①赤いキャンディの外伝みたいなものです。( ̄▽ ̄;)
登場人物
主人公 アッシュ(仮名)後のやりの達人。
サーシャ 鍛冶屋の娘。
アッシュは悩んでいた。リックのために・・・
俺がラルフにあっさり負けたのが原因なんだ。
強くなりたい。俺に足りない物は何だ?
サキは弓を極めるって言っていた。
サキは力が無いけどすばやくて器用だ。サキには弓が合っている。
俺には何が向いているんだ?
力はある、それなりにすばやく、器用だとも思う。
バランスは良いけど特化した力が無い。
剣で戦ったら、リックには勝てないし弓ではサキに負ける。
リック・・・
(回想シーン)
アッシュは力に頼りすぎだと思うよ。
俺のさばき方を覚えたら絶対アッシュには勝てないと思う。
いや、俺にはお前みたいにさばける自信がない。
お前以外には負けないんだけどな~。リックには剣の素質があるんだよ。
確かに、リックに負けたときとアッシュに負けたときの感じ方は違うな。
リックには剣じゃ絶対勝てないって気になるけどアッシュには力で負けたって感じる。
技と力か・・・。俺には技が向いてない。
向いてないって・・・・あはは・・・でもアッシュは技が無くて強いから凄い。
(回想終わり)
リック・・・サキ・・・俺が強くなるには技を覚えるしかないのか・・・?
力じゃラルフにあっさり負けちまった。
お前ら2人には知恵と要領のよさがある…。
あ~~考えるのやめた。
メルヴィル様の目に留まるには剣と弓以外しかない。
俺が剣を持ったリック相手に勝つなら何を持ったときだ?
よし、射程の長い槍なら勝てそうな気がする…。まずは槍だ!
槍は突きが基本だ。払って振り回すんじゃ剣を持ったリックに勝てる気がしない。
槍の間合いを生かして、素早い突きを繰り返せれば・・・負けない。
アッシュは山にこもった。
押す力と引く力をつける為、片手で何とか握力で持ち上がるように
丸太を少し加工した。
その重い丸太で突きの動きを繰り返した。初めは前に出して戻すだけで
息も絶え絶えといった感じだったが、何度も何度も、何日も繰り返す事により
相手を倒せる突きを丸太で出せるようになっていた。
そんな折、小屋を見つける事になる。
何だ?こんなところに住んでるやつがいるのか?まぁ人のこと言えんが・・・
!!
小屋には縛られたアッシュと同年代の少女が居た。他に人の気配は無い。
アッシュを見ると少女は驚いて何か言っているが
口をふさがれてるので声になっていない。
まってな、いま解いてやる。
『駄目!ここは山賊が住んでるのよ!すぐにここを離れて!
私を助けたりしたら、あなたが狙われるわ!』
そんな事を言われても、とらわれた少女をほうっておける性格はしていない。
俺じゃ頼りないか?今、ロープも解いてやる。
もうすぐ見張りが帰ってくる!私はいいから逃げて!
ロープを解きながら周りを見ると1本の槍が目に入った。
おっ!丁度いいな、この槍は貰っておこう。山賊なら遠慮なくもらえる。
君の名前は?家は何処?
私はサーシャ。南の町の鍛冶屋の娘です。父は有名な鍛冶屋ですが
悪人相手の仕事はしないんです。それで山賊の依頼を断ったら腹いせに
私を攫って言う事を聞かせようと・・・
なるほど、じゃあ俺が南の町まで送ってあげるよ。俺はアッシュ。
親友を助けるために山で修行中、この小屋に遭遇したんだ。家は東の町だ。
東の町方面には山賊なんて居なかった。ひとまず、東の町へ行こう。
相手によっては俺じゃ勝てないかもしれないしな。
小屋を抜けてしばらくすると声が聞こえた。
『居ないぞ!どこいった!』
やばい!帰ってきたみたいだ!山賊は南の町方面へ向かうはずだ。
音を立てないように、東の町へ向かえば大丈夫だよ。
そして無事にアッシュの家に着いた。
えっと、ありがとうアッシュさん。
アッシュでいいよ。同い年くらいだろう。君の事はサーシャって呼んでいいかな?
