リリカはバランとアリオスから報告を受けていた。
お父様を殺したバルザックを倒しに20人の兵を連れ、生き残りは5人。
剣の一撃でで斧を破壊する化け物で、2人の通りすがりの奴らがバルザックに味方していた。
バルザックの言い分は、攻めて来なければ殺さない。だそうだ。

『力及ばず申し訳ありません』最後に2人はそう言って頭を下げた。

私に報告もせずに、討伐に行った事は責めたかったが、私自身、ルブロに止められなければ乗り込んでいたので、責めれなかった。だが、バランとアリオス、更には精鋭20人で返り討ちにされるとは・・・。私は、2人に下がってよいと告げ、部屋にルブロを呼んだ。

『ルブロ、お前は3人との決闘の件で私に言いたい事はないのか?あの時、わざと最後の一人を私に殺させたのだろう?正直に話してくれ』

『リリカ様・・・そのとうりです。リリカ様の部隊を信頼できる強い部隊にするのは、忠誠を誓った者としての、護衛としての役目ですので。リリカ様も、決闘の原因を解っていたのですね』そう言ってルブロは頭を下げた。

『ルブロ、あいつらを見てもわかるように、我が隊は、軟弱者ばかりなのだ。私やヘレネを見ている目は、部隊の隊長に従う目ではなく、女に気に入られようとの下心のある目をしているのだ。私は、幼い頃から、男が生まれなかった我が家庭において、長女として、父の後を継いでも、恥ずかしくない戦士になる為に頑張ってきたつもりだった。だが、私の周りに集まるのはあんな兵士ばかりなのだよ。お前をだしにしてしまってすまなかった』

『私は、カストール様の隊の生き残りとして、リリカ様のお役に立てればなによりです。今後もリリカ様の為に真の忠誠を誓う所存であります。』

忠誠を誓った者としての役目か・・・。そう呟いてリリカは去っていくルブロの背を見つめ悲しげな表情で微笑んでいた。