カストール様が殺された。バランとアリオスはその一報を城で聞いていた。

『なんという事だ。やはり俺も一緒に行くべきだった。スラムの生き残りは、狂剣のバルザックと瞬殺のオルガの2人だけなのだろう?どうして、仇をとりに行ってはならんのだ』バランは怒りに震えていた。

『落ち着けよ、バラン。メルヴィル様は、俺とお前の指揮する部隊じゃ、そのたった2人に返り討ちにされ、壊滅しちまうと思ってるんだ。指揮官のカストール様がやられちまったら、次の俺達の指揮官は、あのリリカちゃんだ。まったく。だけど、彼女の性格だと、父親が殺されて、黙ってるわけが無い。つまりだ、

バルザックとオルガを倒して困る人間は居ないが、兵が減るのは困る。だから攻めるなって、メルヴィル様は言いたいんだろう?

俺とお前と少数精鋭10人くらいで、討伐に行かないか?うちの総大将がやられてんのに、東の大将に動くなって言われて、はいそうですかって納得するやつの方が問題だろ。次の西の総大将のリリカちゃんの思いを汲めば、攻めるのに問題ないだろう。』

『おい、アリオス。言いたい事はわかったが、リリカ様を馬鹿にするような口の聞き方は許さんぞ。リリカ様と呼べ。少数精鋭で攻めることに関しては、俺は賛成だ。2人を倒すのに大人数は必要ない。少数の戦闘なら問題ないはずだ。俺は行くぞ』


そうして、バランとアリオスは、10人づつの精鋭部隊をつれて、西のスラムへと向かった。

西の町の広場では激しい炎があがっていて、異臭が漂っていた。『すげぇ臭いだ。こりゃたまらんな』アリオスはそう言って、周囲を見渡した。すると2人の男女の姿が目に入った。男の方が話しかけてきた。

『あなた方はカストール様の軍隊か?もしそうなら話がしたい』
アリオスは返事をし、男の話を聞く事にした。

『この町は散々に放置されていた。そんな中、この町なりのルールで必死に生きてきた人たちが居た。そのルールが気に入らず、軍隊による一方的な殺戮が行われた。その結果がこれだ』
そう言って、男は激しく燃えている炎を指差した。

『俺は通りすがりの人間だが、あなた達は一人生き残った人間を殺すために兵を連れてやってきたのか?』

それを聞いたバランが答えた。
『通りすがりは、黙っていろ。荒れ果てたスラムを一旦滅ぼして、復興させる事の何が悪い。悪人をのさばらせる訳には行かない事ぐらい解るだろう?邪魔をするなら、お前らも許さんぞ。カストール様の仇は俺がとる!』

そう言ってバランが斧を構えた時、2人の男女の背後から、もう一人の男が現れた。

『だから無駄だと言っただろう。アッシュ、サーシャ。こいつ等は、住民よりも国なんだ。住民の意見など聞かないとな。一方的に虐殺しに来て、やられておいて、悪だ、仇討ちだとぬかす、馬鹿な奴らなんだよ。お前達は、仲間を探しに行けばいい。手出しは無用だ』そう言ってバルザックはアッシュとサーシャを押しのけて前に出た。

『俺が狂剣のバルザックだ!この死体たちの仲間に加わりたいヤツは、かかって来い!』