えぇ、いいですよアッシュさん・・・あっアッシュ・・・ふふ
鍛冶屋の親父さん心配してるだろうけど、とりあえず山賊の小屋にいるよりは
ここに居たほうが安心だ。今日は山道を歩いたし時間も遅い。
明日南の町へ向かおう。リック達が居れば安心なんだけどなぁ…。
サキもリリーも今は町に居ないみたいだしリターさんも居ない。
俺一人で山賊相手じゃ、さすがにきつ過ぎる・・・。
アッシュが不安に思っていた時、サーシャがこちらを見ていた事に気づき
あわてて言った。
あっ!大丈夫心配しないで。俺が絶対南の町まで連れてくから・・・。
・・・。
あ~~!やっぱり俺にはリックみたいに女に不安を感じさせない力が無い!
そう言うとアッシュは思っていたことをサーシャにぶちまけた。
俺、いつも4人で動いてたんだ。リック、サキ、リリー
俺が直感で自由に動いて、サキが知識出して、リックがまとめる。
リリーは、俺が行き過ぎないストッパーみたいな感じで・・・
それが、リックがつれてかれちまって、今はリックを助ける為に
みんなで力をつけて、2年後に助けに行こうって・・・
それで今は全員、離れ離れなんだ。
4人いれば何でもできるって思えるんだけど、
今は俺一人で山賊相手じゃ不安に感じてる。
でも、俺、できる限り頑張るからサーシャは心配しないで。
それを聞いたサーシャはアッシュに微笑んでいた。
素敵な関係だね。私には同年代の友達って居ないから羨ましいな。
父以外、信頼できる人なんて居なかった。
アッシュって正直なんですね。嘘つけないでしょ。ふふ
いつかアッシュの仲間にも会ってみたいなぁ。
私、こう見えても剣は使えるんですよ。その辺の男にだって負けませんよ。
父から護身用に学んでますから・・・捕まってたケド…。
おっ、少し元気が出てきたみたいだね。良かった。
サーシャは剣が使えるのか。
それじゃあちょっと、この木刀で練習試合してみない?
アッシュとですか?私が勝ったら落ち込まないですか?ふふ
本気で頼むよ。手を抜かないで、こっちも本気で行くからな。
アッシュ対サーシャ・・・
2人の戦いは正に互角だった。
2人とも驚きを隠せなかった。
凄い!技ならリック以上かもしれない!くっ!
こんな、私の技が力で返されるなんて!
かなりの長時間打ち込んでたが先にへばったのはサーシャだった。
ふぅ、駄目だわ、私の負け。
驚いたよ、本当に強い。
アッシュが私の技術を覚えたら無敵かもしれない…。
それを聞いたアッシュは懐かしさを感じていた。
それができないからアッシュなんだよ。あはは
サーシャの技術はリックに教えてあげたいよ。
俺に剣で勝てたのはリックだけだったんだ。
サーシャは技ならリックにも負けないと思う。
2人の試合を是非見たいと思ったね。
私、自信過剰だった。内心絶対勝てると思ってた。
話を聞いたらリックさんとも一回手合わせしたくなっちゃったな。
でも、サーシャがコレだけ剣を使えるなら安心したよ。
リックと2人で居るようなもんだ。俺とリックが組めば山賊なんて楽勝だ。
ふふ、私もアッシュの実力を知って安心したよ。
私とアッシュなら山賊くらい楽勝ね。ふふ
よし、明日のために今日は休もう。
あっ、部屋はリリーの部屋使っていいから。この家は2部屋しかなくて
女1、男3で住んでたからそっちが女部屋だよ。
着替えもリリーので平気かな?後で言っておくから。
私、男物でいいよ。リリーさんの服、サイズが小さいみたい、
動きづらいデザインで山賊相手に剣は振れないかも?
