5年1組児童保護者
北村行範
はじめに
当市内小中学生の不登校は約200名であり、その原因については、文科省統計から推測すると、当該児童生徒と教諭または、他の生徒との「関係性」が圧倒的多数を占める。そして、この「関係性」には、いじめが含まれるが、その割合などは明らかにされていない。
一方、令和元年度の不登校児童生徒支援に係る同省局長通知は、いじめ加害者に対する、停学含む厳しい措置を学校には求めるが、その具体的行動は、現場にゆだねる内容。
そこで、いじめ防止の具体策を探る一環として、近年発展の目覚ましい、脳科学、認知神経科学等の分野から、いじめ撲滅のための試みの一部を参考までに紹介する。
1.いじめは、大別して2種類
直接いじめ➡加害者が被害者に、言語的、身体的、物理的攻撃(仲間集団外の成員)
関係性いじめ➡無視、仲間はずれなど(仲間集団内)
2.脳科学的に、いじめは、加害者、被害者、傍観者それぞれが被害を被る
加害者➡情緒的共感性、抑制力の低下(社会生活を営む上で、必須要素)
いじめで、脳の報酬機能(脳内麻薬分泌ドーパミン)過活動➡いじめの快楽化
被害者➡偏桃体の過活動=不安恐怖の増大、海馬の委縮→記憶力学習能力の低下、前頭前野の機能低下→意志決定・感情制御の低下、視床下部下垂体副腎軸の異常→ストレスホルモン=コレチゾール過剰分泌→免疫力低下、セロトニンの減少→うつ病の発症リスク
傍観者➡ミラーニューロン(鏡神経細胞)による共感ストレス、道徳的ジレンマによる前頭前野の疲弊
3.回復方法
ストレス軽減(運動・瞑想・睡眠)、セロトニン増加(自己肯定感を高める体験・安全な環境)、心理的サポート(カウンセリング・トラウマ治療)など
4.いじめ防止に向けた国内外の取り組み
◎欧米の取り組み
いじめに関する研究は1989年頃から開始。リン・ホーキンス(カナダ1997年)いじめ傍観者のいじめ防止への影響を評価する研究、ダン・オルヴェウス(ノルウェー心理学者)実践的な、いじめ抑止プログラムなど構築➡現在欧米が、いじめ対策などで採用
◎日本
・国内複数大学に設置された「子どものこころ発達研究センター」の取り組み
主旨:急速に変わりゆく現代社会の中で、子どものこころの発達は過去にない新しい可能性、それに伴う大きな困難さに直面・・・略・・・様々な学問分野の知を結集し、革新的な基礎研究、研究成果の社会への還元、次世代の子どものこころの専門家の育成を目指し、様々な研究・教育・社会実装事業を展開することを目標、使命・・以下略・・。(浜松医科大「子どものこころ発達研究センター」HPより一部抜粋)
・「子どもの発達科学研究所」の取り組み
上記「子どものこころ発達研究センター」の研究成果の普及を実施する公益社団法人。
a)学校環境評価➡「環境」に着目し、学校環境のいじめの潜在的な起こりやすさを再現性(科学性)のある手法で評価する「学校風土・いじめ調査」を開発
具体的には、学校環境について、①安全(安全、決まり)②教えと学び(授業、心の教育)③関係性(生徒と先生、生徒と学校、生徒同士etc)④環境(物理的環境、地域、保護者)などの因子について、児童生徒に匿名でアンケート調査し、データから各因子間の相関等を統計的手法で解析➡学校環境の科学的客観的評価、いじめリスク評価
b)いじめ傍観者多数派への働きかけ「Be a Hero」活動
H⇒help助ける E⇒empathy共感、R⇒respect尊重、O⇒open mind 寛容
正しい行動の生徒を徹底的に評価➡☆昨年度実施
問題行動の生徒には、軽い注意程度とする(厳重注意は逆効果)
c)家庭での「正しい行動の評価」
目につく問題行動への注意にエネルギーを注ぐよりも、正しい行動を徹底的に評価することを奨励。具体的には、一部の問題行動に保護者の注意のエネルギーを注ぐことを一旦やめ、大部分を占める正しい行動、例えば手伝いをした、宿題を終わらせた、ゲームを控えた、などに意識のエネルギーを注ぎ、これを徹底的に評価する家庭版「Be a Hero」活動の実践
5.参考文献
「科学の力でいじめ撲滅を目指す」子ども発達科学研究所
https://www.kokuyo-furniture.co.jp/solution/mana-biz/2019/02/world-179.php
「いじめの脳科学」銀座泰明クリニック
https://www.ginzataimei.com/knowledge/%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AE%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6/
「いじめにおける傍観者たちの制止における自然体での実態観察」リン・ホーキンズ
https://www.mac-cura.ca/download%20docs/Papers%20for%20Site/Interventions/Hawkins%20et%20al.,%202001.pdf