①翌朝、俺は見たことの無い部屋の見たことの無いベッドで目が覚めた。あれ?ここどこだ?凄く頭が痛い。そうだ、昨日いつものメンバーで飲み会行って8人で飲んで、理沙ちゃんとデュエット歌って、あれ?それからどうしたんだ?とりあえず頭が痛い。この状況で、飲みすぎて記憶が飛んでることだけは理解できた。
②「あっ、目が覚めた?おはよ~ダダ君」理沙ちゃんだ。彼女は白地に英字プリントのされた襟元もゆるい感じの、膝くらいまであるロングTシャツを着ていた。スカートもズボンもはいてないように見えるんだけど、この状況って…俺は昨日の事を思い出そうとしてまた頭痛に悩まされ頭を抑えた。
③「あっ、まだ寝てたほうがいいよ。頭痛いでしょ。味噌汁作ったから飲んで。豆腐とワカメの味噌汁だから、さっぱりして二日酔いにはいいかなと思って、それともパンにコーヒーの方が良かったかな?」そう言って彼女はガラステーブルの上に味噌汁を置いた。「あっ、ありがとう」俺は動揺しながらそう言って味噌汁を一口飲んだ
④頭がスッキリしてくる。味噌汁は本当に二日酔いに効くのかもしれない。しかし、いくら考えてもデュエット以降の記憶は思い出せなかった。考えていると理沙ちゃんと目が合った。俺が考え込んでいる間も理沙ちゃんは、こちらを見つめていたらしい。「あっ、あの、凄く美味しいよ」と、俺はかつて無いほど動揺しまくってそれだけ言うと、理沙ちゃんは「良かった」と微笑んだ。
⑤俺の心臓は高鳴っていた。昨日のデュエットを歌っていた際の理沙ちゃんにも魅力を感じたのだが、今の優しい理沙ちゃんは、俺には魅力的過ぎた。心音がドクドクいってるのが解る。俺は左手で額を押さえながら、その感情を必死で押し殺して、「あの、俺、昨日、君に、その」と片言な口調で聞いた。
⑥すると彼女は「やっぱり覚えてないんだ」と言った。俺は慌てて「本当にゴメン、あの、俺、理沙ちゃんの事、魅力的だなって思ってたから、それでデュエットの後の記憶が全く無くて、その、何かしちゃったんなら」とそこまで俺が言った後「責任とってくれるの?」と理沙ちゃんがこちらを見つめながら、少し笑いを含めて言った。
⑦そして、「あ~あ、それなら手を出しちゃえば良かったな」と囁くような小声で言って、「何も無かったよ」と続けて言った。デュエットで私がキスしようとしても無反応で、倒れそうになったから私が支えて、そのまま少し横になってたんだけど起きないから、そのままタクシーで私の家に連れて来たの。あそこに居ても、聡史の家に送っても、洋子って子が怖かったし」
⑧「えっ、洋子が怖い?」俺は話を聞いて少し安心しながらも最後の言葉が気になり、聞き返していた。「あの後はね、テル君が、怜奈と抜け出して、スズが仁さんと抜け出して、4人になったの。でも彼女は、君も聡史も独り占めしたいの。初めから最後まで、ずっと睨まれてたからね私。彼女はお酒強いよ、顔は赤くても全然酔ってなかったもん」
⑨俺はその言葉に驚いていた。そしてその話と前の状況を考えたら鳥肌が立った。洋子は開始前、俺の袖を掴んで不安そうに見つめていた。あれを俺は、酔った自分が襲われたりするのが怖いんじゃないかと思っていたのだが、そうじゃなかったんだ。俺をとられるのが不安だったんだ。
⑩そんな考えをめぐらせていたら、理沙ちゃんは続けて言った「聡史が居なかったら、私何されてたか解らないよ洋子に。聡史は洋子の事、好きって言ってたけど、ダダ君の事も気にしてる事は解ってたみたいだよ。ダダ君は自分の事には鈍感そうだから、知らなかったんだね。解りやすく悪く言っちゃうけど、洋子のキープなんだよダダ君は」
⑪それを聞いて、俺は納得してしまった。恋愛抜きの男女の友情だと思っていたのは自分だけだったんだ。そしてもう痛みは治まっていたのだが、俺は右手で額を押さえ、彫刻の考える人のようなポーズを取っていた。そこに理沙ちゃんが「ゴメンね。ダダ君のことが心配だったから私・・・」と、不安そうな表情でこちらを見つめながら言った。