アッシュのじゃ大きすぎだと思うけど・・・
それならリックの着るといいよ。サイズ同じくらいだと思う
じゃあリックさんの借りるね。そう言ってアッシュの前で着替え始めた。
あわててアッシュが後ろを向く。
あっゴメン、気を使わせちゃって見苦しかったね。女性部屋はこっちだね。
いや、えっと、見苦しくなんて、サーシャは綺麗だよ美人だし
それを聞いたサーシャは真っ赤になった。
あぁ俺何言ってんだ!変な意味じゃないから
アッシュって・・・なんかいいなぁ。私の理想かも…ふふ、それじゃあおやすみ。
えっ?あ、あぁ、おやすみサーシャ。
モヤモヤして寝付くのに時間がかかってしまった。
そして翌日
よし、南の町へ行こう親父さんを安心させてあげないと。
アッシュ本当にありがとう。
お礼は無事に着いてからだな。南の町までは油断できない。
サーシャは俺の剣を使うといい。俺はこの槍を持っていく。
わかった。アッシュってやりも使えるんだ。凄そうだねアッシュの槍も・・・
槍は正直修行中なんだけどね。
まぁ山賊相手に実践練習も丁度いいかなって思ってた。
それじゃあ行きましょう。
あぁ、出発だ!
南の町へ行く途中にはコルドって村がある。そこに山賊が居るかもしれない
城へ向かって城から南下ルートの方がやや安心だけど距離が長い。
コルドルートで行く事にした。
コルド村までは無事にたどり着いた。が、
山のほうから村に向かって降りてくる人影をサーシャが見つけた。
あそこ、4~5人居る。村人も気がついた。
山賊だ~!逃げろ~!
うわ~!あたり一面大騒ぎになった。
このまま放っておく訳にはいかない。自分達が原因かもしれないのだ。
サーシャとアッシュは山賊の前に躍り出た。相手は5人だなんとかなる。
何だ!お前らは、あっ、こいつ鍛冶屋の娘だぞ!
一人が叫んだと同時にアッシュが気合の突きを喰らわせていた。
『おりゃー!』
それは凄まじい一撃だった。正に一瞬の出来事。
相手の腹を貫いて、手元まで戻すそれだけの作業なのだが・・・
サーシャでさえ槍の動きがまったく見えなかった。
『すごい!』
私も負けてられない。えぃ!
5人倒すのに時間はかからなかった。
アッシュの初めの突きで勝負はついていた。
何がおきたかわからない間に2人倒れてその隙にサーシャが1人倒して
逃げ出した2人のうちの1人はアッシュが背中を貫いて倒した。
一人逃げられたか・・・。ここに居る事がばれちまうな・・・。
サーシャはアッシュの槍さばきに驚いていた。
アッシュは剣より槍のほうが凄いんだね。槍が見えなかったよ。
こんな速い突きは初めて見たよ!アッシュ凄いよ!
サーシャは興奮が抑えられない。
いや、槍自体を使ったのは今日が初めてなんだ。
剣の技じゃメルヴィル様の目に留まるほどの力はつけれないと思って
槍を使えるようになろうと思って、槍なら突きを極めるべきだと考えて
毎日、丸太で突きの練習はしてたけどね・・・。
丸太で突きって・・・そんな練習アッシュじゃなきゃ出来ないね。
この実力ならメルヴィル様だって驚くよ!重くて速い凄い突きだった。
これなら山賊のかしらにだって勝てると思うよ。でも・・・
槍使うの初めてってアッシュ・・・
直感で自由すぎだよ。山賊に襲われるの解ってるのに
槍持ってくるなんて・・ふふ
サーシャ、それがアッシュなんだよ。あはは
ひとまず山賊を追い払った2人は村に居ると迷惑をかけると思い
少しだけ休んですぐに移動した。
逃げた山賊はアッシュの槍の腕前をかしらに伝えていた。そんな凄腕を相手にしては
分が悪いと判断した山賊は鍛冶屋をあきらめていた。
と言う訳で、その後何事もなく南の町へ到着した。
『おとうさん!』
サーシャ無事だったのか!
