壁lー゜)コッソリ


人事異動は私を中心に大きな変革をもたらした。今居る店舗がA店な訳だが、以前、私はB店で働いていたんだ。そしてC店への移動・・・。この人事の意味するところはトレーディングカードの底上げだ。私が居る店舗は必然的に高額買取が来る。したがって社員は仕事を覚えざるを得ないんだ。そうやってA店とB店では社員がトレーディングカードの知識を身につけて行った。今度はC店という訳だ。私の変わりにA店に来るのは麻生という新人社員だ。しかし、この人事異動で麻生の給料が上がり、私の給料が下がる事になるのだ。まったく何が成果主義なんだか・・・。


A店での仕事最終日、佐藤さんと松田さんが送別会を開いてくれた。うちの職場は社員同士で交流を深められるほど人員に余裕が無いんだ。バイトと仲良くしてるのも私くらいのものだろう。他の社員は仕事が終わるとたいてい死にそうな顔をしていた。「あ~あ、なんでダダさんが移動になっちゃうかな~?麻生さんって商品移動で見た事あるけど、めっちゃ無愛想だったし」佐藤さんはため息混じりにそう呟いた。「ん、確かになぁ・・・遠距離出社の内田さんに頑張ってもらうしかないかもね。集団プラナリアの法則とでも言えばいいのかな?団体の中の重要な役割の人間が消えると変わりはすぐに現れるよ」私が今後の2人のことを考えてそう言うと、松田さんが口を開いた。


「ダダさんの代わりなんて無理だよ。私達ダダカラオケ会の会員だよね。C店そんなに離れてないし・・・えっと、私達遊びに行ってもいいよね」それを聞いた私は、松田さんの目を見ながら「前に言った通り、いつでもOKだよ。ただし、A店に迷惑はかけないこと。事前にメールくれればいつでも合わせるよ」そう言って微笑んだ。