『ゼノン、気を使ってくれてありがとう。サキ様とクレア様は、せっかく2人で駆け落ちしたのに、私が居るせいで気を使って、イチャイチャしないんですよ。私がその、不幸な別れ方したから…。私としては、私の分まで2人には幸せになって欲しいんですけどね』リスティアは無理に作ったような笑顔で微笑んだ。
『リスティア、それに関しては俺も同じだ。ルイーズが亡くなって行き場の無い俺を、お前達が誘ってくれたんだ。俺もあの2人には俺の分まで幸せになってもらいたい。ふっ、なんだか俺達って似ているな』ゼノンはそう言ってリスティアを気遣うように軽く笑った。
『そうね。ふふっ私にはもう、希望なんて無かったんですよ。アルフォンスの3人に乱暴されて、そこから立ち直るきっかけを与えてくれたレクトが死んでしまって…でも、そんな私をクレア様は頼ってくれた。サキ様はレクトの仇を討ってくれた。私には2人の幸せが全てなんです』そう言って思い出すように遠い目をしながら悲しげに語った。
『リスティア、お前はそれでいいのか?俺はルイーズの為にも、ルイーズの分まで自分が幸せになろうと思っている。コレはサキに言われて気が付いたんだけどな。だからなおの事、サキ達には当然幸せになってほしいと思っているが、自分の幸せも諦めていないぞ。サキにしろ、クレア様にしろ、そのレクトって男にしろ、リスティアの幸せを願っているだろう。俺だってリスティアにも幸せになってほしい』そう言ってからゼノンはリスティアを女性として意識してしまい、顔を赤くして慌てて目をそらした。
『ありがとうゼノン。私もゼノンの幸せを願っているわ』リスティアはゼノンの態度は見てみぬフリをして、顔を少し赤らめながら、それだけ囁いた。
そんな話しをしながら歩いていた2人だったが、突然あたりに不穏な空気が流れている事に同時に気が付いた。2人が身構えると辺りの景色が一変して、一本の木が見た事も無い植物に変化していた。その木は、いくつもの枝の様な物を血管のように蠢かせていた。
『この結界は、魔術師だろう。隠れてないで出て来い!』ゼノンが叫ぶと、2人が良く知っている魔術師が姿を現した。『くっ、貴様生きていたのか!』ゼノンが怒りを表に出し叫ぶと魔術師は答えた。
『おやおや、誰かと思えば半魔のゼノンじゃないか。もう一度私の僕にしてやろう』それを聞いたリスティアが、叫びながらいきなり魔術師に斬りかかった。『その前に、もう一度私があんたを切り刻んでやる!』リスティアの剣は、魔術師をすり抜けていた。斬った感触はない。『おぉ、怖い怖い。もう斬られるのはごめんですよ。お前達の相手はこいつに任せるとしますよ。私も完全に体が癒えてないんで色々と必要な物があるのでね。さぁ幻魔の森の木よ、2人の養分を吸い尽くしてしまえ!』
魔術師がそう叫んで姿を消すと、幻魔の森の木は、枝のようなものを伸ばしてきた。それは鞭のようにしなって2人めがけて飛んできた。
『リスティア!この枝は切ったらまずい。消化液に溶かされるぞ!』ゼノンはリスティアに叫びながら枝を剣でそらしながら何とかかわした。しかし、リスティアは、咄嗟の事で斬ろうとしていた物を斬ってはまずいと言われて、慌てて剣で防いだのだが体勢を崩してしまっていた。そして、突然リスティアの足元から根のような物が飛び出してきてリスティアの両足に巻きついた。そこに、先ほどの鞭のような枝が再び飛んできて、両腕に巻きつきリスティアは完全に身動きを封じられてしまった。
『ひぃぃ、うぅっ!嫌だぁ!嫌ぁぁぁぁ!』
突然リスティアが、狂ったように大声で叫びだした。その叫び方が普通じゃなかったゼノンはリスティアの声に驚きながらも精神を統一させて呪文を唱えて、木に向かって右手を振りかざした。すると突然、幻魔の森の木は凄まじい勢いで炎に包まれた。木はリスティアを離し、踊るように蠢きながら燃え尽きた。