えぇ、こちらのアッシュが助けてくれたの。
おぉ・・・サーシャを助けていただいて感謝します。
アッシュは凄い槍を使うんだよ。お父さん!突きが見えないんだよ!
ほう、サーシャが同い年くらいの相手をここまで褒めるなんて珍しい
宜しかったら、ワシにもその技を見せてくださらんか?
お父さん、あんな突き避けれる人いないし、当たったら死んじゃうよ。
おぉ、そうかそれならそこの藁を突いてみてくださらんか?
アッシュ突いてみて。お父さんは仕事柄、武術には詳しいの
今後の役に立つ話をしてくれるかも・・・。
それじゃあ・・・
アッシュは突きを放った。藁の的は突然上半分が吹き飛んだように見えた。
『コレは凄い!なんと見事な!』
でしょう・・・ふふ サーシャは自分の事のように言う。
だが、一つだけ問題があるな・・・。
『えっ?』サーシャとアッシュが同時に言った。
なに、技には何の問題も無いんだが問題なのは槍だ。
そんな、なまくらな槍じゃ技がもったいない。
よし、サーシャを助けていただいたお礼だ。
そう言うとサーシャの父は立ち上がり一本の槍を持ってきた。
この槍を君にあげよう。君なら使いこなせるはずだ。
その槍は正に剛槍といった見た目だった。
アッシュ君の技じゃ、普通の槍じゃすぐに壊れてしまうよ。
この槍なら折れる事はありえない。
もう一度、この槍で、こっちの藁を突いてみてくれんか?
アッシュは言われたとおりにその藁を突いた。
『凄い!』
藁のど真ん中に空洞が出来ていた。
凄い槍だ・・・。何か特別な力を感じる。
うん、正にアッシュ君の為に作られたみたいだ
一見、初めの方が派手に吹き飛んで威力があるように見えるかもしれないが
なんのことはない。力が分散されて一点の威力は劣っている。
その点、2回目のほうは当たった一点に全ての力が集まっている
恐らく岩でも打ち砕くだろう。
こんな槍を貰ってしまって宜しいのですか?
アッシュ君以外の人間には幾ら積まれたってやらないぞ!
君がサーシャを助けたのは、この槍に導かれたのかもしれない
良い技と武器の出会い。コレこそ私の幸せだ。ぜひ君に使って欲しい。
私からも貰ってほしいなアッシュに…。
では、ありがたくいただきます。
さぁ、堅苦しいのは終わりだ!
アッシュ君も疲れただろう。今日はうちに泊まってくれ。
そんなせっかくの親子の再会に俺が居たら邪魔じゃないかな?
何言ってるのアッシュ。私の手料理は食べたくないから逃げるつもり?
おぉ、サーシャの手料理か、是非食べていってくれ、
こう見えてサーシャの料理はうまいぞ!
南の町の何処で食べてもサーシャの料理にはかなうまい
そのくせ、めったに作ろうとしないんだよ。
では、お言葉に甘えさせていただきます。
『ふんふ~ん』サーシャは鼻歌交じりに上機嫌で料理を作っている。
アッシュ君。君はサーシャの事をどう思っているのかな?
えっ!?どうって・・・。アッシュの顔が真っ赤になった。
サーシャの君に対しての態度は完璧に惚れてるみたいなんでな
父親としては君みたいなまじめな男と・・
お父さん!
ちょうど料理をサーシャが運んできた。
俺は、今はリックを親友をすくうことしか考えられない。
サーシャは魅力的だし綺麗だし好きだけど・・・
サーシャの顔が真っ赤になった。
リックを助けるまで待ってくれないか?
それを聞いた父は大きく笑った。
ハハハハハ、良かったなサーシャ。アッシュ君もお前に惚れてるみたいだぞ
お父さん!もう、アッシュごめんね。こんな父で・・・
でも、私はリックを助けるまで待ってるよ。
ううん、リック助ける為に私で役に立つなら協力もする・・・
アッシュのためにね。ふふ
サーシャ・・・ありがとう。
おやおや、お邪魔なのはワシみたいだな。ハハハ
サーシャの料理はとても美味しかった。
登場人物
主人公 アッシュ(仮名)後のやりの達人。
サーシャ 鍛冶屋の娘。
アッシュは悩んでいた。リックのために・・・
俺がラルフにあっさり負けたのが原因なんだ。
強くなりたい。俺に足りない物は何だ?
