赤いキャンディの外伝みたいなもの。リリー編です。( ̄▽ ̄;)
登場人物
主人公リリー(仮名)
謎のおばあさん(仮名)

リリーは城下町へ来ていた。
アッシュのように山にこもる勇気が無く、
サキのように一人で狩り生活で名声を得るような才能も無かった。

リックと離れ離れになっただけでも、つらくて泣いていた。
サキとアッシュの2人も修行に出て一人ぼっちだ…。
でも!私が頑張ればリックを助けられる可能性がある!
サキもアッシュも頑張ってるのに、私だけ何もできないんじゃ
リックにあわせる顔なんてない!

心ではそう思っている。だけど不安で寂しいのも本当の気持ちだ。
力の無い私がみんなの役に立てるとしたら、魔法しかない。

そう思って、城下町までやってきた。
魔術師のギルドがあるからだ。
だが、実力も、紹介もないリリーは門前払いされてしまった。
私には・・・魔法も駄目なんだ・・・グスン
せめて・・・せめて・・・
ここまできたんだから寺院によってリックの無事をお祈りしよう。
そう思い立ち、涙を拭いて寺院の前まで来たその時。
おばあさんが階段を上ろうとしていた。

一段一段がつらいのか、かなり時間をかけて上っている。
おまけに背中には大きな荷物を背負っている。

『あ、あの、おばあさん、大丈夫ですか?荷物・・・私じゃもてなそう・・・
えと、荷物後ろから押さえ・・・手を引いてあげたほうがいいのかな・・えっと』

それを聞いたおばあさんは優しく笑った。

ありがとうお嬢さん。気持ちだけいただきますよ。
お嬢さんのおかげで元気が出たよ。なに、この階段は、この荷物を背負って
毎日上っているからね。時間をかけてゆっくりとね。
そんな優しい言葉を聴いたのは久しぶりだよ。いい子だね。

それを見ていた一人の男が居た。あれは絶好のカモだな。
その男は、階段の前で派手に転んだ。

あぁ大変!大丈夫ですか?

あっ、あぁ大丈夫だよありがとう。男がすぐに離れようとした。
『待て!』
突然おばあさんが呪文を唱え手をかざすと男は石像にでもなったかのように
動きが止まった。
『お嬢さん、財布をすられてるよ。』
『あぁ本当だ!私の財布が無い!』
気づかなかったのかい?倒れた男を起こす際に男が左手で財布をかすめて
上着の左ポケットにしまったんだよ。そいつの左ポケットだ。

リリーは男の左ポケットを調べるとリリーの財布があった。
おばあさんはいつの間にか、階段を上りきっていた。
男は、動けるようになったのか、慌てて逃げ出した。

『あっ、おばあさんにお礼を言わないと・・・。』
リリーは、慌てて階段を上ろうとして踏み外して転んでしまった。

『うぅ、痛いよ。グスン』
助けてくれる人は居ない。
いつもなら、リックが助けてくれるけど今は1人だ。
そう思ったら、ますます悲しくなった。

『リック、そうだ!リックのために強くならないと!』
リリーは涙を堪えて、階段を上っておばあさんを追いかけた。
『はぁはぁ、あの、おばあさん。ありがとう。』
『おやおや、転んだのかい?怪我してるじゃないか待ってな。』
そう言うとおばあさんはまた呪文を唱え始めた。
『えっ、傷が治っていく…。』
ホラ、コレで大丈夫だ。

おばあさん、魔法が使えるの?
あぁ、非力な年寄りでも魔法があれば人の役に立てる。

おばあさん、お願いします。私に・・・私に魔法を教えてください。
私魔法が必要なんです。リックを助けるために力をつけるには、
私には魔法しかないんです。私に出来る事なら何でもします。
お願いですおばあさん。

やれやれ、お嬢さんや、あんたみたいな可愛らしい娘さんが、
出来る事なら何でもしますなんて、言っちゃ駄目だよ。
私が変装した若い男だとしたら同じ台詞が言えるのかい?

えっ?おばあさん変装した若い男なの?

あははははは、こりゃまいったね。あんた一人で城下町歩いてたのかい?

リリーは、おばあさんに事情を説明した。
普段は4人で行動してた事。
リックが連れて行かれた事。
残りの2人も修行へ出た事。

なるほどねぇ、アルフォンスのクソガキの噂は聞いてるよ。
巷では名誉の戦死ってことになってるけどね。
まぁ、あのクソガキならそんなこったろうとおもってたよ。

だけどお嬢さん、あんた一人で歩いちゃ駄目だ。
私が荷物背負って階段を上るよりもあぶなっかしいよ。

そんな、私・・・私・・・力をつけないとリックにあえないよ。グスン

あぁ、しょうがないねぇ。私の名前も知らないで、私を助けようとして
私に魔法を教わりたいなんて、しかも私も教える気になってるなんて
あんた、運だけは凄い物を持ってるよ。そうだね。

1つだけ教えてやろうじゃないか。役に立つかどうかはお前さんの運しだいだ。
一年かけてこの魔法を覚える気があるかね?

お前さんのことだから凄いタイミングで使う事になると思うねぇ…。
もし役に立ったら、どういう風に役に立ったか話を聞かせておくれよ。
『失われた毒の治療の魔法』を教えてあげよう。フフフ

この魔法は、普通の毒の治療が不可能な、ある特殊な毒のみ治せるんだよ。
まぁ、普通はそんな毒なんてかかりゃしないし、
かかった人間に会う事すらないんだけどね…。

わかりました。私1年かけてその魔法を使えるように頑張ります!
おばあさん、よろしくお願いします。
リック、私頑張るから、リックもどうか無事で居てね…。