『チッ!厄介な半魔め!いずれまた貴様は私の人形にしてくれる!』と魔術師の声が聞こえ結界が解けて元の景色に戻った。魔術師の姿は無かった。
『リスティア!大丈夫か?』ゼノンは倒れていたリスティアに駆け寄って声をかけたが、リスティアは動転していた。『嫌ぁ!嫌なの、やめて!』と涙を流しながら叫んでいた。『くっ!』ゼノンは苦虫をつぶしたような声を発してリスティアの頬を叩いた。
『つぅ、あっ・・・ゼノン・・・』数回叩かれてリスティアは正気を取り戻して、叩かれた頬を押さえながら頭を振った。『気が付いたか?正気に戻ってよかった。すまないな、他の方法が思いつかなかくて』ゼノンは頬を叩いた事をわびた。
『ゼノン、ごめんなさい。私ダメなんです。まだ・・・過去に乱暴された時に手足を縛られたせいで思い出して・・・うっ!』と、そこまで言ってから口を押さえてひざを落として吐いていた。『あぁ、せっかくサキ様が作ってくれた物を吐いてしまった。あぁ・・・私はまだ立ち直れていないんだ…うぅ…』そう言って跪いて泣いた。
ゼノンはリスティアが泣き止むまで見守っていた。そして、泣き止んだリスティアの両手を突然掴んで上に持ち上げ、地面に生えていた蔦で縛った。
『ゼ、ゼノン?!何をするの、嫌!』再びリスティアは混乱したようなそぶりをする。
『リスティア、俺が怖いのか?』ゼノンは優しくリスティアに囁きながらリスティアの唇を奪った。何か言おうとしていたリスティアだったがこの状態では何も言えない。ゼノンが唇を離すと、『ぷはぁ』と、リスティアは荒く息を吐いた。『これからは縛られたら俺のことを思い出すんだ』そう言って、もう一度唇を奪った。今度は先ほどよりもかなり長い口づけだった。
『どうだ、まだ不安かリスティア?』ゼノンが優しい声でリスティアに聞いた。
『ありがとうゼノン。その・・・もう一度だけ』そう言ってリスティアの方からゼノンに口づけをしていた。リスティアの頬には涙が流れていた。
『リスティア、それに関しては俺も同じだ。ルイーズが亡くなって行き場の無い俺を、お前達が誘ってくれたんだ。俺もあの2人には俺の分まで幸せになってもらいたい。ふっ、なんだか俺達って似ているな』ゼノンはそう言ってリスティアを気遣うように軽く笑った。
『そうね。ふふっ私にはもう、希望なんて無かったんですよ。アルフォンスの3人に乱暴されて、そこから立ち直るきっかけを与えてくれたレクトが死んでしまって…でも、そんな私をクレア様は頼ってくれた。サキ様はレクトの仇を討ってくれた。私には2人の幸せが全てなんです』そう言って思い出すように遠い目をしながら悲しげに語った。
『リスティア、お前はそれでいいのか?俺はルイーズの為にも、ルイーズの分まで自分が幸せになろうと思っている。コレはサキに言われて気が付いたんだけどな。だからなおの事、サキ達には当然幸せになってほしいと思っているが、自分の幸せも諦めていないぞ。サキにしろ、クレア様にしろ、そのレクトって男にしろ、リスティアの幸せを願っているだろう。俺だってリスティアにも幸せになってほしい』そう言ってからゼノンはリスティアを女性として意識してしまい、顔を赤くして慌てて目をそらした。
『ありがとうゼノン。私もゼノンの幸せを願っているわ』リスティアはゼノンの態度は見てみぬフリをして、顔を少し赤らめながら、それだけ囁いた。
そんな話しをしながら歩いていた2人だったが、突然あたりに不穏な空気が流れている事に同時に気が付いた。2人が身構えると辺りの景色が一変して、一本の木が見た事も無い植物に変化していた。その木は、いくつもの枝の様な物を血管のように蠢かせていた。