サキは弓を極めるって言っていた。
サキは力が無いけどすばやくて器用だ。サキには弓が合っている。
俺には何が向いているんだ?
力はある、それなりにすばやく、器用だとも思う。
バランスは良いけど特化した力が無い。
剣で戦ったら、リックには勝てないし弓ではサキに負ける。
リック・・・
(回想シーン)
アッシュは力に頼りすぎだと思うよ。
俺のさばき方を覚えたら絶対アッシュには勝てないと思う。
いや、俺にはお前みたいにさばける自信がない。
お前以外には負けないんだけどな~。リックには剣の素質があるんだよ。
確かに、リックに負けたときとアッシュに負けたときの感じ方は違うな。
リックには剣じゃ絶対勝てないって気になるけどアッシュには力で負けたって感じる。
技と力か・・・。俺には技が向いてない。
向いてないって・・・・あはは・・・でもアッシュは技が無くて強いから凄い。
(回想終わり)
リック・・・サキ・・・俺が強くなるには技を覚えるしかないのか・・・?
力じゃラルフにあっさり負けちまった。
お前ら2人には知恵と要領のよさがある…。
あ~~考えるのやめた。
メルヴィル様の目に留まるには剣と弓以外しかない。
俺が剣を持ったリック相手に勝つなら何を持ったときだ?
よし、射程の長い槍なら勝てそうな気がする…。まずは槍だ!
槍は突きが基本だ。払って振り回すんじゃ剣を持ったリックに勝てる気がしない。
槍の間合いを生かして、素早い突きを繰り返せれば・・・負けない。
アッシュは山にこもった。
押す力と引く力をつける為、片手で何とか握力で持ち上がるように
丸太を少し加工した。
その重い丸太で突きの動きを繰り返した。初めは前に出して戻すだけで
息も絶え絶えといった感じだったが、何度も何度も、何日も繰り返す事により
相手を倒せる突きを丸太で出せるようになっていた。
そんな折、小屋を見つける事になる。
何だ?こんなところに住んでるやつがいるのか?まぁ人のこと言えんが・・・
!!
小屋には縛られたアッシュと同年代の少女が居た。他に人の気配は無い。
アッシュを見ると少女は驚いて何か言っているが
口をふさがれてるので声になっていない。
まってな、いま解いてやる。
『駄目!ここは山賊が住んでるのよ!すぐにここを離れて!
私を助けたりしたら、あなたが狙われるわ!』
そんな事を言われても、とらわれた少女をほうっておける性格はしていない。
俺じゃ頼りないか?今、ロープも解いてやる。
もうすぐ見張りが帰ってくる!私はいいから逃げて!
ロープを解きながら周りを見ると1本の槍が目に入った。
おっ!丁度いいな、この槍は貰っておこう。山賊なら遠慮なくもらえる。
君の名前は?家は何処?
私はサーシャ。南の町の鍛冶屋の娘です。父は有名な鍛冶屋ですが
悪人相手の仕事はしないんです。それで山賊の依頼を断ったら腹いせに
私を攫って言う事を聞かせようと・・・
なるほど、じゃあ俺が南の町まで送ってあげるよ。俺はアッシュ。
親友を助けるために山で修行中、この小屋に遭遇したんだ。家は東の町だ。
東の町方面には山賊なんて居なかった。ひとまず、東の町へ行こう。
相手によっては俺じゃ勝てないかもしれないしな。
小屋を抜けてしばらくすると声が聞こえた。
『居ないぞ!どこいった!』
やばい!帰ってきたみたいだ!山賊は南の町方面へ向かうはずだ。
音を立てないように、東の町へ向かえば大丈夫だよ。
そして無事にアッシュの家に着いた。
えっと、ありがとうアッシュさん。
アッシュでいいよ。同い年くらいだろう。君の事はサーシャって呼んでいいかな?