⑫理沙ちゃんは、初めからずっと俺の事を見つめてくれていた。俺は先ほど押し殺した感情を呼び戻し、自分に正直になる事にした。「理沙ちゃん、デュエットで記憶がなくなる前の続きがしたいんだけどいいかな?」それを聞いた彼女は、こちらを向いて瞳を閉じた。
②「あっ、目が覚めた?おはよ~ダダ君」理沙ちゃんだ。彼女は白地に英字プリントのされた襟元もゆるい感じの、膝くらいまであるロングTシャツを着ていた。スカートもズボンもはいてないように見えるんだけど、この状況って…俺は昨日の事を思い出そうとしてまた頭痛に悩まされ頭を抑えた。
③「あっ、まだ寝てたほうがいいよ。頭痛いでしょ。味噌汁作ったから飲んで。豆腐とワカメの味噌汁だから、さっぱりして二日酔いにはいいかなと思って、それともパンにコーヒーの方が良かったかな?」そう言って彼女はガラステーブルの上に味噌汁を置いた。「あっ、ありがとう」俺は動揺しながらそう言って味噌汁を一口飲んだ
④頭がスッキリしてくる。味噌汁は本当に二日酔いに効くのかもしれない。しかし、いくら考えてもデュエット以降の記憶は思い出せなかった。考えていると理沙ちゃんと目が合った。俺が考え込んでいる間も理沙ちゃんは、こちらを見つめていたらしい。「あっ、あの、凄く美味しいよ」と、俺はかつて無いほど動揺しまくってそれだけ言うと、理沙ちゃんは「良かった」と微笑んだ。
⑤俺の心臓は高鳴っていた。昨日のデュエットを歌っていた際の理沙ちゃんにも魅力を感じたのだが、今の優しい理沙ちゃんは、俺には魅力的過ぎた。心音がドクドクいってるのが解る。俺は左手で額を押さえながら、その感情を必死で押し殺して、「あの、俺、昨日、君に、その」と片言な口調で聞いた。
⑥すると彼女は「やっぱり覚えてないんだ」と言った。俺は慌てて「本当にゴメン、あの、俺、理沙ちゃんの事、魅力的だなって思ってたから、それでデュエットの後の記憶が全く無くて、その、何かしちゃったんなら」とそこまで俺が言った後「責任とってくれるの?」と理沙ちゃんがこちらを見つめながら、少し笑いを含めて言った。
⑦そして、「あ~あ、それなら手を出しちゃえば良かったな」と囁くような小声で言って、「何も無かったよ」と続けて言った。デュエットで私がキスしようとしても無反応で、倒れそうになったから私が支えて、そのまま少し横になってたんだけど起きないから、そのままタクシーで私の家に連れて来たの。あそこに居ても、聡史の家に送っても、洋子って子が怖かったし」
⑧「えっ、洋子が怖い?」俺は話を聞いて少し安心しながらも最後の言葉が気になり、聞き返していた。「あの後はね、テル君が、怜奈と抜け出して、スズが仁さんと抜け出して、4人になったの。でも彼女は、君も聡史も独り占めしたいの。初めから最後まで、ずっと睨まれてたからね私。彼女はお酒強いよ、顔は赤くても全然酔ってなかったもん」
⑨俺はその言葉に驚いていた。そしてその話と前の状況を考えたら鳥肌が立った。洋子は開始前、俺の袖を掴んで不安そうに見つめていた。あれを俺は、酔った自分が襲われたりするのが怖いんじゃないかと思っていたのだが、そうじゃなかったんだ。俺をとられるのが不安だったんだ。
⑩そんな考えをめぐらせていたら、理沙ちゃんは続けて言った「聡史が居なかったら、私何されてたか解らないよ洋子に。聡史は洋子の事、好きって言ってたけど、ダダ君の事も気にしてる事は解ってたみたいだよ。ダダ君は自分の事には鈍感そうだから、知らなかったんだね。解りやすく悪く言っちゃうけど、洋子のキープなんだよダダ君は」
⑪それを聞いて、俺は納得してしまった。恋愛抜きの男女の友情だと思っていたのは自分だけだったんだ。そしてもう痛みは治まっていたのだが、俺は右手で額を押さえ、彫刻の考える人のようなポーズを取っていた。そこに理沙ちゃんが「ゴメンね。ダダ君のことが心配だったから私・・・」と、不安そうな表情でこちらを見つめながら言った。
⑫理沙ちゃんは、初めからずっと俺の事を見つめてくれていた。俺は先ほど押し殺した感情を呼び戻し、自分に正直になる事にした。「理沙ちゃん、デュエットで記憶がなくなる前の続きがしたいんだけどいいかな?」それを聞いた彼女は、こちらを向いて瞳を閉じた。