姉妹の会話が終わって、すぐ後の事だった。リリカは常にルブロの行動に注意していた。すると、ルブロがヘレネが独りになるところを見計らったかのように、その後を付けて、声を掛けようとしているのを目撃したのだ。やはりこの男、ヘレネの弱みに付け込んで、よからぬ事をたくらんでいるのでは・・・。そう思い、リリカは気づかれないように、2人の後をつけることにしたのだが、ヘレネに気づかれてしまった。
『お姉さま!あっ、あの、ルブロ。お姉さまには全て話しました。3人で話しても平気です』ヘレネがそう言うと、ルブロはリリカの前に一本の矢を差し出した。
『リリカ様、ヘレネ様。これはあの時の矢です。私はあの矢の軌道が信じられなくて、あの後すぐにこの矢を拾って、ためしに何度も自分で撃ってみました。何度やっても、距離も出ず、一度も狙った場所には飛びませんでしたが、ヘレネ様ならこの矢を飛ばせるんじゃないかと思いまして、相手の実力もわかると思って、こうして、話をしようと思いました。
その、あの時の事情もあり、2人の方が話しやすいと思ってヘレネ様が一人になった際に、声を掛けたのですが、それならリリカ様にも聞いてもらった方がいいですね』
リリカはその矢をルブロから受け取った。
『こんな矢が、離れた船から、避けたヘレネの目の前に刺さったと言うのか!』リリカは声を上げて驚いてしまった。その矢は重心がおかしく真っ直ぐ飛ぶとは思えない代物だった。
『あの時の矢・・・。そうです。これを撃ったのは弓使いサキです。彼が駆け落ちの相手なら、私の弓ごときじゃ通じなくても無理も無いですね。城の大会優勝者の矢ですから。恐らくサッズの幻の鳥を射抜いた技でしょう。矢で船を止めようなどと、私の考えが甘かった。駆け落ちの相手が、城で一番の弓使いだという事を、私は忘れていました』そう言って、姉の手からその矢を受け取った。
『彼は間違いなく、狙って私に当てることなく、私の動きを止めようとしていました。この矢でそんな芸当が出来る人間は世界で彼だけでしょう。見ていてくださいお姉さま』そう言ってヘレネは弓を構えてその矢を放った。
矢は左側に飛んだと思ったら突然右に曲がり回転しながら飛んでいった。
『これで狙ったものに当てるなど、私にも無理です。ルブロありがとう。彼と私の実力の差を教えてくれて、私はもう、弓で彼に挑もうとは思いません』そう言って、ルブロに向かって悲しげな表情で微笑んだ。
『お姉さま!あっ、あの、ルブロ。お姉さまには全て話しました。3人で話しても平気です』ヘレネがそう言うと、ルブロはリリカの前に一本の矢を差し出した。
『リリカ様、ヘレネ様。これはあの時の矢です。私はあの矢の軌道が信じられなくて、あの後すぐにこの矢を拾って、ためしに何度も自分で撃ってみました。何度やっても、距離も出ず、一度も狙った場所には飛びませんでしたが、ヘレネ様ならこの矢を飛ばせるんじゃないかと思いまして、相手の実力もわかると思って、こうして、話をしようと思いました。
その、あの時の事情もあり、2人の方が話しやすいと思ってヘレネ様が一人になった際に、声を掛けたのですが、それならリリカ様にも聞いてもらった方がいいですね』
リリカはその矢をルブロから受け取った。
『こんな矢が、離れた船から、避けたヘレネの目の前に刺さったと言うのか!』リリカは声を上げて驚いてしまった。その矢は重心がおかしく真っ直ぐ飛ぶとは思えない代物だった。
『あの時の矢・・・。そうです。これを撃ったのは弓使いサキです。彼が駆け落ちの相手なら、私の弓ごときじゃ通じなくても無理も無いですね。城の大会優勝者の矢ですから。恐らくサッズの幻の鳥を射抜いた技でしょう。矢で船を止めようなどと、私の考えが甘かった。駆け落ちの相手が、城で一番の弓使いだという事を、私は忘れていました』そう言って、姉の手からその矢を受け取った。
『彼は間違いなく、狙って私に当てることなく、私の動きを止めようとしていました。この矢でそんな芸当が出来る人間は世界で彼だけでしょう。見ていてくださいお姉さま』そう言ってヘレネは弓を構えてその矢を放った。
矢は左側に飛んだと思ったら突然右に曲がり回転しながら飛んでいった。
『これで狙ったものに当てるなど、私にも無理です。ルブロありがとう。彼と私の実力の差を教えてくれて、私はもう、弓で彼に挑もうとは思いません』そう言って、ルブロに向かって悲しげな表情で微笑んだ。