えぇ、いいですよアッシュさん・・・あっアッシュ・・・ふふ
鍛冶屋の親父さん心配してるだろうけど、とりあえず山賊の小屋にいるよりは
ここに居たほうが安心だ。今日は山道を歩いたし時間も遅い。
明日南の町へ向かおう。リック達が居れば安心なんだけどなぁ…。
サキもリリーも今は町に居ないみたいだしリターさんも居ない。
俺一人で山賊相手じゃ、さすがにきつ過ぎる・・・。
アッシュが不安に思っていた時、サーシャがこちらを見ていた事に気づき
あわてて言った。
あっ!大丈夫心配しないで。俺が絶対南の町まで連れてくから・・・。
・・・。
あ~~!やっぱり俺にはリックみたいに女に不安を感じさせない力が無い!
そう言うとアッシュは思っていたことをサーシャにぶちまけた。
俺、いつも4人で動いてたんだ。リック、サキ、リリー
俺が直感で自由に動いて、サキが知識出して、リックがまとめる。
リリーは、俺が行き過ぎないストッパーみたいな感じで・・・
それが、リックがつれてかれちまって、今はリックを助ける為に
みんなで力をつけて、2年後に助けに行こうって・・・
それで今は全員、離れ離れなんだ。
4人いれば何でもできるって思えるんだけど、
今は俺一人で山賊相手じゃ不安に感じてる。
でも、俺、できる限り頑張るからサーシャは心配しないで。
それを聞いたサーシャはアッシュに微笑んでいた。
素敵な関係だね。私には同年代の友達って居ないから羨ましいな。
父以外、信頼できる人なんて居なかった。
アッシュって正直なんですね。嘘つけないでしょ。ふふ
いつかアッシュの仲間にも会ってみたいなぁ。
私、こう見えても剣は使えるんですよ。その辺の男にだって負けませんよ。
父から護身用に学んでますから・・・捕まってたケド…。
おっ、少し元気が出てきたみたいだね。良かった。
サーシャは剣が使えるのか。
それじゃあちょっと、この木刀で練習試合してみない?
アッシュとですか?私が勝ったら落ち込まないですか?ふふ
本気で頼むよ。手を抜かないで、こっちも本気で行くからな。
アッシュ対サーシャ・・・
2人の戦いは正に互角だった。
2人とも驚きを隠せなかった。
凄い!技ならリック以上かもしれない!くっ!
こんな、私の技が力で返されるなんて!
かなりの長時間打ち込んでたが先にへばったのはサーシャだった。
ふぅ、駄目だわ、私の負け。
驚いたよ、本当に強い。
アッシュが私の技術を覚えたら無敵かもしれない…。
それを聞いたアッシュは懐かしさを感じていた。
それができないからアッシュなんだよ。あはは
サーシャの技術はリックに教えてあげたいよ。
俺に剣で勝てたのはリックだけだったんだ。
サーシャは技ならリックにも負けないと思う。
2人の試合を是非見たいと思ったね。
私、自信過剰だった。内心絶対勝てると思ってた。
話を聞いたらリックさんとも一回手合わせしたくなっちゃったな。
でも、サーシャがコレだけ剣を使えるなら安心したよ。
リックと2人で居るようなもんだ。俺とリックが組めば山賊なんて楽勝だ。
ふふ、私もアッシュの実力を知って安心したよ。
私とアッシュなら山賊くらい楽勝ね。ふふ
よし、明日のために今日は休もう。
あっ、部屋はリリーの部屋使っていいから。この家は2部屋しかなくて
女1、男3で住んでたからそっちが女部屋だよ。
着替えもリリーので平気かな?後で言っておくから。
私、男物でいいよ。リリーさんの服、サイズが小さいみたい、
動きづらいデザインで山賊相手に剣は振れないかも?