『この結界は、魔術師だろう。隠れてないで出て来い!』ゼノンが叫ぶと、2人が良く知っている魔術師が姿を現した。『くっ、貴様生きていたのか!』ゼノンが怒りを表に出し叫ぶと魔術師は答えた。
『おやおや、誰かと思えば半魔のゼノンじゃないか。もう一度私の僕にしてやろう』それを聞いたリスティアが、叫びながらいきなり魔術師に斬りかかった。『その前に、もう一度私があんたを切り刻んでやる!』リスティアの剣は、魔術師をすり抜けていた。斬った感触はない。『おぉ、怖い怖い。もう斬られるのはごめんですよ。お前達の相手はこいつに任せるとしますよ。私も完全に体が癒えてないんで色々と必要な物があるのでね。さぁ幻魔の森の木よ、2人の養分を吸い尽くしてしまえ!』
魔術師がそう叫んで姿を消すと、幻魔の森の木は、枝のようなものを伸ばしてきた。それは鞭のようにしなって2人めがけて飛んできた。
『リスティア!この枝は切ったらまずい。消化液に溶かされるぞ!』ゼノンはリスティアに叫びながら枝を剣でそらしながら何とかかわした。しかし、リスティアは、咄嗟の事で斬ろうとしていた物を斬ってはまずいと言われて、慌てて剣で防いだのだが体勢を崩してしまっていた。そして、突然リスティアの足元から根のような物が飛び出してきてリスティアの両足に巻きついた。そこに、先ほどの鞭のような枝が再び飛んできて、両腕に巻きつきリスティアは完全に身動きを封じられてしまった。
『ひぃぃ、うぅっ!嫌だぁ!嫌ぁぁぁぁ!』
突然リスティアが、狂ったように大声で叫びだした。その叫び方が普通じゃなかったゼノンはリスティアの声に驚きながらも精神を統一させて呪文を唱えて、木に向かって右手を振りかざした。すると突然、幻魔の森の木は凄まじい勢いで炎に包まれた。木はリスティアを離し、踊るように蠢きながら燃え尽きた。
『チッ!厄介な半魔め!いずれまた貴様は私の人形にしてくれる!』と魔術師の声が聞こえ結界が解けて元の景色に戻った。魔術師の姿は無かった。
『リスティア!大丈夫か?』ゼノンは倒れていたリスティアに駆け寄って声をかけたが、リスティアは動転していた。『嫌ぁ!嫌なの、やめて!』と涙を流しながら叫んでいた。『くっ!』ゼノンは苦虫をつぶしたような声を発してリスティアの頬を叩いた。
『つぅ、あっ・・・ゼノン・・・』数回叩かれてリスティアは正気を取り戻して、叩かれた頬を押さえながら頭を振った。『気が付いたか?正気に戻ってよかった。すまないな、他の方法が思いつかなかくて』ゼノンは頬を叩いた事をわびた。
『ゼノン、ごめんなさい。私ダメなんです。まだ・・・過去に乱暴された時に手足を縛られたせいで思い出して・・・うっ!』と、そこまで言ってから口を押さえてひざを落として吐いていた。『あぁ、せっかくサキ様が作ってくれた物を吐いてしまった。あぁ・・・私はまだ立ち直れていないんだ…うぅ…』そう言って跪いて泣いた。
ゼノンはリスティアが泣き止むまで見守っていた。そして、泣き止んだリスティアの両手を突然掴んで上に持ち上げ、地面に生えていた蔦で縛った。
『ゼ、ゼノン?!何をするの、嫌!』再びリスティアは混乱したようなそぶりをする。
『リスティア、俺が怖いのか?』ゼノンは優しくリスティアに囁きながらリスティアの唇を奪った。何か言おうとしていたリスティアだったがこの状態では何も言えない。ゼノンが唇を離すと、『ぷはぁ』と、リスティアは荒く息を吐いた。『これからは縛られたら俺のことを思い出すんだ』そう言って、もう一度唇を奪った。今度は先ほどよりもかなり長い口づけだった。
『どうだ、まだ不安かリスティア?』ゼノンが優しい声でリスティアに聞いた。
『ありがとうゼノン。その・・・もう一度だけ』そう言ってリスティアの方からゼノンに口づけをしていた。リスティアの頬には涙が流れていた。