しかし懸念してたことはやはり、起こるべくして起こった。フレンドになった人のうち一人が、やたらと私生活を聞いてくるのだ。俺はゲームはゲームとして楽しむタイプの人間なので、この手の相手がとても苦手だった。あげくに、「僕たち気が合うね」と言われて正直鳥肌が立った。どうやらこの人は、出会い系と勘違いしてるのだろう…。


とりあえず、会話はかわせる限りかわして、スルーした。しばらくするとあきらめたのか、会話をしてこなくなった。俺は正直ほっとしていた。かわし方と言うのはこうだ。「普段何してる人なの?」と言われた場合、「ファイターでゴブリン狩ってます」と答え、「学生なの?」と聞かれた場合、「今はゲームを学んでます」といった感じだ。そして、「ゲーム内でリアル会話するの嫌いなんです」と付け加えた。


まぁ、素直に中身は男ですけどと話せば、一発で終了だったとは思うのだけど、なぜかそれが言えなかった。しかし、やはりゲーム内の出会い系連中と言うのは、どのゲームにも居るものだなぁと思っていた。女性プレイヤーが減る原因だと思いましたね。ある意味、ネカマプレイヤーとして貴重な体験ができたと思う。


そして、丁度その時期に、クランマスターの長期不在で、自分がクランマスターになっていました。その頃にはある程度のゲーム知識が身についていたので、クラン方針変更、初心者歓迎にしてみました。そして、クランマスターの自分がこの程度の強さじゃ盛り上がらないな。と思い、思い切って課金しました。


丁度、秘境用と言われる高レベルステージ用の武器ガチャがあったので、それを回して、秘境装備をゲットしました。剣が出たのは本当に運が良かった。山、森、砂漠、雪山と4秘境あるのですが、山、森、砂漠用の3種類の剣を手に入れました。自分はファイターなので、剣以外が出たらどうにもならないところでした。


そして、クランですが、初心者歓迎にしたところ、続々と新メンバーが入ってきて、あっと言う間に満員になりました。みんなのレベルを見ると、まだ初めたてと言った感じで、ゲームの基本もわかってなさそうな状態でした。なので、クランのマスターコメント欄に、初心者のするべき事を箇条書きで記入しておきました。


しかし、インしても挨拶無し、ステータス見ても、するべき事がされてない状態がずっと続いていました。そこで俺は方針変更して、初心者用武器の作成に取り掛かりました。そして、作った武器をよくインしてる人たちに配りました。課金武器より劣るけど、中級レベルまでは使えるコアスペシャルとカウンターの付いたある意味ネタ武器です。


貰った人たちは、喜んで使ってましたが、クランメンバーの実質稼働率の低さに悩んでました。ほぼ全員に役職をつけたのに、インする人は3人程度・・・。

そこで俺はその3人を引き連れて、クラン移動を決心しました。