ゼノンとリスティアの話しでは、ここから北へ向かうと魔族が治める国で近寄らない方がいいらしい。ゼノンの魔族との確執を抜きにしても、魔族は人間を嫌っていて、共存する国というのが本来異質すぎるらしい。なので、前の国の魔族と他の国の魔族は人間に対しての敵意が比べ物にならないそうだ。

そして、ここから西へ向かうと西の森と呼ばれている場所になるらしい。その森には森の民と呼ばれる人々が住んでいるらしい。森の民は、魔族も人間も嫌っているらしく、自然と共に共存する一族で火を嫌うらしく、自然を守る為と言う理由があれば徒党を組んで敵を撃退するそうだ。かつては資源を求める港町の住人や、領地を広げようと攻め入った魔族も返り討ちにされたらしい。

4人は話し合った結果、西の森を抜ける道を選ぶ事にした。
『一先ず、ここで食事休憩を取ろう。ここから先は何処に向かうにしても、トラブルに巻き込まれる可能性が高い。今のうちに体力を万全にしておかないとね。2人も偵察で疲れただろう。皆はここで待っててくれ』

サキはそう言うとすぐに行動に移った。
『私も手伝うわ』とクレアが立ち上がろうとした際にサキは『コレは俺の得意分野だ。王女様にいいところを見せるチャンスなんで、待っててくれると嬉しい』そう言ってクレアに微笑んだ。

『クレア様、ここはサキ様にまかせましょう。森の動物はかすかな物音にも敏感に反応します。残念ながら私でも、サキ様と一緒の狩りでは足を引っ張るだけでしょう。昔レクトにサッズの町の話を聞いたことがあるのですが、あの町の住人は狩りに関しては国で一番です。気配の消し方、物音への反応はもちろん、生き物の生態を知り尽くし、獲物を狙うのも得意なのですが、それよりも獲物が動く先を読む力が凄いんです。私達が下手に動いたら、邪魔になってしまいますよ』

と、リスティアの話しが終わるか終わらないかといったわずかな間に、サキはウサギのような小動物を片手に掴んで戻ってきた。『とりあえず、メインはコレでいいかな?もう少し集めてくるよ』

この早さには流石にリスティアも驚いていた。『サキ様は凄いですね。サキ様が居ればどんな場所でも生活できそうですね』そしてサキはその後、大きめな魚と、果実と植物で作った水筒、マキなどを、ものの数分で集めてきた。