リリカは悩んでいた。『お父様が殺されたと言うのに、何故、私は・・・』
そう呟きながら、一人の男のことを考えていた。ルブロだ。本来の私なら、あのような無礼な、私を侮辱する台詞を吐かれたら、その場で切り捨てていたはずなのに、あの男の瞳を見て、それが出来なかった。そして、その瞳に潜む物に興味を持ってしまったのだ。あの瞳には、強い意志を感じた。しかしそれがどういう意思なのか、図りかねたのだ。私はそれを知る為に、私の護衛を命じた。傍に置いておけば、じきに解るだろうと思ったのだ。しかし未だに解りかねていた。
そこへ、ヘレネの一件だ。あれはどう考えてもおかしい。ヘレネの表情もそうだし、矢を避けるために海へ飛び込むなど、違和感だらけだ、ルブロは王女と何か関わりがあるのだろうか?ルブロに直接問いただしても、詳しい事は語ろうとしない。
私は、ヘレネに聞く事にした。
『お姉さま、お呼びでしょうか?』ヘレネは、すぐにやってきた。
『ヘレネ、お前は私に隠し事をしていないか?』私がそう訊ねると、ヘレネは私と目を一瞬だけ合わせ、すぐに目をそらして、『私は、お姉さまに隠し事など』と、少し震えた声で言った。私はそのままヘレネをじっと見つめながら無言でいると、『ルブロが、何か言ったのですか?』と、子猫が大きい犬に睨まれてでもいるかのような、そんな怯えた瞳をして言った。
『やはり、ルブロか、あの男はクレア王女の駆け落ちの賛成側なのか?お前はルブロと何を話したのだ?お前が矢を避けるために男と海に飛び込んで、男に文句一つ言わない理由が知りたい。あの一件は、おかしい事だらけだ。本当のことを聞かせてくれ』
『違います!お姉さま。王女様の駆け落ちに賛成とかそういった話ではないのです。その・・・ルブロは私をかばったのです。矢からではなく、その・・・お姉さまを含む、みんなから・・・』そう言ってから、ヘレネは泣きながら、全ての事情を説明した。
『そうだったのか、すまなかったヘレネ。その後ルブロから、それをネタに脅されたり、していないのか?何かあったら、私にすぐに知らせろ』私がそう言うと、すぐにヘレネは反論した。
『そんな!ルブロはそんな人じゃありません!私があの後、この事は秘密にって言おうとしたら、私はヘレネ様を助ける為に駆けつけただけです。って言ってくれたんです。あの方は・・・』そこまで言ってから、はっとした表情で、顔を赤くしてリリカから目をそらした。
私は予想外の答えに、半ば呆れてしまっていた。そしてこれだけは言っておかないと気がすまなかったので、言うだけ無駄だと解りつつ、自分にも言い聞かせるようにヘレネに言った。
『ルブロは何を考えてるのか、得体が知れない。心を許しすぎるなよ』と
そう呟きながら、一人の男のことを考えていた。ルブロだ。本来の私なら、あのような無礼な、私を侮辱する台詞を吐かれたら、その場で切り捨てていたはずなのに、あの男の瞳を見て、それが出来なかった。そして、その瞳に潜む物に興味を持ってしまったのだ。あの瞳には、強い意志を感じた。しかしそれがどういう意思なのか、図りかねたのだ。私はそれを知る為に、私の護衛を命じた。傍に置いておけば、じきに解るだろうと思ったのだ。しかし未だに解りかねていた。
そこへ、ヘレネの一件だ。あれはどう考えてもおかしい。ヘレネの表情もそうだし、矢を避けるために海へ飛び込むなど、違和感だらけだ、ルブロは王女と何か関わりがあるのだろうか?ルブロに直接問いただしても、詳しい事は語ろうとしない。
私は、ヘレネに聞く事にした。
『お姉さま、お呼びでしょうか?』ヘレネは、すぐにやってきた。
『ヘレネ、お前は私に隠し事をしていないか?』私がそう訊ねると、ヘレネは私と目を一瞬だけ合わせ、すぐに目をそらして、『私は、お姉さまに隠し事など』と、少し震えた声で言った。私はそのままヘレネをじっと見つめながら無言でいると、『ルブロが、何か言ったのですか?』と、子猫が大きい犬に睨まれてでもいるかのような、そんな怯えた瞳をして言った。
『やはり、ルブロか、あの男はクレア王女の駆け落ちの賛成側なのか?お前はルブロと何を話したのだ?お前が矢を避けるために男と海に飛び込んで、男に文句一つ言わない理由が知りたい。あの一件は、おかしい事だらけだ。本当のことを聞かせてくれ』
『違います!お姉さま。王女様の駆け落ちに賛成とかそういった話ではないのです。その・・・ルブロは私をかばったのです。矢からではなく、その・・・お姉さまを含む、みんなから・・・』そう言ってから、ヘレネは泣きながら、全ての事情を説明した。
『そうだったのか、すまなかったヘレネ。その後ルブロから、それをネタに脅されたり、していないのか?何かあったら、私にすぐに知らせろ』私がそう言うと、すぐにヘレネは反論した。
『そんな!ルブロはそんな人じゃありません!私があの後、この事は秘密にって言おうとしたら、私はヘレネ様を助ける為に駆けつけただけです。って言ってくれたんです。あの方は・・・』そこまで言ってから、はっとした表情で、顔を赤くしてリリカから目をそらした。
私は予想外の答えに、半ば呆れてしまっていた。そしてこれだけは言っておかないと気がすまなかったので、言うだけ無駄だと解りつつ、自分にも言い聞かせるようにヘレネに言った。
『ルブロは何を考えてるのか、得体が知れない。心を許しすぎるなよ』と