休憩から仕事に戻った私は、仕事中もチョロQの事ばかり考えていた。誰でも簡単にそれでいて利益を出せる方法・・・。100円買取ならうちの会社の規模なら1日100台くらいは買い取りにくるだろう…。買い取ったものを私が居る店舗に集めてここで値付けするのも手間がかかりすぎる。誰でも簡単に・・・そうだ!クジにしよう。中古で買い取ったものを全て黒い袋に個別で入れ1個250円だ。これなら誰でも出来るし、何が出るか解らない絶版物が当たる可能性もあるクジなら話題性もある。盗難防止でお金もらってカウンター横で引かせれば完璧だ。


考えがまとまり安心した私は、その後はチョロQのことは考えず仕事に励んだ。その日は忙しかったが、バイトの2人が頑張ってくれたおかげで無事に終わった。「佐藤さん、松田さん、お疲れ様。2人が頑張ってくれて助かったよ」私がそう言うと、松田さんが「どうしてダダさんの日に頑張れるか今解った気がする。他の社員さんって絶対お礼言わないんだよね」とこちらを見て微笑んだ。それを聞いていた佐藤さんが「確かにそれはあるかも?内田さんとか、お疲れの一言すら無い時あるし」と続いた。


「よし、解った。今度会議のときに全員に言っておくよ。うちの会社の経営理念だからね。従業員が気持ちよく働ける環境って言うのも」私がそう言うと、「こんなブラック企業で経営理念に凄い事かいてるよね…ダダさん、この後のクローズ作業2時間、残業代付かないんでしょ」と松田さんが考え込みながら呟いた。「まぁ、金銭面は諦めてるよ。せめて楽しくやりたいでしょ。そうだ、2人とも2時間後カラオケ行かない?頑張ったらその分遊ばないとね」私がそう言うと「決定~。今日は歌いまくるぞ~!」と、2人とも乗り気だった。仕事の後のカラオケは自分の中ではルーティンに組み込まれていると言ってもいい。


「じゃあ、即行でクローズ終わらせるから、その後メールするよ」私がそう言うと、「ん、私たちもクローズ手伝うよ暇だし」と2人とも残業代無しで仕事をしてくれた。この辺りにも考えさせられるものがあるな。と思っていた。カラオケが無かったとしても、暇ならこの2人は手伝ってくれる。私が上司なら給料出さずにいられないところだが…そして無駄にお金出したくないから手伝わせない環境。これはどうするべきなのか。まぁ、私ごときが考えても無駄な話か…そう思いその考えを振り払った。