ベルンです。

 

昨日からまた暖かくなりました。

今の時期、昼間は太陽のおかげで暖かいですが、夜はまだ冷えます。

服装選びに困る時期ですが、中に厚く、外に薄くという発想を持っていればまず大丈夫でしょう。

 

素材の異種交流を愉しめる季節が春と秋です。

リネンのジャケットにカシミアのスカーフ、逆もいいですね。カシミアジャケットにリネンのスカーフ。

本来交わることのない生地が介するとても楽しい季節です。

リネンのシワに思いを寄せる時期はもうそこまできています。

 


こちらは今はなき外苑前「ラギッドミュージアム」で購入した、高密度のリネンを使用したカントリージャケット。2柄の生地を1着に入れているクレイジーパターンですが、”よく見れば”くらいの違いなのでとても着やすくて便利です。

少々マニアックな作りなので、9着しか作っていなかったにもかかわらず、1年後もまだ1着だけ残っていました。
「カントリージャケットが買ってほしそうにこっちを見ている」というセリフが今にも出てきそうだったので、思わず「購入する」を決めたという経緯です。

中にはジョンスメドレーのハイゲージニット。暑くなったら脱いでも、ニットをはさんでいるため体温調節はしっかりできます。

 

 

先日、専門学校時代の友人に誘われてあるブランドのファッションショーに行ってきました。

 

会場は渋谷ヒカリエ。9階の会場ホールに着くと、どこから湧いてきたのか、センスで競い合うエネルギッシュなファッショニスタが立ち並んでいます。久しく最先端のファッション業界からは身を置いていたので、カルチャーショックとともに、ファッション好きたちのエネルギーを強く感じました。

 

まさか10年前の専門学生時代、自分がトラッドの世界で働いているなんてみじんも思いませんでした。なにせスーツが嫌いだった人ですから。人生はどうなるかわかりません。

 

10年前にはカリスマ的人気を誇っていたブランドも、今は閉業、または閑古鳥がほとんどという業界。過去のものはダサく、現在のものが最もかっこよく評価される世界です。
トラッドの世界とはまるで正反対です。

 

トラッドの世界に身をおいていて感じるのは、この業界にセンスは必要ないのでは、ということです。
もちろん、守破離を学んだ次にはその人なりの味の付け方というのはありますが、その味の付け方も、歴史を紐解いていくと、免許皆伝をした先人たちが教えてくれています。

そのくらい、トラッドという世界の教科書は厚い。

 

ある方がこのようなことを本で書いていました。

いいスーツに大切なことは、第一に生地、次に縫製、そして最後にセンスだと。

いい生地を使い、粗末な縫製工房に出すことはあまりないからだそうです。確かに仰る通りです。

わたしなりに、この「センス」が最後にきているのには納得しました。

そもそも、センスを前面に出してしまった結果が現代のファッション業界です。

すその短いパンツにお尻丸出しのジャケット。これでは品位もなにも感じられません。

 

センスとはそもそもアートなど、前衛的な分野で必要な項目です。

トラッドはまったく正反対の、古きをよしとする分野です。

この業界でセンスを出そうとすることがもうナンセンスであるということを、知れば知るほどわかってきます。

ただ、まったくセンスが必要ないというわけではありません。

必要なのは、ファッションセンスではなく、美しいものを美しいと思える感性です。
机上で学んだ雑学に押し固められないよう、常に脳みそをプルプルにしておくのが大切です。

 

流行りに流されるような軟派な人間にならないようにしていきましょう。

 

ベルンでした!

 

 

 

BERUN HP  http://berun.jp/