①洗面用具をジャスコで買って寮に戻ってきた。今日は楽しい一日だった。しかし名古屋まで来て職場の人間より先に女の子と仲良くなるとは思わなかった。ふと前の職場の事が思い浮かんだ。あの子は女なのにラルクばかり歌ってたよなぁ。いや、横浜のことは忘れるんだ。むしろ今回の出会いは忘れるには最高のきっかけだ。自分にそう言い聞かせ、軽く頭を振った。

②そういえば、本を買ったよな。「姑獲鳥の夏(うぶめの夏) 京極夏彦」か、この人の本は読んだことないけど、どんな物だろう?そう思いページをめくった。とても難しい文章が並んでいて全然先に進まない。凄く読みづらい。普段なら1時間もあれば読み終えてしまう厚さなのに、この本は全然読み進まない。コレは失敗だったかも?そう思い入浴時間になったので本を閉じて浴室に向かった。

③寮は大浴場で、銭湯に来た感覚だ。寮生は帰ってきて直ぐ入浴したがるので今の時間帯だとかなり空いている。自分を入れて3人だけだ。これが、混雑する時間だと酷い事になるであろうことは過去の経験から解っている。入浴開始時間と終了間際が凄く混むのだ。俺は、手早く身体を洗い入浴を済ませた。

④食事は明日からは寮食堂だが、今日はコンビニ弁当だ。正直、寮の食堂のご飯は美味しかった試しが無い。ココの寮では食べたことは無いが、全く期待していない。味と値段によっては、今後、吉野家で済ませようかと本気で考えている。食事時間も制限されて美味しくないんじゃ外食した方がマシだからだ。吉野家なら価格的に大差は無い。

⑤部屋には電気ポットがあるので、最悪カップラーメンという手もある。近くの薬局で1個80円で売ってるのを確認していた。名古屋では薬局の方が、案外100均より、掘り出し物があったりする。まぁ、俺としては電気ポットは基本コーヒー用なのだが。部屋に戻るとメールの着信があった。ミキちゃんからだった。

⑥「今日は楽しかったよ。カラオケだけだったのが残念だったけど、次は一緒にお酒でも飲みたいね。私も明日香も、土日はだいたい暇してるので、いつでも気軽にメールしてね。全然メール来なかったら泣くぞ~!(ノ_・。)」俺は、内容を見て微笑んでいた。ミキちゃんの性格がなんとなく理解できて、微笑ましく感じていた。

⑦とりあえず、「俺は仕事に就いたばかりで、明日が初仕事だから時間空けれないかもしれないけど、メールならいつでもできるので、土日は必ずメールするよ。時間が合えばまた遊ぼう。俺も楽しみにしてるよ。だから泣くな~!ヽ(゜▽゜)ノ」と返信した。相手のメールの雰囲気に合わせての返信は基本だ。顔文字を入れてきたら顔文字で返す事にしている。

⑧その後少しだけ、メールでチャットのような事をしておやすみメールで締めくくった。初日から遅刻したのでは洒落にならない。そして俺は明日の準備をして、布団に入った。まだ22時だが朝5時30分に起きる予定なので早めに寝た方が良いだろう。まぁ初日にやる事など大体解っているのだが。

⑨翌日、目覚ましを鳴る前に止めた。時間は5時28分だ。俺は着替えなどを済ませ6時に食堂へ向かった。パンと牛乳を食堂で食べる。朝食はコレが基本みたいだ。パンかご飯か選べるのだが、ご飯はおかずが少ないので、朝はパンの方がよさそうだ。そして朝食を済ませたらバスに乗り込む。このバスの座席でトラブルが多いことを俺は知っているので、一番に乗った。

⑩皆自分のお気に入りの定位置に座りたがるんだ。そして隣に人が座ると露骨に嫌な顔をする。まぁ音楽のボリュームなど、よほど酷い人間じゃなければ俺は気にしないのだが、自分の定位置に座れないだけで喧嘩を始める人間も見たことがあるので油断は出来ない。まぁ今回は満席ではなく、まだゆとりがあるみたいで揉め事も無かった。

そして、バスを降りて、自分を含め10人ほどが新人研修の部屋に集まった。そう、まだ仕事の始まりじゃないんだ。新人には1週間研修のような物がある。本日はその第一日目だ。

第四部完 (((゜Д゜;))終わり所を失った気がする…。