に関しても同じで、攻撃力アップスキルやら、コアスペシャルやらを継承させないと強くならないのです。


しかも、この継承の成功確率が鬼仕様で、鍛えに鍛えた武器を、さあ継承しようとしても、ほとんどの確率で継承失敗で溶けて消えます。10本に1本くらいの成功確率だろうか?上級者が誰もが通るいばらの道です。俺は、山、森、砂漠に関しては、何とかこの継承を無事に終わらせました。もう一回最初からやれと言われたら、発狂するかもしれません。それほど過酷な作業でした。


この頃には、ソロで山秘境の大ボスのアースグリフォンと言う敵に勝てるようになってました。しかし、他の3人に「継承頑張って」と言う気にはとてもなれませんでした。とりあえず、山秘境を4人で普通に遊ぶというのが、俺の当時の目標でしたので、俺は仲間3人と、山秘境補助防具集めに専念してました。それと、アースグリフォンを倒すとまれに良い装備品を落とすので、3人を引き連れて、退治したりもしました。


アースグリフォンの一撃で、俺以外の仲間は一撃でKOでしたが、俺が倒せば、報酬をみんなが貰えるので、必死に倒しました。とりあえず、そんな感じで、山秘境のクエストをこなしていたら、仲間たちは山秘境の耐性がついていきました。とりあえず、第一の目標、山秘境探索に関しては、みんな、ぼちぼちこなせるレベルになりました。



クランの移動は思いのほか、すんなり行きました。俺のフレンドのクランに頼んだら一発OKでした。自分のほかの初心者3人も無事に歓迎されました。しかしこの頃には、俺は、難易度の高い秘境ステージでソロで守護者と言われる強敵を倒せるほどの強さになってました。


とりあえずは、自分は後回しで、初心者3人のいろんな意味でのレベルアップを図ろうと考えてました。とりあえず、課金は勧めたくなかったのですが、俺を見て育った影響なのか、3人とも課金ガチャに手を出してしまいました。このゲームのガチャはタイミングがあり、いい武器が出やすい時期と、どうでもいい武器しか出ない時期があったのですが、残念なことに時期を見誤ってました。


しかし腐っても課金武器です。3人ともかなり装備が充実しました。しかしそれでも、秘境には近寄れない程度の強さでした。俺は3人を引き連れて、秘境クエストをこなしました。秘境のクエスト景品には、課金武器、防具が当たるクジが貰えたからです。はたから見ると寄生と呼ばれてしまうかもしれなかったけれど、フレンドで、クランメンバーなので、気にする人は居ませんでした。


秘境の入り口の敵を相手に、一撃で瀕死のダメージを喰らう仲間たち、俺は秘境用の補助防具と言うものを装備していたので、ほとんどノーダメージでした。秘境を探索してると、敵がまれに秘境用補助防具を落とすのです。とりあえず、俺が敵を倒しまくって、秘境用補助防具をみんなが集められたらいいなとも考えてました。


とりあえず、秘境クエストをみんな無事にクリアできたので、クエスト景品はみんな無事にゲットできました。これでまた全員1ランクアップできるな。と考えてました。ですがやはり、寄生プレイは面白くないらしく、みんな秘境は怖いと言ってました。とりあえず、秘境クエスト景品をゲットできたので、これ以上は無理をさせる必要はないかな?と考えました。


そして気になる点がもう一つありました。3人の内の一人、自分の事を彼氏扱いする女性プレイヤーがいたのです。彼女には自分の中身が男と言うのがバレてるみたいでした。それを悟ったのは、もう一人の人との個人チャットの誤爆です。俺のことを、「私には、ベルサイユの薔薇のオスカルみたいに見えるけど」と、突然前振りもなしにクランチャットで話したんです。自分を彼氏扱いする人との個人チャットの誤爆でした。


そこで、男だとばらしても良かったのですが、何故かそれができなかった。「オスカルって何?」と彼女は言ったので、「私は~♪ば~ら~の♪さだめに生まれた♪」と、クランチャットで返したら、もう一人の人が大笑いしてました。そして、ベル薔薇の説明をしてました。どうやらうまくごまかせたらしい。でも、彼女には完全にバレてるっぽかったですが。