あぁ、私の馬は走れないな。かなり無茶な走りをさせてしまった。ザクトたちの馬車があるがコイツは使わないほうがいい。こんな物に乗ってた日には、犯人に間違えられて攻撃される恐れがある。王女にもここまで連れて来られた悪い印象がある。王女をいつまでもこんな場所に一人で置いておくのも論外だ。

『王女様、ここからだと城よりもサッズの町の方が近い。あの町なら馬でも馬車でも護衛でも何でも手に入る。』サキがそう言うと王女は『私はサキ・・・貴方と一緒なら大丈夫、あっ!』そう言って歩こうとしてひざをついた。

王女様!あぁロープで足をやられてしまってますね。私が町までおぶって行きます。町には私の小屋もありますので、そこでお休みになって、その間に知人に頼んで城へ報告してもらいましょう。

サキが王女を背負って小屋を出るとサキの馬が足を痛そうに曲げていた。
『サキ、ありがとう。私のために大切な馬に無理までさせて。』そう言って王女は馬を見ながら涙を流した。

『王女様、コイツはしばらく休ませて、後で獣医に見せますので大丈夫ですよ。私の友で貴女を守る為に共に戦った英雄です。後で褒美をあげないと。無理をさせて悪かったな』そう言ってサキは馬の頭をやさしくなでた。

サッズの町まではそれなりに距離があり、町につく頃にはサキは息も絶え絶えと言った感じだった。町の入り口付近で町の住人達がサキに気が付き手を貸してくれた。王女の行方不明の情報は既にこの町にも広まっていた。サキは住人に事情を説明して城への報告を頼むと住人達は快く了解し直ぐに馬を走らせてくれた。

『これでもう安心です。迎えが来るのを待ちましょう。』

『サキ、あなたはすごいです。もともとここに住んでたわけではないのに、この町の住人はみんなサキに心を開いています。サキ、私は貴方の事がもっと知りたい。』