約50年前、家族が今の地に引っ越してきて以来、畑で完全自然農法で野菜を作り続けている。

引っ越し後、それまで荒れ地だったところに両親が家族が食べる野菜を作り始めた。

母が特に家族の健康に気を使う人だったので、化学肥料や農薬を使うことを嫌い、父も一切それらを使わなかった。

当然、当初はなかなかいい野菜は育たなかった。

肥料は除草した雑草。土に漉き込んだり、作物の根元に敷いたりしながら土つくりを続けた。

葉物に虫がつくと、割りばしでつまんで一匹一匹取り除いていた。朝早くから夜遅くまで作業をしている日もあった。

私たち子どもに体にいいものを食べさせたいという一心だったのだと思う。

そのおかげでようやく作物が育つ土になってきた。50年かかっている。

今は両親に感謝しながら、私が家族のための野菜作りをしている。

 

しかし、私は素人で、野菜作りをはじめてまだ5年ほどである。

経験豊富な人の助言をいただきたいと思っている。

 

ある人と話をしたときに、その人が人間の体はすべて化学物質でできていると言っていた。

そのとおりである。また、人間の体内活動はすべて化学反応だとも言っていた。

人間は植物のように体内で養分を合成できないので、体外から摂取したもので体を作り、体内活動を行っている。

人間は有史以来、自然の動物や植物を食べてきた。

しかし、人間が作りだした化学肥料や農薬によって作物の生産は向上したかもしれないが、得体のしれない人工物が食物に含まれことになった。

長い目で見たとき、それらを食べ続けることが人類にどのような影響を与えるかだれにもわからない。人類史上経験のないことだから。

 

そう考えると食べ物の重要性がわかる。

母が自然農法にこだわったのもこのためだろう。

 

人間の作った化学物質の力に頼らず、自然の力だけで育った野菜は強い。

食べると体に植物が吸収した自然の力を与えてくれる気がする。

 

もう少しうまく野菜作りができるようになったら、多くの人に食べてもらいたいと思う。