アッシュのじゃ大きすぎだと思うけど・・・
それならリックの着るといいよ。サイズ同じくらいだと思う
じゃあリックさんの借りるね。そう言ってアッシュの前で着替え始めた。
あわててアッシュが後ろを向く。
あっゴメン、気を使わせちゃって見苦しかったね。女性部屋はこっちだね。
いや、えっと、見苦しくなんて、サーシャは綺麗だよ美人だし
それを聞いたサーシャは真っ赤になった。
あぁ俺何言ってんだ!変な意味じゃないから
アッシュって・・・なんかいいなぁ。私の理想かも…ふふ、それじゃあおやすみ。
えっ?あ、あぁ、おやすみサーシャ。
モヤモヤして寝付くのに時間がかかってしまった。
そして翌日
よし、南の町へ行こう親父さんを安心させてあげないと。
アッシュ本当にありがとう。
お礼は無事に着いてからだな。南の町までは油断できない。
サーシャは俺の剣を使うといい。俺はこの槍を持っていく。
わかった。アッシュってやりも使えるんだ。凄そうだねアッシュの槍も・・・
槍は正直修行中なんだけどね。
まぁ山賊相手に実践練習も丁度いいかなって思ってた。
それじゃあ行きましょう。
あぁ、出発だ!
南の町へ行く途中にはコルドって村がある。そこに山賊が居るかもしれない
城へ向かって城から南下ルートの方がやや安心だけど距離が長い。
コルドルートで行く事にした。
コルド村までは無事にたどり着いた。が、
山のほうから村に向かって降りてくる人影をサーシャが見つけた。
あそこ、4~5人居る。村人も気がついた。
山賊だ~!逃げろ~!
うわ~!あたり一面大騒ぎになった。
このまま放っておく訳にはいかない。自分達が原因かもしれないのだ。
サーシャとアッシュは山賊の前に躍り出た。相手は5人だなんとかなる。
何だ!お前らは、あっ、こいつ鍛冶屋の娘だぞ!
一人が叫んだと同時にアッシュが気合の突きを喰らわせていた。
『おりゃー!』
それは凄まじい一撃だった。正に一瞬の出来事。
相手の腹を貫いて、手元まで戻すそれだけの作業なのだが・・・
サーシャでさえ槍の動きがまったく見えなかった。
『すごい!』
私も負けてられない。えぃ!
5人倒すのに時間はかからなかった。
アッシュの初めの突きで勝負はついていた。
何がおきたかわからない間に2人倒れてその隙にサーシャが1人倒して
逃げ出した2人のうちの1人はアッシュが背中を貫いて倒した。
一人逃げられたか・・・。ここに居る事がばれちまうな・・・。
サーシャはアッシュの槍さばきに驚いていた。
アッシュは剣より槍のほうが凄いんだね。槍が見えなかったよ。
こんな速い突きは初めて見たよ!アッシュ凄いよ!
サーシャは興奮が抑えられない。
いや、槍自体を使ったのは今日が初めてなんだ。
剣の技じゃメルヴィル様の目に留まるほどの力はつけれないと思って
槍を使えるようになろうと思って、槍なら突きを極めるべきだと考えて
毎日、丸太で突きの練習はしてたけどね・・・。
丸太で突きって・・・そんな練習アッシュじゃなきゃ出来ないね。
この実力ならメルヴィル様だって驚くよ!重くて速い凄い突きだった。
これなら山賊のかしらにだって勝てると思うよ。でも・・・
槍使うの初めてってアッシュ・・・
直感で自由すぎだよ。山賊に襲われるの解ってるのに
槍持ってくるなんて・・ふふ
サーシャ、それがアッシュなんだよ。あはは
ひとまず山賊を追い払った2人は村に居ると迷惑をかけると思い
少しだけ休んですぐに移動した。
逃げた山賊はアッシュの槍の腕前をかしらに伝えていた。そんな凄腕を相手にしては
分が悪いと判断した山賊は鍛冶屋をあきらめていた。
と言う訳で、その後何事もなく南の町へ到着した。
『おとうさん!』
サーシャ無事だったのか!
