自衛官は事に臨んでは危険を顧みず、わが国の独立と平和わお守る使命を完遂しなければならない。
しかしこの国が悪い国であっては、使命完遂の気持ちも失せようtpいうものである。国を守る基盤は愛国心なのだ。そのためにも自衛官は明治維新以降のわが国の輝かしい歴史を勉強する必要がある。特に幹部自衛官にはわが国の歴史と伝統についてゆるぎない自信をもってもらいたい。
自衛隊の高級幹部がわが国に対する贖罪意識をもっているようでは部隊を元気にすることはできない。任務遂行に影響が出る。
アメリカには、過去の歴史、特に特定の時期の対外行動について、特定の政権が文章にした(歴史見解)というもん、つまり日本の村山談話に匹敵するものはないという。
それどころか政権が替われば、戦争観も当然変化する。ニクソン大統領が公式演説で述べたベトナム戦争観は後にカーター大統領によって否定された。また、オバマ政権の登場でイラク戦争に対する政府解釈も大きく変わってくるだろう。
日本のように政治家が外国への配慮や政略から自分たちの過去を否定する歴史見解を押し付け、謝罪を繰り返す国はない。
国を愛することを禁じるような歴史観が今後もまかり通るようなら国は滅びる。
私は福島県郡山の農村地帯の生まれである。農協に勤務していた父親の(防衛大に行け)の一言で昭和42年に防衛大に入学した。
防大生のころはヘルメットにゲバ棒を持った左翼の学生運動が活発化していたが、私は休日には横須賀の防衛大から東京・渋谷の寄席に行くのが楽しみという、どちらかというとノンポリの学生だった。
だが自衛隊の教育が私を変えてくれた。私は、いつ何時でも自衛隊員として国家国民のことを考え、どんな困難があってもへこたれないと決心するようになった。思いがけずに自衛隊を去った今もその気持ちに変わりはない。
私のことで自衛隊に迷惑がかかっているとしたら断腸の思いである。だが、日本を否定し先人を貶める歴史観を認めるわけにはいかない。
田母神前空幕長独占手記 完