幸一と静香は、部屋でのんびりしていた。
2人ともダブルのソファの、いつもの場所に座り、コーヒーを飲んでいる。

『幸一さん、自然と管理って矛盾してるよね。』

突然、前触れもなしに静香が語りだした。
リサイクルの勉強で気になったみたいだ。

『確かに、自然を管理したら自然じゃないだろ!って突っ込みたくなるなぁ。
自然環境の管理の場合、環境を管理するから、自然は無くなるね。
一緒に言うと卑怯な言葉だな。』

幸一がそう答えると、静香が笑い出した。

『ふふふ、じゃあ、自然を守ろう。って事は、管理しちゃ駄目って事なのかな?』
静香が考え込みながら聞いてきた。

『ん~、その場合、自然の言葉の意味の問題になってくるかな?
人工か自然かって事だね。つまりは、人工じゃない物を守ろうって事だ。』
僕は説明した。

『凄い、幸一さん。私でも理解できたよ。でも、日本語って、ややこしいよね。』
静香が尊敬のまなざしでこちらを見てる。

実にいい気分だ。

『でも、守るために、自然のものに手を加えすぎると人工になる。
その人工になるまでの過程を、どこまで自然として見るかによって、
自然管理って言葉が、矛盾かどうかが変わってくるね。
管理されたものが、全て、人工のものとしてみた場合には、矛盾するって事になるね。』
つい、からかいたくなったので、早口で言ってみた。

『ふふふ、幸一さん早口言葉みたい・・・。アナウンサーでも舌かみそうだよ。』
静香は笑っている。

『静香も、リサイクルショップをやるなら、コレくらい早口で、本当の事を言わずに、
嘘を言わずに、物を売る技をマスターしないとなぁ。』
僕は、薄く笑いを浮かべながら言った。

『なんだか詐欺師っぽいよ幸一さん。そんな怪しいお店開かないよ~。
でもきっと、、幸一さんと一緒にお店開けたら安心だね。』
静香は微笑んだ。