ベルンです。


本日も約2週に1度の高円寺巡拝をきっちりとしてまいりました。


散財日記なんて書いていたらキリがないほどアイテムが増幅しているため諦めていますが(笑)、本日はとても素晴らしいものを購入させていただきました。




古着での一番の楽しみは何より「出逢い」。




古着なんか汚いから嫌い。

なんて言っている人は、本当の古着をまだ知らない人たちです。

お金がない学生時代の頃に、原宿辺りの数百円の汚くて臭い古着を見ていたイメージが残っているのでしょう。


別に、人生の○割損してるー!なんてことを言うつもりはありませんが、本物の古着を知ることは、骨董品やアンティークにも通ずる、素晴らしいストーリーや美的感覚を味わうことができるものです。




高円寺のわたし好みの古着屋はほとんど西友の近くにあります。


なにより絶大な支持を誇る「SAFARI(サファリ)」の周りに、引き寄せられるように古着屋が年々増えていったそうな。


当時18歳でアメカジ時代のわたしは、公園側(道路を挟んで反対側)の世間一般的に言う「古着屋」に毎日のように入り浸っていたものです。





時代も変わりテイストも変わった今もなお魅力を増し続ける高円寺という街は本当に凄まじい街だと思います。


さて、わたしの大好きなお店でもあります「TRUNK(トランク)」。


行くたびになにかいいものを見つけてしまい、ついついいつも買ってしまうのです笑













本日購入したものは「GRENFELL(グレンフェル)」のトレンチコート。







バーバリーとアクアスキュータムのトレンチは持っているのですが、グレンフェルのものはまだ持っておりませんでした。


コットン地の新品でも15万円ほどするなかなかの高級コートのため、散財しまくりのわたしには生唾ごっくんしながら眺める日々が続いていました。








こちらはなんと、裏地が総アルパカで仕上げられているもの。

もちろん当時、限定で発売されたもののため、現在ショップで見かけることはありません。








1980年頃に日本でも発売されたもののようで、当時の価格で25万円ほどしたそうです。


物価のあがっている今だと、おそらく40万オーバー(?)するのではないか、なんて話をしていました。





こちらのコートは、元々持たれていた方がオーナーさんのお客様で、80過ぎほどの紳士の方が譲ってくださったそうです。


その方は若い頃、日本のメンズファッションの礎を作った伝説のブランドの立ち上げをした人の一人で、ファッション業界のまさに重鎮のお方。


1960年代はまさに日本のメンズファッションがスタートした頃で、国民総人口まさにファッション小学生ばかりだった頃に、常に時代を作り続ける卓越したセンスを持ち合わせた方々が、ファッション業界をリードし続けていました。


そして時代は少し変わり、当時80年代にこのコートが日本で限定数着のみ発売された頃、その方は購入をされたそうです。


なんと当時、サイズ展開は40、42、44の3サイズだったと言います。


今ですと36、38、40が基本のサイズ感なので、昔の洋服がいかに男性的で、ダンディズムを作り上げるためのものかわかります。




服を潤沢に持たれていたそうで、こちらはコレクションの一部とし、ほとんど着ることもなく、ミントコンディションで保管され続けていました。





しかし、ここしばらくで体調を崩され、今までのようにおしゃれな洋服を着ることが難しくなってしまったそうです。

自分が着られないのに、もっていても勿体無い。


ということで、信頼のおけるTRUNK(トランク)さんにお譲りしたそうです。


裏地のアルパカもまったく虫食いがなく、表地のコンディションもまさに新品同様。


サイズも当時一番小さいサイズである40。


タイムレスな匂いを感じさせる少しオーバーサイズなシルエットは、ラグランスリーブが肩周りをゆったりと見せ、大きめのブリム(つば)のハットと抜群に合うでしょう。









後ろ姿も美しい。







そしてこのヨーク部分のカーブがとても綺麗です。




ここまでのストーリーを持ち合わせて古着を買うことはまずありません。


なにより前オーナーさんの顔をイメージさせると、あまりいい印象を感じないはずでしょう。


知らないやつのお古を着る、なんてイメージはなるべく持ちたくないものです。



そんなはずなのに、前オーナーさんの話を聞けば聞くほどほしくなる洋服。


それは本当に素晴らしい洋服で、時代を超える魂がこもっているものでしか考えられません。


わたしは今日、30年以上保管されていた洋服のバトンを受け取ったのです。


時代が進めば進むほど評価が大きくなっていく洋服を持ち続けることが、人としての使命感や、幸せを感じされるでしょう。



わたしにとっての幸福論はこのような話です。



末永く、大切に着ていきます。




ベルンでした!