①研修も終わり土曜日で休みだ。本格的にキツクなるのは来週からだ覚悟しておかないとな。俺は朝食を食べに食堂へ向かうと、大山と石垣の二人とばったり遭遇した。「おぉ、おはよう」と軽く挨拶をして、同じテーブルで食事をする事にした。2人ともやはりパンと牛乳を選んでいた。「やっぱり朝はパンだよな」と大山が言った。

②「ココの朝食のごはんはおかずがちょっとねぇ」と、俺は、厨房までは遠いのだが、万が一にも聞こえないように小声で2人に言ったら「おかず海苔だけって酷すぎだよなぁ」と2人とも同意した。すると石垣が「2人とも寮の周辺は歩いたの?」と聞いてきた。大山は入寮してからほとんど外に出てないらしい。石垣は、100均とブックオフには行ったらしい。

③俺は、「いちおう寮長に地図コピーしてもらって一通り散策したから、何があるかは大体解るよ」と言うと、2人とも行動が早いと感心していた。そこまで話したところで、俺の携帯にメール着信が来た。ミキちゃんからだった。実は知り合ってから毎日メール交換している。そして、俺が今日なら遊べるかもと伝えていたのだ。

④さて、どうしたものか?とりあえず、先週知り合ったばかりの人間を女の子に紹介するのも怖いものがある。「ゴメン、2人とも、とりあえずこの地図あれば歩きやすいと思うから、俺はちょっと今日は用事があるから」俺はそう言って2人に地図を渡し、今回は、大山達とは別行動をとる事にした。俺はまだ2人を信用は出来ていない。

⑤そして、俺はベージュのシャツに茶色のズボンに着替えた。襟元にグレーのストールを巻いて、手首にはターコイズと皮ひものブレス、そして帽子はブルーのキャスケット、そしてブルーのデッキスニーカーだ。黒い服とはイメージががらりと変わるけど、大丈夫かな?ブルーは落ち着きと冷静の色だ。俺が選んだ服だ問題は無い。

⑥そして、駅に向かうバス停に並んだのだが、そこに大山と石垣が居た。ちょっとタイミングが悪いな。俺はそう思いながらも、2人に声をかけた。すると石垣が、「お洒落なカッコだね。一瞬誰か解らなかったよ。いつもそんな派手な服着てるの?」と聞いてきた。俺はミキちゃん達と駅前で待ち合わせ予定だから恐らく目撃されるだろうと覚悟を決めて、「ちょっとこれからデートだから」と素直に打ち明けた。

⑦すると、大山が笑いながら「おいおい、もうこっちで彼女いるの?出身横浜だよね?手が早すぎるだろう。さっき確かに行動が早いって言ったけど、ココまで早いとはねぇ。今度、俺達にも女紹介してくれよ」と言った。やはり言われたか。俺はこの紹介と言うので、ろくな思い出が無いのだ。

⑧紹介した人間には紹介した責任がついて回る。まともな人間なら問題は無いんだ。過酷な仕事で直ぐに仕事をやめたり、6ヶ月で満了で退社して埼玉に帰るかもしれない人間を、名古屋の女の子に紹介なんてとてもできない。自分でさえ、先のこと考えると不安なのに大山は相手のことを考えて言ってるのだろうか?

⑨俺は、冷静になるように勤めた。そして、「まだ俺もそれほど仲良くなってないから、紹介できる状態じゃないなぁ。大山達のこともまだ詳しく知らないって言うのもあるし、紹介はまだ早すぎるかな?それに、俺が男を紹介して6ヵ月後に別れに泣く女の子ってのも見たくないぞ」俺がそう言うと、「なるほど女性の味方だね。この外見でこの考えは女に好かれるわ」と2人ともこの場は納得してくれた。

⑩そして、駅に着いて、大山達と別れ、改札前に着くとミキちゃんがいきなり腕を組んできたのだが、明日香ちゃんが寂しそうにこちらを見ているのに気づいてしまった。そこで、「俺は明日香ちゃんと腕組んで歩きたいなぁ」と言って、ミキちゃんの腕を振りほどいて、無理やり明日香ちゃんと腕を組んだら、明日香ちゃんは笑ってくれたが、ミキちゃんは「ひどい~」とすねた表情でいじけたそぶりを見せた。さて、今日は3人で名古屋の名所めぐりの予定だがどうなる事か。


一方通行恋愛で、リスタートした訳だが、今度は自分中心の3角関係になりそうだ。職場の連中を織り交ぜれば4角、5角になるのだろうか、そして俺の仕事は契約満了したらどうなる事か?過酷な仕事は続けられるのか?様々な不安はあるが、前向きに行こう。名古屋の大地に根をおろせたのか。この先の結果は俺の心の奥に鍵をかけてしまっておこう。

第6部完  無理やり恋愛話として完結させてみた…。( ̄▽ ̄;)
今後、訂正して続く可能性はあるかもしれない…。