えぇ、こちらのアッシュが助けてくれたの。
おぉ・・・サーシャを助けていただいて感謝します。
アッシュは凄い槍を使うんだよ。お父さん!突きが見えないんだよ!
ほう、サーシャが同い年くらいの相手をここまで褒めるなんて珍しい
宜しかったら、ワシにもその技を見せてくださらんか?
お父さん、あんな突き避けれる人いないし、当たったら死んじゃうよ。
おぉ、そうかそれならそこの藁を突いてみてくださらんか?
アッシュ突いてみて。お父さんは仕事柄、武術には詳しいの
今後の役に立つ話をしてくれるかも・・・。
それじゃあ・・・
アッシュは突きを放った。藁の的は突然上半分が吹き飛んだように見えた。
『コレは凄い!なんと見事な!』
でしょう・・・ふふ サーシャは自分の事のように言う。
だが、一つだけ問題があるな・・・。
『えっ?』サーシャとアッシュが同時に言った。
なに、技には何の問題も無いんだが問題なのは槍だ。
そんな、なまくらな槍じゃ技がもったいない。
よし、サーシャを助けていただいたお礼だ。
そう言うとサーシャの父は立ち上がり一本の槍を持ってきた。
この槍を君にあげよう。君なら使いこなせるはずだ。
その槍は正に剛槍といった見た目だった。
アッシュ君の技じゃ、普通の槍じゃすぐに壊れてしまうよ。
この槍なら折れる事はありえない。
もう一度、この槍で、こっちの藁を突いてみてくれんか?
アッシュは言われたとおりにその藁を突いた。
『凄い!』
藁のど真ん中に空洞が出来ていた。
凄い槍だ・・・。何か特別な力を感じる。
うん、正にアッシュ君の為に作られたみたいだ
一見、初めの方が派手に吹き飛んで威力があるように見えるかもしれないが
なんのことはない。力が分散されて一点の威力は劣っている。
その点、2回目のほうは当たった一点に全ての力が集まっている
恐らく岩でも打ち砕くだろう。
こんな槍を貰ってしまって宜しいのですか?
アッシュ君以外の人間には幾ら積まれたってやらないぞ!
君がサーシャを助けたのは、この槍に導かれたのかもしれない
良い技と武器の出会い。コレこそ私の幸せだ。ぜひ君に使って欲しい。
私からも貰ってほしいなアッシュに…。
では、ありがたくいただきます。
さぁ、堅苦しいのは終わりだ!
アッシュ君も疲れただろう。今日はうちに泊まってくれ。
そんなせっかくの親子の再会に俺が居たら邪魔じゃないかな?
何言ってるのアッシュ。私の手料理は食べたくないから逃げるつもり?
おぉ、サーシャの手料理か、是非食べていってくれ、
こう見えてサーシャの料理はうまいぞ!
南の町の何処で食べてもサーシャの料理にはかなうまい
そのくせ、めったに作ろうとしないんだよ。
では、お言葉に甘えさせていただきます。
『ふんふ~ん』サーシャは鼻歌交じりに上機嫌で料理を作っている。
アッシュ君。君はサーシャの事をどう思っているのかな?
えっ!?どうって・・・。アッシュの顔が真っ赤になった。
サーシャの君に対しての態度は完璧に惚れてるみたいなんでな
父親としては君みたいなまじめな男と・・
お父さん!
ちょうど料理をサーシャが運んできた。
俺は、今はリックを親友をすくうことしか考えられない。
サーシャは魅力的だし綺麗だし好きだけど・・・
サーシャの顔が真っ赤になった。
リックを助けるまで待ってくれないか?
それを聞いた父は大きく笑った。
ハハハハハ、良かったなサーシャ。アッシュ君もお前に惚れてるみたいだぞ
お父さん!もう、アッシュごめんね。こんな父で・・・
でも、私はリックを助けるまで待ってるよ。
ううん、リック助ける為に私で役に立つなら協力もする・・・
アッシュのためにね。ふふ
サーシャ・・・ありがとう。
おやおや、お邪魔なのはワシみたいだな。ハハハ
サーシャの料理はとても美味しかった。